愛するということ

緒方宗谷

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13.陸の性格 

1.けっこうあれ

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(ああ、眠い)
 ちょうど午後の授業中。陸の頭に教師の言葉は入ってこない。昼下がりの暖かい日差しが教室に差し込む。(だるいんだよな、英語なんて使わねーよ)と思いながら左ひじをついて空を見る。
 東京に戻ると聞いた時はとても嫌だった。何が嫌って、仲間と別れることが嫌だった。瀬川はどうしてる? 五十嵐はどうしてる? 高橋は? ちーやんは? 連絡は取っていない。そんなものだろうか。
 今は今で楽しいけれど、どこか違う。もし交通事故に遭わなかったなら、こんな性格の人生を歩んできたのだろうか。そう思うと、脳みそがフワフワ浮いた感じになる。なんかこう、自分が自分じゃない感じ?
 ヒロちゃんはこんな感じだったのだろうか? いや違うな、と否定して考える。自分と自分の差異というかズレは、記憶と性格の違いだ。何かが微妙に違う。脳波が治ってからというもの、毎日心が穏やかだ。昔の自分は、こんな安らいだ情動からは程遠かった。
 演技なのか、これからこうなっていくのか。もうそうなってしまったのか。少なくとも転校初日は演技だった。いや、演技じゃなかった? 挨拶しただけだから、演技というほどじゃない。
 でも思い返すと、別の意味で演技だ。心臓がバクバクして、心臓と胃が口から出そう。呼ばれたら教室に入るように、と先生に言われて廊下で待っていた時、もう帰ってしまおうかと思った。平静を装って挨拶したんだ。
 初めは、まだ誰も友達じゃなかったから、可もなく不可もない受け答えだけをしていた。最初に仲良くなった小栗と寺西は、良く言えばオチャラ系、悪く言えばガキといった感じの男子だった。
 それで、自分は普通の高校生になったのか。転校生は不利だ。自分の性格が周りのイメージに流されてしまう。本当は蹴鞠なんて興味が無い。でも、蹴鞠好きと思われているから、昼休みの日課は蹴鞠だ。
 釈然としないことには、淡々と意見を言う。特に、弱者がないがしろにされている時はなおさらだ。でも本当はどうでも良い。出来れば関わりたくない。里美のいだいている上条陸像のせいで、言わざるを得ない。
 自分はこんな性格じゃないのに。陸は、そう思ってため息をついた。かったるい。葬式に出ている時の気分だ。暗く落ち込んでいるというわけではない。慣れない礼儀作法を行っている時の様な違和感がある。
 陸は、スペックの違うパソコンに入ってしまったかのように感じた。若しくは、重くてコントロールし難くなったゲームを無理にしている感じだ。
 でもまあ、なるようになるだろ? そう思って黒板を見やる。そして、肩ひじをついたまま寝た。

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