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それは、知らないはずがない未知
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「また会ったねえ、翠くん。こんにちは」
「あ……こ、こんにちは」
俺の季節だと言わんばかりに大きく響くセミの鳴き声を、まだ高度を上げきらない太陽がこれでもかと日差しを照りつけてくる夏の朝。
嫌気がさしてしまうほどの蒸し暑さの中でも変わらず透ける美しい透明をまとう少女、羽美と出会うこと、5回目である。
初めて出会った日以来、やけに道端で出会うなと思っていた翠だが、今までは互いに見知らぬ人であっただけであり、元から通る道が同じなのであれば、その道を通る時に出くわすのは何ら不思議なことではなかった。
「にしても翠くん、いっつもこの道通ってお買い物行ってたんだね。私の家の目の前なんだし、翠くんほどの綺麗な子、毎日見てたら気付くはずなのに。翠くんこそ、私のこと見たこと無かった?」
「はあ……あんまり、人のこと気にしないので」
「あはは、わかる。翠くんそんな感じするもん。私も同じだし、お互い知らないのも無理ないかあ」
そんな感じする、とはどういうことだろうか。社交性皆無の人間に見られたのだろうか。失礼な物言いだが当を得ているので翠は何も言い返せない。
そっかぁ、と1人腑に落ちた様子の羽美だが、一方で、今まで翠が羽美に気付けなかったことが、翠にはどうも不思議でならなかった。すれ違うだけでも色を感じる翠が、頻繁に会っていたはずの羽美の色に、それもこんな美しいものに気づけないことなどあろうか。
人の顔こそ覚えるのが苦手な翠であるが、強烈な印象を伴う人の"色"を忘れることはそうあるまい。この透明に心当たりがないことは、それを今まで知らなかったことの何よりの証拠であるのだ。
「そういえば翠くん。私と同じくらいの年齢に見えるけど、いくつなの?」
「あ……15、です。学校は……近くの中学に在籍はしてますが、ちょっと訳あって……行けていません」
「へえー、15かぁ!若いなぁ、いいなぁ」
くるりとこちらに顔を向けた羽美の突然の質問に驚き、肩を震わせた。学生は学校に行くものである、という世間の常識から外れていることの後ろめたさを無意識のうちに抱いていたのだろうか。つっかえつっかえになりながら思わず聞かれていないことまでカミングアウトした翠だったが、反応に困るであろうことを言われたにもかかわらず羽美はあっけらかんとしている。
「あの……学校に行っていないこと、変に思わないんですか?……羽美さんは制服ですから、学校に行っているんですよね……?」
「うん?別に思わないよ?人それぞれの事情があるじゃない。私は高校に行っているけど、それが普通だとは限らないからねえ」
「そう……ですか」
ふわりと、優しく微笑む羽美。羽美の笑顔は、瞬間、彼女の周りの澄んだ空気が煌めいたかとさえ錯覚させた。その瞳は、翠を少しも蔑視していなかったし、不登校を気にする様子は欠片も無かった。きらきらと、色のない透った色が羽美の周りを照らしている。
それは畏怖すら覚えるほどに、どこまでもただ透き通る輝きで――
「あぁ!いけない、そろそろ行かないと遅刻しちゃう!」
その美しさに引き込まれていた翠の意識は、不意に響く羽美の慌てた声で引き戻された。羽美の手にしているスマホには8時30分の時刻が表示されている。
「私、もう行くね。この間はたまたまお昼過ぎに帰る日だったから助けてあげられたけど、これからは気をつけるんだよ?お昼頃は特に暑いんだから、ちゃんとお水を飲むこと!」
「あ、はい。この間はすみません……気をつけます」
「はい、それで良し!それじゃあね、翠くん」
窘めに対する翠の返事に満足したのか、にぱっと微笑んで歩き出す羽美。咲いた彼女の笑みに、かすかにトパーズのような暖かい色が舞って、ふわりと消えていった。翠は、その後ろ姿をただずっと、呆然と見送っていたが、
「……僕も行かなきゃ」
1人呟き、翠は羽美の向かった先とは反対方向のコンビニへと歩き出した。
______________________
「おめでとうございまーす!!お兄さん、いや僕?かな、2等賞の『よこまち動物園ペアチケット』ですよー!」
