愛するということ

緒方宗谷

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38.友情

2.寺西から見た小栗

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 そばの橋から川に下りる。キャンプ場があるから、大人がのんびり肉を焼いている。来る度に休息している人を見るが、いつも何するわけでも無い。小栗がそれを見る度に、やっぱり同じことを毎回言う。
「いいな、ああいうの。休みの日あんな風に過ごしたいな。子連れがいる時は邪魔くさいけどな。
 ――河原そばに家建てて住みたいな、ログハウスとかな」
「どうせだったら、家畜飼おうぜ」
「にわとりとか? 超小型の豚とか食べられるのがいいよな」
 小栗がそう返すと、寺西が「ヤギも」と付け加える。小栗がヤギをどうさばくのかと考えていると、寺西が「ミルクを取るんだよ」と言った。
「ああ」と呟いた小栗が、もし田舎に住んだらどうか、という自分のイメージを聞かせる。
「あの自給自足アイドル? みたいな生活がいいな。完全に自給自足は無理かもしれないけど、家庭菜園作ってさ」
 それに被せて寺西が提案した。
「今度2人で貸菜園借りてみねぇ? 本格的に! 練習しようぜ」
「おお、いいじゃん、栽培しやすいのを研究すんの」
「家の庭で野菜作ってるのって、そういうこと?」
 小栗の家の庭には、小さな菜園がある。4畳くらいの大きさだ。毎年作る作物が違う。大抵、大根、ジャガイモ、ゴボウを繰り返し作っている。稀に青梗菜や枝豆も作っていた。
「実は来年はコメと麦を試してみる予定」と小栗が言った。
「マジで⁉ すげーじゃん!」
 驚く寺西を見て小栗は、少しはにかみながらも自慢げな笑みを見せる。
「主食作ってみようと思ってさ。ジャガイモは寒冷地でもいけるから結構簡単だけど、それ主食ってのもな。今年さつまいも試してるけど、成功してもやっぱ芋だし」
「芋が主食の国もあるけどやっぱり日本人は米でしょ」と2人で笑い合う。
 笑い終えて、寺西が言った。
「前に作った青梗菜は大成功だったろ? アブラナ系はいけるだろ」
「大根は楽勝だけど、白菜は他と比べると大きくなりにくい。葉物はダメ、腹いっぱいにならないもん」
 何年か前に大根を食べさせて貰ったことを思い出した寺西が訊いた。
「冬休みに突然呼び出されて大根食わして貰ったことあるじゃん、すんげぇ甘くて美味いやつ」
「ああ、凍み大根」
「あれは?」
「あれ偶然、凍み大根て言うのはあるんだけど、俺のは冬越しのための土をかぶせ忘れてできただけ」
 寺西は小栗を凄いやつだと思っている。小栗なら言っていることを全て実現できるだろう、と。なんせリアルだから。
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