愛するということ

緒方宗谷

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34.知恵の心の奥

1.コンプレックス

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 知恵は、昔から自分の二頭身的(アニメに出てくるキャラ、若しくは小動物的)可愛さにコンプレックスをいだいていた。
 小学生の時、子供向けファッション誌に登場する少女モデルの様な可愛さを演出すべく、努力をしたことがある。自分の顔に少女モデルがするようなメイクは似合わない。すぐにめげた。だから、あどけないアニメ的な可愛さを追求して、少しぶりっ子なふりをした。
 元々アニメを見る方ではないが、勉強のために見ていた。そのうち、かわい子ぶりっ子のふりにも慣れて、そういうふりをしていないと違和感を覚えるようになった。中学生になってからその傾向に拍車がかかる。
 体に男女の別が浮き彫りになり始める頃、当然意識の中にも男女の別がはっきりし出した。知恵はそれほど成長が早い方ではなかったから、スタイルもコンプレックスに感じるようになった。
 だが、すぐに彼女は気が付いた。セーラー服を着ていれば、12歳とか13歳くらいの女子の間に、体系の差は浮き上がらない。太っているやせているくらいはあるが、それと女子の魅力は関係ない。結構雰囲気で何とかなる、と知った。
 思春期だから、漠然と男子は汚らわしい、と言う女子もいたが、男と女を完全に区別しているようには見えない。精神的なものか脳内物質の影響からか、異性に対する不安定な感情の表れに見えた。それに対して、精神的に早熟な知恵には、男子が汚らわしいとは映らない。
 14歳15歳の頃は、ちょうど一番強烈なコンプレックスのまっただ中にいた。クラスに可愛い女子は沢山いる。アイドルの様な子もいた。制服を着ていてもスタイルの差異は如実に現れている。
 普通な顔立ちの子にも憧れがあった。特別可愛くなくてもとにかく普通な顔立ち、普通に可愛い子が羨ましかった。知恵は、自分の可愛さは女子の可愛さとは違うと感じていたからだ。
 3年生の夏ごろになると、早熟なのは心だけではなくなってきた。相変わらず身長は低いままだったが、男子の目線は、時々宙を舞うように見せかけて自分の胸を見ることに気が付いた。
 クラスの中の可愛さランキングでいえば、知恵は真ん中辺であったが、性的な魅力は1番だ。知恵は、どういう表情をすれば自分の可愛さをいかんなく発揮できるのか、どういう姿勢なら、男子の目をくぎ付けにできるのかに研究の対象を変えていく。
 中学の最後の方は、少しカマトトぶったというかブリッコな感じに色気が加わるようになる。男女の前で態度を変える知恵に、他の女子からは非難の嵐だ。それでも当時好きだった男子と付き合うことが出来た。だからそれに味をしめて、高校に進学してからもその路線を突き進む。
 知恵は、そんな時に陸と出会ったのだった。

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