客もまばらな店内に、カランカランッと軽い鐘の音と共に、威勢のいい店員の声が響いた。会計の列に並ぶ後ろの客が苛立った視線を送っているが、それに気が付かない店員の手には「500円以上お買い上げで1回引けるくじ引きキャンペーン」の2等賞、「よこまち動物園ペアチケット」が握られている。
「あ……りがとうございます……」
しまった。笑顔が引きつってしまったかも、と思ったが、たまたま勧められた気の進まないくじ引きで、たまたま当ててしまった、欲しくもない、使うつもりもない動物園のペアチケットを渡されるのだ。その上背中には痛いほど苛立ちの視線を感じる。そんな場面で上手く使える愛想の良い自然な笑顔など自分は持ち合わせていないのだ、仕方ないと翠は思い直した。
チケットを渡す店員の様子はいかにも明るく楽しげであり、その陽だまりのような色からは"あどけなさが可愛いな" "いつもここで買い物をしてくれているな"といった、翠へ向けられたニュアンスを感じとれた。……のだが、そこには、それに加えて少しの翳りもあった。
"こんな時間にこんな服装で、一体この子はいつも何をしているんだろう?それにこの、ミドリの瞳……
――変な子だ"
冷たい。瞬間の、突き刺さるような凍てついた色。コンビニの冷気だけが原因でないであろう、冷えてしまった体を庇うかのように背中を丸め、会計を済ませた商品とチケットを手にした翠は足早に店を出た。
_______________________
コンビニから出て歩くこと3分。足取りは、鉛を引きずるかのように重い。太陽はまだ真上には無いのに、熱と冷の襲来を一身に受けた、小さな翠をなぶり楽しむかのようにして、これでもかと存在を主張しながら照りつけていた。
もうこんなこと、慣れっこだ。
今まで何度だって、翠はそう思ってきた。ミドリだと思われるだけなら、どれだけマシなことだろうか。確かに、紛れもなく自分の目はミドリなのである。それが翠にとっての普通であり、他人にとっての異常だ。ミドリをみて"ミドリだ"と思うことの何が悪い。何も悪くない。そんなことは翠にだってわかっている。
しかし、翠が思うに、他人に意識される回数とは、それ即ち自身が異常だと意識する回数と同義だ。「案外人は他人のことなんて気にしてないよ」だなんて言葉はまやかしだ。その言葉が何の慰めになるというのだ。自身のことと他人のことを、常に同じベクトルで気にする者がどこにいようか。人が他人に向ける視線。紛れもなくそこには"意識"があり、異なるのはその"質"である。他人に向けるそれは、下卑た"興味"なのである。
人から無遠慮に向けられる興味は、本来はそう頻繁に実感するものではないのだろう。しかし生憎、翠にはそれが筒抜けであるので、何度も自身の異質さを確認する機会に恵まれるという、ありがた迷惑を被っている。"ミドリは、普通じゃない"、それは理解してもなお、実感となって何度も翠の心を貫通する。
そういえば、彼女だけはミドリと呼ばなかった。彼女は確かに、下品な関心も、戦慄も、嘲りも無く、瞳の色を"翠"と言ったのだ。彼女は、彼女だけは翠のそれを"異質"とはしなかった。
羽美。彼女は一体何者なのか。何者、とは何を以て定義するのかと問われたら何も答えられないが、彼女についての謎は、どうにも"何者なのだろうか"とするしかないように思われるのである。ある意味、彼女は空っぽなのだ。無色透明で、掴みどころのない様はまるで水のようでもある。
生まれた時からずっとそばにある"水"とは、なんなのか。あまり、僕らは日常の中でその正体を意識しない。改めて問われると、答えられない。
彼女は、水だ。無色透明で美しく、その本質を意識させないままに、知らぬ間にそこにある。
今まで存在に気付くことができなかった、水なのである。
「あの子は……何なんだろうな」
「あ……こ、こんにちは」
俺の季節だと言わんばかりに大きく響くセミの鳴き声を、まだ高度を上げきらない太陽がこれでもかと日差しを照りつけてくる夏の朝。
嫌気がさしてしまうほどの蒸し暑さの中でも変わらず透ける美しい透明をまとう少女、羽美と出会うこと、5回目である。
