58 / 407
一年生の二学期
🐿️
しおりを挟む
「なんだ、やっぱり先生のせいじゃん」南が言葉尻をかち割った。
「いや、先生の言うことも分かるよ。右目が見えないんだから、右端の方がいいでしょ。左目で左全体を見れた方がいいでしょ」
「別にそんなことない」
奈緒がなんの気なしに否定した。
「そうなの?」南が訊く。
「うん。右端だったらよくないと思うけど、別にここら辺まで見えるから」
そう言いながら奈緒は右目の前に手刀を立てて、左目の視界の端を示す。
「結構見えてんじゃん」南が感心した。「それじゃあ真ん中の一番後ろの席でも問題なさそう。視力はどう?」
「うん。2.0」
二人はぎょっとした。
「先生、気の使い過ぎ」
南がつっこんでから、春樹に言った。
「奈緒には落ち度ないんだからさ、深谷たちにちゃんと言ってやめさせてよ。なんか高木って、なんだかんだで最後は深谷の肩持っちゃっうんだから」
「いや、うまくかわされるんだよ。ほら、暖乃ってあれじゃん」
「なに?」南が考える。
春樹は、少しモジモジしながら言いよどむ。
「いやぁ、男子は玉砕だろ」
「なんで?」
「だって暖乃、胸。これ見よがしに見せつけてくんじゃん。丸顔でちょっとぽっちゃりした感じだけど、そんなでもないだろ。あれ、胸、大きいからそう見えるだけで、本人もそれ分かってて武器にしてるんだよな。妙に距離近いし、体温伝わるっつーか、無意味に揺らしてくるじゃん。風が伝わるんだよ、身、フリフリしたりしてさ。あれ、ちょっとほんと強烈」
顔が違和感があるほどに紅潮していく。思い出しデレデレなのか、にやけないように必死にこらえているのが丸わかり。
「きてないよ。ダウンでリズムとってるだけでしょ?」南はそう言って、鼻から眉間に力を入れて皺を寄せ「ったく、これだから男子は」と呆れた。
「面目ない」春樹が下を向く。
「やらしい、へんたい。こ の ふ ら ち も の」奈緒が最後に一太刀浴びせて突き刺してとどめを刺した。
「いや、先生の言うことも分かるよ。右目が見えないんだから、右端の方がいいでしょ。左目で左全体を見れた方がいいでしょ」
「別にそんなことない」
奈緒がなんの気なしに否定した。
「そうなの?」南が訊く。
「うん。右端だったらよくないと思うけど、別にここら辺まで見えるから」
そう言いながら奈緒は右目の前に手刀を立てて、左目の視界の端を示す。
「結構見えてんじゃん」南が感心した。「それじゃあ真ん中の一番後ろの席でも問題なさそう。視力はどう?」
「うん。2.0」
二人はぎょっとした。
「先生、気の使い過ぎ」
南がつっこんでから、春樹に言った。
「奈緒には落ち度ないんだからさ、深谷たちにちゃんと言ってやめさせてよ。なんか高木って、なんだかんだで最後は深谷の肩持っちゃっうんだから」
「いや、うまくかわされるんだよ。ほら、暖乃ってあれじゃん」
「なに?」南が考える。
春樹は、少しモジモジしながら言いよどむ。
「いやぁ、男子は玉砕だろ」
「なんで?」
「だって暖乃、胸。これ見よがしに見せつけてくんじゃん。丸顔でちょっとぽっちゃりした感じだけど、そんなでもないだろ。あれ、胸、大きいからそう見えるだけで、本人もそれ分かってて武器にしてるんだよな。妙に距離近いし、体温伝わるっつーか、無意味に揺らしてくるじゃん。風が伝わるんだよ、身、フリフリしたりしてさ。あれ、ちょっとほんと強烈」
顔が違和感があるほどに紅潮していく。思い出しデレデレなのか、にやけないように必死にこらえているのが丸わかり。
「きてないよ。ダウンでリズムとってるだけでしょ?」南はそう言って、鼻から眉間に力を入れて皺を寄せ「ったく、これだから男子は」と呆れた。
「面目ない」春樹が下を向く。
「やらしい、へんたい。こ の ふ ら ち も の」奈緒が最後に一太刀浴びせて突き刺してとどめを刺した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由
棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。
(2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。
女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。
彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。
高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。
「一人で走るのは寂しいな」
「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」
孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。
そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。
陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。
待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。
彼女達にもまた『駆ける理由』がある。
想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。
陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。
それなのに何故! どうして!
陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか!
というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。
嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。
ということで、書き始めました。
陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。
表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる