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38.友情
7.思いやり
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原田真理の話が終わって、少しの間会話が途切れた。少し切ない空気が流れる中、寺西が言った。
「上条、どうなってるんだよな」
「あ、村上とのこと?」
「うん、いつまでケンカしてんだろう?」
「だよな、恋敵同士が仲直りしたっていうのに、その相手とギクシャクしてるなんてな」
3年に進級してクラスが一緒にならなかったのは、3-Bの小栗と3-Cの陸だけだ。寺西、有紀子、加奈子は3-Dだった。
クラス替えがあれば友達も変わる。それは小学生の時から経験している。だが、幾度もクラス替えを経てもなお、小栗と寺西は親友であり続けた。
高校に進学してから2年になるまで、2人は有紀子と加奈子との接点は無い。陸が転校して来てから急に仲良くなった。特に加奈子は男子以上に悪ガキだと知って、特別な親近感が湧いている。
2人を加奈子と繋げたのは陸だ。陸がいなければ、2人といる時の加奈子の悪ガキぶりは半減してしまう。2人は、何としても2人のよりを戻したい、と思った。
小栗が、いつもはタブー視して話さなかった話題に触れた。
「でも、村上のヤツ、よく彼氏を取ろうとした渡辺を許したよな」
「ああ、俺、2人とクラス一緒だけど、前より仲良いくらいだぞ」
「でも、村上のあのキレ様、いくとこまでいっちゃったのかな? 上条と渡辺」
「分かんねー、でも3人を仲直りさせたいよな。あいつら、なんだかんだ言っていい3人組だったもんな」
寺西が言い終わった後少し間があってから、「ブハッ」と小栗が笑った。
「ぶふふふふ」
「何だよ、気持ち悪い笑い方だな」寺西が訝る。
「ぶふふ、変態同盟(前身は下品同盟)の為にも」
小栗につられて、寺西もおかしな笑いを起こした。
「ぅんぐっふっふっ、変態同盟の為にも」
スマホのアラームが突然鳴った。キャリアのCMで使われているお囃子の様なコミカルな音が木霊する。寺西大のお気に入りソングだ。
「何だよ、しんみりしてたのに!」
それを聞いた小栗が大爆笑して言った。
「お前の変態は真正だな、変態同盟のくだりでしんみりとは!」
「お前はどうなんだよ」
ガハガハ笑う小栗は、「俺? 俺はー、はんなりしてたよ」と言った。
「何だよ、はんなりって⁉」
「分かんねー」
ガハガハ、ゲラゲラ、笑いが止まらない。お腹ばかりか声までよじれる始末だ。
2人はそばにある階段から上へあがった。バスの時間まで15分くらいある。釣れなくても良いんだ、本当は。2人は思った。こうしてまた学校で頑張れる気力を溜めて、翡翠色の制服を着て家を出るんだ。
「上条、どうなってるんだよな」
「あ、村上とのこと?」
「うん、いつまでケンカしてんだろう?」
「だよな、恋敵同士が仲直りしたっていうのに、その相手とギクシャクしてるなんてな」
3年に進級してクラスが一緒にならなかったのは、3-Bの小栗と3-Cの陸だけだ。寺西、有紀子、加奈子は3-Dだった。
クラス替えがあれば友達も変わる。それは小学生の時から経験している。だが、幾度もクラス替えを経てもなお、小栗と寺西は親友であり続けた。
高校に進学してから2年になるまで、2人は有紀子と加奈子との接点は無い。陸が転校して来てから急に仲良くなった。特に加奈子は男子以上に悪ガキだと知って、特別な親近感が湧いている。
2人を加奈子と繋げたのは陸だ。陸がいなければ、2人といる時の加奈子の悪ガキぶりは半減してしまう。2人は、何としても2人のよりを戻したい、と思った。
小栗が、いつもはタブー視して話さなかった話題に触れた。
「でも、村上のヤツ、よく彼氏を取ろうとした渡辺を許したよな」
「ああ、俺、2人とクラス一緒だけど、前より仲良いくらいだぞ」
「でも、村上のあのキレ様、いくとこまでいっちゃったのかな? 上条と渡辺」
「分かんねー、でも3人を仲直りさせたいよな。あいつら、なんだかんだ言っていい3人組だったもんな」
寺西が言い終わった後少し間があってから、「ブハッ」と小栗が笑った。
「ぶふふふふ」
「何だよ、気持ち悪い笑い方だな」寺西が訝る。
「ぶふふ、変態同盟(前身は下品同盟)の為にも」
小栗につられて、寺西もおかしな笑いを起こした。
「ぅんぐっふっふっ、変態同盟の為にも」
スマホのアラームが突然鳴った。キャリアのCMで使われているお囃子の様なコミカルな音が木霊する。寺西大のお気に入りソングだ。
「何だよ、しんみりしてたのに!」
それを聞いた小栗が大爆笑して言った。
「お前の変態は真正だな、変態同盟のくだりでしんみりとは!」
「お前はどうなんだよ」
ガハガハ笑う小栗は、「俺? 俺はー、はんなりしてたよ」と言った。
「何だよ、はんなりって⁉」
「分かんねー」
ガハガハ、ゲラゲラ、笑いが止まらない。お腹ばかりか声までよじれる始末だ。
2人はそばにある階段から上へあがった。バスの時間まで15分くらいある。釣れなくても良いんだ、本当は。2人は思った。こうしてまた学校で頑張れる気力を溜めて、翡翠色の制服を着て家を出るんだ。
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