初めて出会った日以来、やけに道端で出会うなと思っていた翠だが、今までは互いに見知らぬ人であっただけであり、元から通る道が同じなのであれば、その道を通る時に出くわすのは何ら不思議なことではなかった。
「にしても翠くん、いっつもこの道通ってお買い物行ってたんだね。私の家の目の前なんだし、翠くんほどの綺麗な子、毎日見てたら気付くはずなのに。翠くんこそ、私のこと見たこと無かった?」
「はあ……あんまり、人のこと気にしないので」
「あはは、わかる。翠くんそんな感じするもん。私も同じだし、お互い知らないのも無理ないかあ」
そんな感じする、とはどういうことだろうか。社交性皆無の人間に見られたのだろうか。失礼な物言いだが当を得ているので翠は何も言い返せない。
そっかぁ、と1人腑に落ちた様子の羽美だが、一方で、今まで翠が羽美に気付けなかったことが、翠にはどうも不思議でならなかった。すれ違うだけでも色を感じる翠が、頻繁に会っていたはずの羽美の色に、それもこんな美しいものに気づけないことなどあろうか。
人の顔こそ覚えるのが苦手な翠であるが、強烈な印象を伴う人の"色"を忘れることはそうあるまい。この透明に心当たりがないことは、それを今まで知らなかったことの何よりの証拠であるのだ。
「そういえば翠くん。私と同じくらいの年齢に見えるけど、いくつなの?」
「あ……15、です。学校は……近くの中学に在籍はしてますが、ちょっと訳あって……行けていません」
「へえー、15かぁ!若いなぁ、いいなぁ」
くるりとこちらに顔を向けた羽美の突然の質問に驚き、肩を震わせた。学生は学校に行くものである、という世間の常識から外れていることの後ろめたさを無意識のうちに抱いていたのだろうか。つっかえつっかえになりながら思わず聞かれていないことまでカミングアウトした翠だったが、反応に困るであろうことを言われたにもかかわらず羽美はあっけらかんとしている。
「あの……学校に行っていないこと、変に思わないんですか?……羽美さんは制服ですから、学校に行っているんですよね……?」
「うん?別に思わないよ?人それぞれの事情があるじゃない。私は高校に行っているけど、それが普通だとは限らないからねえ」
「そう……ですか」
ふわりと、優しく微笑む羽美。羽美の笑顔は、瞬間、彼女の周りの澄んだ空気が煌めいたかとさえ錯覚させた。その瞳は、翠を少しも蔑視していなかったし、不登校を気にする様子は欠片も無かった。きらきらと、色のない透った色が羽美の周りを照らしている。
それは畏怖すら覚えるほどに、どこまでもただ透き通る輝きで――
「あぁ!いけない、そろそろ行かないと遅刻しちゃう!」
その美しさに引き込まれていた翠の意識は、不意に響く羽美の慌てた声で引き戻された。羽美の手にしているスマホには8時30分の時刻が表示されている。
「私、もう行くね。この間はたまたまお昼過ぎに帰る日だったから助けてあげられたけど、これからは気をつけるんだよ?お昼頃は特に暑いんだから、ちゃんとお水を飲むこと!」
「あ、はい。この間はすみません……気をつけます」
「はい、それで良し!それじゃあね、翠くん」
窘めに対する翠の返事に満足したのか、にぱっと微笑んで歩き出す羽美。咲いた彼女の笑みに、かすかにトパーズのような暖かい色が舞って、ふわりと消えていった。翠は、その後ろ姿をただずっと、呆然と見送っていたが、
「……僕も行かなきゃ」
1人呟き、翠は羽美の向かった先とは反対方向のコンビニへと歩き出した。
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「おめでとうございまーす!!お兄さん、いや僕?かな、2等賞の『よこまち動物園ペアチケット』ですよー!」
客もまばらな店内に、カランカランッと軽い鐘の音と共に、威勢のいい店員の声が響いた。会計の列に並ぶ後ろの客が苛立った視線を送っているが、それに気が付かない店員の手には「500円以上お買い上げで1回引けるくじ引きキャンペーン」の2等賞、「よこまち動物園ペアチケット」が握られている。
「あ……りがとうございます……」
