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第35話 研究所は王国の夢のつづき
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「ようこそ。ワシの研究所へ」
アルマジェロのような研究所は何層かに区切られているようでありその仕切りがハッキリとわかる様に丈夫な扉がある。
最初に植物の部屋に通された
ツリーグルの執事が説明を始める。
「ここは 世界樹の苗木を作り出す研究施設です。
世界樹の巨木は枯れてしまったのですが葉や茎の一部から再生できることがわかっています。
まあ 育ててもすぐに枯れてしまうのですが・・・。」
リーファが指で植物の葉っぱをちょいと触れると植物はオジギソウのように首を垂れた。
「わあ ビックリ」
エルフは植物が好きなのだろうか?
緑に囲まれているリーファは明らかにテンションが上がっている。
「トシユキ 将来は 緑の多いところで暮らしたい」
「くっついてくるなってば。ところで執事さん。世界樹の巨木はどうして枯れてしまったんだ?」
「一説には種族交代というものがあります。
世界樹の巨木と共に永遠にも思える寿命を手に入れたエルフのように
世界樹の巨木が生える前はある植物によって獣族が永遠に近い寿命を手に入れ
世界を支配していたといわれています。
ひょっとすると世界樹は枯れ、次の種族に加護を与える植物がどこかで育っているのかもしれません」
しばらく進むと頑丈な鉄の扉が現れて、重たい扉を開けるとまた広い部屋が現れるかと思いきや
個室が並んだ小さな部屋の沢山ある場所に出た。
一歩部屋の中へ足を踏み入れると平衡感覚がおかしくなり
天井と床の重力が逆になった。
迷路のようにぐにゃぐにゃの通路には個室が並んでいるが部屋の中は扉が閉ざされていて見ることが出来ない。
ツリーグルが笑い出す。
「驚かせてしまったかのう。この部屋はただのゴミ箱じゃ
この研究所を動かすための魔法エネルギーを作り出すための部屋ともいえるがな。がはは」
「ゴミって何ですか?私たちの世界でもリサイクルエネルギーと言う考え方があります」
「ゴミ――それは。童貞をこじらせた人間じゃよ。
驚いたかのう?
魔物を召喚する力もつBランク以上の冒険者たちからその魔力の提供を受けておるのじゃ。
むろん、召喚の力を失った冒険者は多額の報酬を渡して開放しとるから安心せい。がっはは」
「旦那様は さらなる冒険者を確保するためにギルドを潰したがっていたのです」
「何を申す! まあよい。がははは」
様々な方向に重力が変化するのは魔力的なものだろうか。
通路を進んでいると執事に声をかけられた。
「トシユキ様は 精霊石の光がお見えになるようですね。ロリ様の首輪の石の光を見つけることが出来たのがその証拠」
「ああ リーファと同じように見えているのかはわからないけど光は見える」
「さようでございますか。
トシユキ様は もしかすると・・いいえ、何でもありません」
どういう意味かは分からないまま次の丈夫な扉が開いた。
そこは今まで仕切られていたような部屋とは違い
広い空間で円形の部屋だった。
中央には 精霊石の支柱が建てられておグリーンの光を放っている。
よく目を凝らすと石の中心には女性が祈りをささげる姿が見える。
「ここが研究所の真ん中に当たる部屋じゃ
見える者と見えぬ者がいるであろうがこの支柱の中心に眠る女性こそ
ワシの妻のエリーゼなのじゃ」
アケミとミリーは「何も見えない」と言っていたが確かに支柱の中心には美しい大人のエルフが祈りを捧げて眠りについている。
母親と言うだけあって大人っぽくしたリーファと言った感じだ。
もちろん 胸は大きい。
「お母さん!!!」
リーファは精霊石に両手をつくと母に向かって叫んだり
石を叩いたりするものの、母は祈りから目を覚まさない。
ツリーグルが、また 涙を流し始めた。
「この――涙を流す目は妻のため。そしてもう一つの目はお前を見るためにハトに食わせた。
この部屋は母を再び目覚めさせるために用意した部屋なのだ」
ツリーグルはリーファの肩に手をやると再び語り始めた。
「王は世界樹の加護により1,000を超える寿命を手に入れながらも不老不死の研究を進めたのだ。
そのため――世界樹の木は枯れ始め、砂漠化と共に次の新し種族の苗木が育つこととなってしまった。
しかしだ。
しかし――精霊石の研究は素晴らしい点が多い。
膨大な魔力さへ注ぎ込めば妻を目覚めることができるのじゃ」
執事が咳払いをする。
「旦那様。トシユキ様はやはりお見えになられているようです。
あのを願いをしてみてはいかがでしょうか?」
ツリーグルがトシユキの前に近寄る。
トシユキに頼みとは一体何があるのだろう?
