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一年生の二学期
第十三話 受け止め方
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杏奈の自画自賛は続いていた。
「だいぶクラスの雰囲気はよくなってきたでしょ。成瀬さんが転校してきた時、みんなどう接していいか分からなかったから不安だったんだと思う。聞くと、みんな障がいのある友達って初めてだっていうし、そういうわたしも初めてだったし。だからみんなの気持ちや、どうしてあげたいかを聞いて、それがいい方向に実現できるように導いてあげなきゃって、色々考えたんだからね」
誰も何も言わない。杏奈の独り舞台が盛り上がる。
「でも、みんな違う考え方を持っているし、それを取りまとめるの大変だったのよ。だって、親身になってあげなきゃっていう子もいれば、子供じゃないんだから自立しなきゃなんていう子もいて、放っておけばいいって子もいるし。負担にならないようにみんなで薄く広く協力し合うのが、今はちょうどいいと思うの。その代わりわたしが大変だけど。でもそれもこれも成瀬さんのためだから」
奈緒を見やって微笑み、息を吸いこむ。
「普段は出ない部活にも結構出てるんだよ。先輩と接する機会って、やっぱり部活が一番でしょ。生徒会もあるけど、あれで議題になんかしたら大ごとになりそうだから、どうかなって思うし。部活でおしゃべりしながらなら、角も立たないじゃない。わたし本当成瀬さんのこと好きなんだなぁって実感しちゃった。塾でも勉強に手がつかなくって、気がつくと成瀬さんのこと考えているんだもん」
「本当ごめんね」奈緒が申し訳なさそうに言った。
「ううん、いいの、気にしないで。好きでやってることなんだから。それに、一番の立役者は務君だよ」
そう言って務に微笑み、何か言おうとした奈緒を差し置いて、さらに話し始める。
「わたし一人じゃこんなに出来なかったよ。ほんと、なんでも務君に相談しちゃった。特に先輩に言ってもらうのとか、わたしじゃ勇気がなくて言えなかったもん。務君って、正義感強いし、相談事はなんでも親身になって聞いてくれるし、とても頼りになる」
彼女は、右にいる少し照れを示した務の方に重心を傾けた。
「細かいことにも気がついてくれる繊細なところが、クラスの棘を見つけるアンテナになるんだよね、きっと。わたしたちが協力し合えば、もっといい教室になると思うから、一緒に頑張ろうね」
横で神妙な面持ちを崩さない務を、透けるような視線で一瞬見つめた杏奈は、にこやかに声を弾ませた。
「だいぶクラスの雰囲気はよくなってきたでしょ。成瀬さんが転校してきた時、みんなどう接していいか分からなかったから不安だったんだと思う。聞くと、みんな障がいのある友達って初めてだっていうし、そういうわたしも初めてだったし。だからみんなの気持ちや、どうしてあげたいかを聞いて、それがいい方向に実現できるように導いてあげなきゃって、色々考えたんだからね」
誰も何も言わない。杏奈の独り舞台が盛り上がる。
「でも、みんな違う考え方を持っているし、それを取りまとめるの大変だったのよ。だって、親身になってあげなきゃっていう子もいれば、子供じゃないんだから自立しなきゃなんていう子もいて、放っておけばいいって子もいるし。負担にならないようにみんなで薄く広く協力し合うのが、今はちょうどいいと思うの。その代わりわたしが大変だけど。でもそれもこれも成瀬さんのためだから」
奈緒を見やって微笑み、息を吸いこむ。
「普段は出ない部活にも結構出てるんだよ。先輩と接する機会って、やっぱり部活が一番でしょ。生徒会もあるけど、あれで議題になんかしたら大ごとになりそうだから、どうかなって思うし。部活でおしゃべりしながらなら、角も立たないじゃない。わたし本当成瀬さんのこと好きなんだなぁって実感しちゃった。塾でも勉強に手がつかなくって、気がつくと成瀬さんのこと考えているんだもん」
「本当ごめんね」奈緒が申し訳なさそうに言った。
「ううん、いいの、気にしないで。好きでやってることなんだから。それに、一番の立役者は務君だよ」
そう言って務に微笑み、何か言おうとした奈緒を差し置いて、さらに話し始める。
「わたし一人じゃこんなに出来なかったよ。ほんと、なんでも務君に相談しちゃった。特に先輩に言ってもらうのとか、わたしじゃ勇気がなくて言えなかったもん。務君って、正義感強いし、相談事はなんでも親身になって聞いてくれるし、とても頼りになる」
彼女は、右にいる少し照れを示した務の方に重心を傾けた。
「細かいことにも気がついてくれる繊細なところが、クラスの棘を見つけるアンテナになるんだよね、きっと。わたしたちが協力し合えば、もっといい教室になると思うから、一緒に頑張ろうね」
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