しまった。笑顔が引きつってしまったかも、と思ったが、たまたま勧められた気の進まないくじ引きで、たまたま当ててしまった、欲しくもない、使うつもりもない動物園のペアチケットを渡されるのだ。その上背中には痛いほど苛立ちの視線を感じる。そんな場面で上手く使える愛想の良い自然な笑顔など自分は持ち合わせていないのだ、仕方ないと翠は思い直した。
チケットを渡す店員の様子はいかにも明るく楽しげであり、その陽だまりのような色からは"あどけなさが可愛いな" "いつもここで買い物をしてくれているな"といった、翠へ向けられたニュアンスを感じとれた。……のだが、そこには、それに加えて少しの翳りもあった。
"こんな時間にこんな服装で、一体この子はいつも何をしているんだろう?それにこの、ミドリの瞳……
――変な子だ"
冷たい。瞬間の、突き刺さるような凍てついた色。コンビニの冷気だけが原因でないであろう、冷えてしまった体を庇うかのように背中を丸め、会計を済ませた商品とチケットを手にした翠は足早に店を出た。
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コンビニから出て歩くこと3分。足取りは、鉛を引きずるかのように重い。太陽はまだ真上には無いのに、熱と冷の襲来を一身に受けた、小さな翠をなぶり楽しむかのようにして、これでもかと存在を主張しながら照りつけていた。
もうこんなこと、慣れっこだ。
今まで何度だって、翠はそう思ってきた。ミドリだと思われるだけなら、どれだけマシなことだろうか。確かに、紛れもなく自分の目はミドリなのである。それが翠にとっての普通であり、他人にとっての異常だ。ミドリをみて"ミドリだ"と思うことの何が悪い。何も悪くない。そんなことは翠にだってわかっている。
しかし、翠が思うに、他人に意識される回数とは、それ即ち自身が異常だと意識する回数と同義だ。「案外人は他人のことなんて気にしてないよ」だなんて言葉はまやかしだ。その言葉が何の慰めになるというのだ。自身のことと他人のことを、常に同じベクトルで気にする者がどこにいようか。人が他人に向ける視線。紛れもなくそこには"意識"があり、異なるのはその"質"である。他人に向けるそれは、下卑た"興味"なのである。
人から無遠慮に向けられる興味は、本来はそう頻繁に実感するものではないのだろう。しかし生憎、翠にはそれが筒抜けであるので、何度も自身の異質さを確認する機会に恵まれるという、ありがた迷惑を被っている。"ミドリは、普通じゃない"、それは理解してもなお、実感となって何度も翠の心を貫通する。
そういえば、彼女だけはミドリと呼ばなかった。彼女は確かに、下品な関心も、戦慄も、嘲りも無く、瞳の色を"翠"と言ったのだ。彼女は、彼女だけは翠のそれを"異質"とはしなかった。
羽美。彼女は一体何者なのか。何者、とは何を以て定義するのかと問われたら何も答えられないが、彼女についての謎は、どうにも"何者なのだろうか"とするしかないように思われるのである。ある意味、彼女は空っぽなのだ。無色透明で、掴みどころのない様はまるで水のようでもある。
生まれた時からずっとそばにある"水"とは、なんなのか。あまり、僕らは日常の中でその正体を意識しない。改めて問われると、答えられない。
彼女は、水だ。無色透明で美しく、その本質を意識させないままに、知らぬ間にそこにある。
今まで存在に気付くことができなかった、水なのである。
「あの子は……何なんだろうな」
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私は別にそこら辺はあまり気にはしないのですが、読者が増えてくるとそういう部分を色々言ってくる人もいるので早めに言っておこうかと。
せっかく良い作品なのに内容ではなくてルールに関しての感想が来たら勿体ないじゃないですか😅
なのでスタイルは変えず、かつルールに則って執筆していけばもっと良い作品になると思います!
長文になってしまいましたが、これからも最新話の更新を楽しみにしております。
素敵な作品をありがとうございました😊
お読みいただきありがとうございます!!心情描写についてお褒め頂けて光栄です、、!ルールに関してのご指摘もありがとうございます!小説を読むのも、お話を作るのも大好きなのですが、お恥ずかしながらそういったルールには疎いもので、、教えて頂けてすごく助かりました!