9 / 10
9話 幼い勇者と両想い
しおりを挟む
俺は墓地へ逃げた。
アンデットが出ると言われている場所なら 追ってもすぐには来ないだろう。
この場所は 日中なのにもかかわらず 切がかかっていて不気味な感覚が肌を針で刺すようだ。
「麻袋のロープをほどくね。 ジェニーよく我慢しね」
袋の中からはどんなジェニーが出てくるだろう。
笑顔かな?
ぼさぼさの髪型の 落ち込んじゃったジェニーかな?
何の心配もいらないよ。もう一人じゃないから・・。
でも 袋を下に下げると寝間着姿のジェニーは 涙を流した顔で出てきた。
きっと これは何かの間違いだ。
そうだ 俺だってことがわからないよね? 安心させてあげなくちゃ。
「トシユキだよ。安心してジェニー・・」
涙で前が見えないジェニーに 俺の声で安心をさせてあげるんだ。
声が通じると「トシユキ?」と聞き返してきて やっぱり 気が付いていなかっただけだったんだと思った。
でも 「トシユキ どうして?帰りたいよ うわぁぁぁん」と鳴き始めてしまった。
どうして?
君の腕を つかむと君は振りほどいた。。なんで?
「見てくれよ! このブルーのブレスレッドは ジェニーがくれたものだろ?大事にしてるんだ。俺の宝物なんだ!」
ジェニーに腕輪を見せつけた。
15歳のあの日の 君の気持ちを忘れたとは言わせない!
ブレスレッドを見せると 泣き止んで安心した表情になってくれた。
もしろ ほくそ笑むような。よくわからない感情に取り付かれるように、余裕の笑みを浮かべているけど
どうしたんだろう?
「ふふふ それね。「しずくの糸」と言われる珍しい糸なの。女の子の間で想いを伝えたい相手に贈るもので毎日少しずつ作っていくものなの。そんなに嬉しかった?」
「ジェニーは忙しいのに 俺のために作ってくれたんだね。大切にするよ。ありがとう」
「違うわ。わからないの?今のあなたならそうねぇ・・3本。。いいえ10本でも手に入れられるわよ。試しに私のバザーの向かえにお店を出していた子。それから・・の子。それから・・あの子も。頼んでごらんなさい。あなたのために作ってくれるはずよ」
「1本で十分さ。気持ちの重さが違うから」
「あ~ら そんなに気に入ってくれたの?ふふふ はははぁ!!」と大笑いを始めたジェニーは何が可笑しいのかな。お腹が痛いのかな?
「勝ったわ。あの子にも・・あの子にも。。ふふふ。私ってすごいのね。涙が出ちゃうわ。ふふふ。
でもね トシユキ、もうやめましょう。私はお姫様になりたかったし、あなたは本当は勇者様のような存在になりたかったのよね?でも 商人のジョブの私を幸せにするなんて簡単な事だし、あなただってすぐ手の届くところに幸せは眠っているはずよ。」
ジェニーは 俺の両肩に手を置いてうつむく俺の瞳を見つめると「大人になりましょ?」と言って諭してきた。
「うん 君の気持ちはわかったよ ジェニー」
プイプイ??
プイプイ??
ボン!
「あら? 可愛いモルモットちゃんが消えちゃったわよ。どうしちゃったの?」
「ああ 可愛いけど召喚獣だからね。俺の魔力の関係で消えちゃったんだと思うよ」
「相当 落ち込んじゃったのね? そうねぇ・・ 実は私、近いうちにこの街を出るの。だから今晩一晩だけ、トシユキと一緒にいてあげるわ」
ジェニーは優しかった。
だから 好きになったんだと思う。
そうだ 明日 15歳の贈り物をしよう。そのためにも眠らなくっちゃ。
さすがに 墓場で眠るわけには行かないので 墓場の監視小屋へ移動してモルモットたちを墓場に放った。
仲間意識の強いモルモットならアンデットが出てきたらすぐに 知らせてくれるだろうし
俺のレベルなら 物理攻撃がどうこうという以前にアンデットも怖がって寄り付いてこないだろうし
朝日が出るまで 殴り合ったっていい。
さて そろそろ 眠ろうかな。
「ローソクの明かりを消してもいいかな?」
「ええ いいわよ」
真っ暗な部屋の中で 俺とジェニーは子供の頃の話をした。
「じゃぁ ダンジョンで生活できると本当に思ってたの?ははは」
「だって 絵本ではお菓子で出来た階層にたどり着くのよ ふふふ」
・・・
ああ なんて幸せなんだ。
・・
俺がジェニーに求めていた物は いったい何だったんだろう?
・
慣れない事をしたせいか、深い眠りについた・・・
・・・・
「トシユキ・・寝ちゃったのね。召喚士になれておめでとう。愛してるわ。だけど、明日で、さようなら・・」
チュ!