今のトシユキならBランク以上の力があることは確実だ、だから
童貞をこじらせて研究所のエネルギーになれとでもいうのだろうか?
「トシユキよ お主だけに頼みがある。付いてきてくれぬか?
リーファよ。お前はもう少し母の側にいてやってくれ。
では トシユキよ――隣の部屋まで来てはくれぬか?
そこには お前たちの探し求めていた答えがあるのじゃ」
トシユキはツリーグルに連れられて精霊石の反対側にある扉から次の部屋に入った。
「この部屋は!」
トシユキがそこでみたものは真っ黒な転移ポータルだった。
ツリーグルは転移ポータルを指さした。
「これが 恐らくは――お前たちが元の世界に変えることが出来る転移ポータルじゃ
王家の記録によればこれこそ 異次元の扉
この扉より見える世界はこの世の世界とは異なる緑あふれる世界だという。
しかし 一度そちらの世界へ渡ってしまえば再び戻ってくる事が出来ぬことから
封印されてしまった転移ポータルなのじゃ」
俺たちが元いた世界には 精霊だとかエルフだとか色々な物語が存在する。
この転移ポータルは間違いだろうけど、突然こんなものが現れていいのか?
「ええええ!」
アルマジェロのような研究所は何層かに区切られているようでありその仕切りがハッキリとわかる様に丈夫な扉がある。
最初に植物の部屋に通された
ツリーグルの執事が説明を始める。
「ここは 世界樹の苗木を作り出す研究施設です。
世界樹の巨木は枯れてしまったのですが葉や茎の一部から再生できることがわかっています。
まあ 育ててもすぐに枯れてしまうのですが・・・。」
リーファが指で植物の葉っぱをちょいと触れると植物はオジギソウのように首を垂れた。
「わあ ビックリ」
エルフは植物が好きなのだろうか?
緑に囲まれているリーファは明らかにテンションが上がっている。
「トシユキ 将来は 緑の多いところで暮らしたい」
「くっついてくるなってば。ところで執事さん。世界樹の巨木はどうして枯れてしまったんだ?」
「一説には種族交代というものがあります。
世界樹の巨木と共に永遠にも思える寿命を手に入れたエルフのように
世界樹の巨木が生える前はある植物によって獣族が永遠に近い寿命を手に入れ
世界を支配していたといわれています。
ひょっとすると世界樹は枯れ、次の種族に加護を与える植物がどこかで育っているのかもしれません」
しばらく進むと頑丈な鉄の扉が現れて、重たい扉を開けるとまた広い部屋が現れるかと思いきや
個室が並んだ小さな部屋の沢山ある場所に出た。
一歩部屋の中へ足を踏み入れると平衡感覚がおかしくなり
天井と床の重力が逆になった。
迷路のようにぐにゃぐにゃの通路には個室が並んでいるが部屋の中は扉が閉ざされていて見ることが出来ない。
ツリーグルが笑い出す。
「驚かせてしまったかのう。この部屋はただのゴミ箱じゃ
この研究所を動かすための魔法エネルギーを作り出すための部屋ともいえるがな。がはは」
「ゴミって何ですか?私たちの世界でもリサイクルエネルギーと言う考え方があります」
「ゴミ――それは。童貞をこじらせた人間じゃよ。
驚いたかのう?
魔物を召喚する力もつBランク以上の冒険者たちからその魔力の提供を受けておるのじゃ。
むろん、召喚の力を失った冒険者は多額の報酬を渡して開放しとるから安心せい。がっはは」
「旦那様は さらなる冒険者を確保するためにギルドを潰したがっていたのです」
「何を申す! まあよい。がははは」
様々な方向に重力が変化するのは魔力的なものだろうか。
通路を進んでいると執事に声をかけられた。
「トシユキ様は 精霊石の光がお見えになるようですね。ロリ様の首輪の石の光を見つけることが出来たのがその証拠」
「ああ リーファと同じように見えているのかはわからないけど光は見える」
「さようでございますか。
トシユキ様は もしかすると・・いいえ、何でもありません」
どういう意味かは分からないまま次の丈夫な扉が開いた。
そこは今まで仕切られていたような部屋とは違い
広い空間で円形の部屋だった。
中央には 精霊石の支柱が建てられておグリーンの光を放っている。
よく目を凝らすと石の中心には女性が祈りをささげる姿が見える。
「ここが研究所の真ん中に当たる部屋じゃ
見える者と見えぬ者がいるであろうがこの支柱の中心に眠る女性こそ
ワシの妻のエリーゼなのじゃ」
アケミとミリーは「何も見えない」と言っていたが確かに支柱の中心には美しい大人のエルフが祈りを捧げて眠りについている。
母親と言うだけあって大人っぽくしたリーファと言った感じだ。
もちろん 胸は大きい。
「お母さん!!!」
リーファは精霊石に両手をつくと母に向かって叫んだり
石を叩いたりするものの、母は祈りから目を覚まさない。
ツリーグルが、また 涙を流し始めた。
「この――涙を流す目は妻のため。そしてもう一つの目はお前を見るためにハトに食わせた。
この部屋は母を再び目覚めさせるために用意した部屋なのだ」
ツリーグルはリーファの肩に手をやると再び語り始めた。
「王は世界樹の加護により1,000を超える寿命を手に入れながらも不老不死の研究を進めたのだ。
そのため――世界樹の木は枯れ始め、砂漠化と共に次の新し種族の苗木が育つこととなってしまった。
しかしだ。
しかし――精霊石の研究は素晴らしい点が多い。
膨大な魔力さへ注ぎ込めば妻を目覚めることができるのじゃ」
執事が咳払いをする。
「旦那様。トシユキ様はやはりお見えになられているようです。
あのを願いをしてみてはいかがでしょうか?」
ツリーグルがトシユキの前に近寄る。
トシユキに頼みとは一体何があるのだろう?
今のトシユキならBランク以上の力があることは確実だ、だから
童貞をこじらせて研究所のエネルギーになれとでもいうのだろうか?
「トシユキよ お主だけに頼みがある。付いてきてくれぬか?
リーファよ。お前はもう少し母の側にいてやってくれ。
では トシユキよ――隣の部屋まで来てはくれぬか?
そこには お前たちの探し求めていた答えがあるのじゃ」
トシユキはツリーグルに連れられて精霊石の反対側にある扉から次の部屋に入った。
「この部屋は!」
トシユキがそこでみたものは真っ黒な転移ポータルだった。
ツリーグルは転移ポータルを指さした。
「これが 恐らくは――お前たちが元の世界に変えることが出来る転移ポータルじゃ
王家の記録によればこれこそ 異次元の扉
この扉より見える世界はこの世の世界とは異なる緑あふれる世界だという。
しかし 一度そちらの世界へ渡ってしまえば再び戻ってくる事が出来ぬことから
封印されてしまった転移ポータルなのじゃ」
俺たちが元いた世界には 精霊だとかエルフだとか色々な物語が存在する。
この転移ポータルは間違いだろうけど、突然こんなものが現れていいのか?
「ええええ!」
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