愛するということ

緒方宗谷

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1.追憶

2.未練

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 あれから10年経った。有紀子は17歳。花の高校2年生だ。未だに陸のことが好きなのは明らかだった。
 中学生の時は、恋話などの女子トークに参加する気にもならず、中2の時に友達になった加奈子に、「あんたには亡霊が憑いているから、一生1人身ね」などと言われる始末だ。
 有紀子は、結構な美少女だった。長い黒髪はしっとりとしていて、毛量が多いのか、他の女子よりも重い感じではあるが、濃いめの眉と相まって、少しお淑やかな女子に見えなくもない。
 実際は、成績は真ん中辺で、これといった得意分野もない普通の女の子で活発なわけでもない。だけれども、親友の加奈子が元気いっぱいの女の子で男子の友達も多かったから、そのイメージが有紀子にもついていた。だから男子の評判は上々だと自分でも思う。
 中学の時も、高1の時も、何度か男子に告白されることがあった。有紀子はいつも陸が帰ってきたら、と考えてしまい、告白を断ってしまう。その度に、加奈子から「亡霊、亡霊」といじられていた。
 そのときは笑っていられたが、ここ数か月その言葉が頭に浮かぶ度に、ため息がでる。好きというスイッチが未だに切れない。もしかしたら、一生このままなのだろうか。
 いや、一生このままというわけはない。小学生の時はそう思っていた。いつかは忘れて誰かを好きになるだろう、と。
 しかし、ならなかった。齢を重ねるにつれて、段々と高知までの心の距離は近くなっていって、会いに行ったら、もしかしたら別れる前に戻れるのではないか、と思うようになった。
 その想いが募り過ぎたのだろうか。その結果として、有紀子は陸の夢を見るまでに至ったのかもしれない。
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