・・・・
コケコッコー!!
ニワトリの声がした。
アンデットが出ると言われている場所なら 追ってもすぐには来ないだろう。
この場所は 日中なのにもかかわらず 切がかかっていて不気味な感覚が肌を針で刺すようだ。
「麻袋のロープをほどくね。 ジェニーよく我慢しね」
袋の中からはどんなジェニーが出てくるだろう。
笑顔かな?
ぼさぼさの髪型の 落ち込んじゃったジェニーかな?
何の心配もいらないよ。もう一人じゃないから・・。
でも 袋を下に下げると寝間着姿のジェニーは 涙を流した顔で出てきた。
きっと これは何かの間違いだ。
そうだ 俺だってことがわからないよね? 安心させてあげなくちゃ。
「トシユキだよ。安心してジェニー・・」
涙で前が見えないジェニーに 俺の声で安心をさせてあげるんだ。
声が通じると「トシユキ?」と聞き返してきて やっぱり 気が付いていなかっただけだったんだと思った。
でも 「トシユキ どうして?帰りたいよ うわぁぁぁん」と鳴き始めてしまった。
どうして?
君の腕を つかむと君は振りほどいた。。なんで?
「見てくれよ! このブルーのブレスレッドは ジェニーがくれたものだろ?大事にしてるんだ。俺の宝物なんだ!」
ジェニーに腕輪を見せつけた。
15歳のあの日の 君の気持ちを忘れたとは言わせない!
ブレスレッドを見せると 泣き止んで安心した表情になってくれた。
もしろ ほくそ笑むような。よくわからない感情に取り付かれるように、余裕の笑みを浮かべているけど
どうしたんだろう?
「ふふふ それね。「しずくの糸」と言われる珍しい糸なの。女の子の間で想いを伝えたい相手に贈るもので毎日少しずつ作っていくものなの。そんなに嬉しかった?」
「ジェニーは忙しいのに 俺のために作ってくれたんだね。大切にするよ。ありがとう」
「違うわ。わからないの?今のあなたならそうねぇ・・3本。。いいえ10本でも手に入れられるわよ。試しに私のバザーの向かえにお店を出していた子。それから・・の子。それから・・あの子も。頼んでごらんなさい。あなたのために作ってくれるはずよ」
「1本で十分さ。気持ちの重さが違うから」
「あ~ら そんなに気に入ってくれたの?ふふふ はははぁ!!」と大笑いを始めたジェニーは何が可笑しいのかな。お腹が痛いのかな?
「勝ったわ。あの子にも・・あの子にも。。ふふふ。私ってすごいのね。涙が出ちゃうわ。ふふふ。
でもね トシユキ、もうやめましょう。私はお姫様になりたかったし、あなたは本当は勇者様のような存在になりたかったのよね?でも 商人のジョブの私を幸せにするなんて簡単な事だし、あなただってすぐ手の届くところに幸せは眠っているはずよ。」
ジェニーは 俺の両肩に手を置いてうつむく俺の瞳を見つめると「大人になりましょ?」と言って諭してきた。
「うん 君の気持ちはわかったよ ジェニー」
プイプイ??
プイプイ??
ボン!
「あら? 可愛いモルモットちゃんが消えちゃったわよ。どうしちゃったの?」
「ああ 可愛いけど召喚獣だからね。俺の魔力の関係で消えちゃったんだと思うよ」
「相当 落ち込んじゃったのね? そうねぇ・・ 実は私、近いうちにこの街を出るの。だから今晩一晩だけ、トシユキと一緒にいてあげるわ」
ジェニーは優しかった。
だから 好きになったんだと思う。
そうだ 明日 15歳の贈り物をしよう。そのためにも眠らなくっちゃ。
さすがに 墓場で眠るわけには行かないので 墓場の監視小屋へ移動してモルモットたちを墓場に放った。
仲間意識の強いモルモットならアンデットが出てきたらすぐに 知らせてくれるだろうし
俺のレベルなら 物理攻撃がどうこうという以前にアンデットも怖がって寄り付いてこないだろうし
朝日が出るまで 殴り合ったっていい。
さて そろそろ 眠ろうかな。
「ローソクの明かりを消してもいいかな?」
「ええ いいわよ」
真っ暗な部屋の中で 俺とジェニーは子供の頃の話をした。
「じゃぁ ダンジョンで生活できると本当に思ってたの?ははは」
「だって 絵本ではお菓子で出来た階層にたどり着くのよ ふふふ」
・・・
ああ なんて幸せなんだ。
・・
俺がジェニーに求めていた物は いったい何だったんだろう?
・
慣れない事をしたせいか、深い眠りについた・・・
・・・・
「トシユキ・・寝ちゃったのね。召喚士になれておめでとう。愛してるわ。だけど、明日で、さようなら・・」
チュ!
・・・・
コケコッコー!!
ニワトリの声がした。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる