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出会ったのは透明な色で
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「――っ」
目覚めは最悪だった。
久しぶりに見る過去の夢。汗にまみれた寝巻きが体に張り付く感覚を不快に思いながら、まだ鳴っていない目覚まし時計に手を伸ばす。
時計の針が指していたのは5時。起きるにはまだ少々早かったが、あまりの汗のかき具合にもう一度眠る気にもなれず、仕方なく布団を抜け出す。
出窓に置かれた小さな花瓶。咲き誇るベニバナの背には、雲一つない爽やかな青空が覗いていた。どこからともなく透明なセミの鳴き声が聞こえてくる。
その鳴き声に混ざって、階段の下から、母が玄関の扉を開ける音が聞こえてきた。
_______________________
「はぁ、あっつ……」
母からのメモを表示したスマホを片手に、家を出てはや3秒。規格外の熱が翠を覆っていた。
「そういや、今日今年一番の猛暑ってニュースで言ってたっけ……いや、にしてもこれはおかしいって……」
スマホのお天気アプリでは、太陽を模した愛らしいキャラクターが「熱中症に注意!」と書かれている看板をもっている。いや、お前のせいで暑いんだよと翠は心の中で毒づく。
夢見の悪さに昼まで食欲が出なかった結果、朝食と昼食は揃って食パン1枚だった。いつもよりも短い睡眠時間に少なすぎる食事量のせいか、襲い来る熱気に体が悲鳴をあげている。おまけに、今日の買い物リストの中には家から歩いて2Kmもあるスーパー特製の惣菜があった。
「うわ、真っ赤……」
途中ですれ違った、しきりに汗を拭いているサラリーマンのような装いの人から、まさに塗りつぶしたような「赤」が感じられた。複雑な感情を持ち合わせる人間からここまでの単色を感じるだなんて。
目に痛い赤が思いきり飛び込んできたことに気を滅入らせつつも、歩かないことには仕方が無いのでなんとか歩いていく。この時ばかりは、道路を走る車の排気ガスがとても恨めしく思えた。
「……」
スーパーまで残り半分を越えたあたりまで来た頃、足取りが怪しくなりはじめた。相変わらず太陽は真上でさんさんと照り付けている。ひどく暑さにやられた頭が働かない。視界がぐるぐる回る。近くのフェンスへ伸ばした手は力なく、言うことを聞かない足は次の1歩を出してくれない。
「家を出る前に……水くらい、飲むんだった」
ガンガンと響く頭痛の中、微かな独り言を最後に、翠の意識はぷつりと途切れた。
__
_____
_________
涼しい空気の中、甘い香りが漂ってきて翠の鼻をくすぐる。
少しずつ意識が覚醒し、ゆっくりと目を開けると、見たことの無いオシャレなペンダントライトが天井から部屋全体を優しく照らしていた。
ぼんやりと視線を横に向けると、小さな机が目に入った。そこに置かれた小箱はかなり洒落たもので、近くには美しいオーロラの写真が写真立てに飾られていた。
さぞかし持ち主のセンスがいい事だろう――
「 ――えっ?どういうこと……ここは!?」
間違いなく自分の家ではないことを理解した翠は、たまらず飛び起きた。すると、部屋の奥に静かに佇み、紅茶を飲んでいる少女と目が合った。
「あ、気が付いた?よかった……けれど、やっぱり救急車の方がよかったかなぁ」
少女の、透き通った美しい声が、何が何だかわからずに混乱している翠の中に優しく染み渡っていった。
「君、私の家の目の前で突然倒れたの。ちょうど私がそのすぐ後ろを歩いててね、こんな暑さだから多分熱中症かなぁと思ったんだけど……家の目の前だったし、すぐに涼しいところへって思ったから、ここに運んじゃった」
セミロングの、色素の薄い美しい茶髪が印象的な少女は、勝手にごめんね、と申し訳なさそうにいきさつを説明をした。
ところが、少女による説明は翠の右耳から左耳へと抜けていく。翠は、それどころではなかった。
――信じられない。
その少女の色は、紛れもなく「透明」だったのだ。いや、クリスタルと言っても過言ではないかもしれない。暗い洞窟の奥に人知れず眠る、自然による暴力かとも思うほどの美しさをもつ水晶のような、穢れを知らない純粋無垢な輝き。
それが、彼女の”色”だった。
こんな色は見たことがない。今までに、例え優れた人格者だと言われるような人と出会っても、感じるのは必ず私利私欲の暗く濁った部分を併せ持つ、いかにも「人間らしい」といえる色ばかりだった。そういう意味では、今目の前にいる存在はとても「人間」には見えなかった。
「……君、聞こえてる?もしかして、まだ回復しきっていないのかな、今からでも救急車呼んだ方がいいかな……」
翠の反応がないことを心配に思った少女がスマホを手にしたので、翠は慌てて止めに入った。
「あっ、いや、あの!だ、大丈夫です……回復しましたので」
少女の口にした「回復」という単語につられる。思えば、母以外の人と会話するのはいつぶりか。とはいえ、母には一方的に話しかけているだけだったので、会話と呼べるのかどうかは怪しいところではあるが。
「本当?良かったぁ……救急車、呼ぶところだった」
翠の言葉が聞けた少女の表情が、ぱぁっと華やぐ。翠の、とりあえずは大丈夫そうな様子を見て、心から安心しているのだろう。彼女の色が、安らぎの、ペリドットのような淡い美しさをたたえる。
「あ、あの……僕が倒れてから、どのくらい経つんですか?」
そういえばお使いの途中だったということに気付いた翠は、おずおずと少女に尋ねてみる。母が待っているから、早く買い物を済ませ家に帰らないと。これ以上、母にがっかりされたくはない。
まあ、経っていてもせいぜい5分くらいであろうと、高を括っていたのだが――
「ん?急いでいるの?えっとね……1時間くらい、かな」
「――えっ、1時間!?」
自分が1時間も人の家で眠りこけていたという事実に凄まじい衝撃が走る。とんでもない。母はどうしているだろうか。
「よくわからないけど、あんまり焦って飛び出してまた暑さに倒れたりしたら大変だよ?もう少し家でゆっくりしていったら?――あ、そうだ。さっきクッキーが焼きあがったんだけど、よかったら召し上がって」
ふわりと微笑む少女だが、焦りに焦っている翠は気が気でない。自分を起こした甘い香りの正体はクッキーだったんだな、なんてことを心のどこかで思いつつも、頂いている場合ではないと慌てて近くにあった自分のスマホを手にした。
「あのっ、ごめんなさい!僕、すごく急いでるんです。助けていただいたいてありがとうございましたっ」
お礼の言葉を噛んでいることにすら気づかないままばっと家を飛び出そうとする翠を、「待って!」と少女の声が呼び止める。
「急いでるなら出ていくことは無理に止めないけれど、せめて名前くらい教えて欲しいな……?」
目を伏せ、遠慮がちにそう言う少女は少し寂しそうだった。彼女の色は、そんな寂寥感さえも美しいラリマーの淡い空色のようだった。
「名前……すいです。ミドリって書いて、翠」
「ミドリ」。一般的に、この文字を説明するならきっと用いないであろう言葉を、あえて使った説明だった。別にわざわざ意識した訳ではないのだが、無意識のうちに自嘲する気持ちがこもっていたのかもしれない。
しかし目の前の美しい少女はそんな皮肉にも気づかない様子で、「すい…翠。へえ、綺麗だね。君の瞳の色と同じだ。翠、かぁ」と舌の上で「翠」の名を転がしていた。
「それじゃあ、気をつけてね。外はまだ暑いから」
そう言って見送ろうとした少女だが、まだ自分の名を名乗っていないことに気がつき、少しはにかんで名乗った。
「あ、私は……羽美っていいます」
”羽美”。それは、翠には広く、遠く、何処までも続くような広大な美しさを持つ名前のように感じられた。
青く透けるようなサファイヤの色を輝かせながら、羽美がにっこりと微笑んだ。
「それじゃあまたね、翠くん」
目覚めは最悪だった。
久しぶりに見る過去の夢。汗にまみれた寝巻きが体に張り付く感覚を不快に思いながら、まだ鳴っていない目覚まし時計に手を伸ばす。
時計の針が指していたのは5時。起きるにはまだ少々早かったが、あまりの汗のかき具合にもう一度眠る気にもなれず、仕方なく布団を抜け出す。
出窓に置かれた小さな花瓶。咲き誇るベニバナの背には、雲一つない爽やかな青空が覗いていた。どこからともなく透明なセミの鳴き声が聞こえてくる。
その鳴き声に混ざって、階段の下から、母が玄関の扉を開ける音が聞こえてきた。
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「はぁ、あっつ……」
母からのメモを表示したスマホを片手に、家を出てはや3秒。規格外の熱が翠を覆っていた。
「そういや、今日今年一番の猛暑ってニュースで言ってたっけ……いや、にしてもこれはおかしいって……」
スマホのお天気アプリでは、太陽を模した愛らしいキャラクターが「熱中症に注意!」と書かれている看板をもっている。いや、お前のせいで暑いんだよと翠は心の中で毒づく。
夢見の悪さに昼まで食欲が出なかった結果、朝食と昼食は揃って食パン1枚だった。いつもよりも短い睡眠時間に少なすぎる食事量のせいか、襲い来る熱気に体が悲鳴をあげている。おまけに、今日の買い物リストの中には家から歩いて2Kmもあるスーパー特製の惣菜があった。
「うわ、真っ赤……」
途中ですれ違った、しきりに汗を拭いているサラリーマンのような装いの人から、まさに塗りつぶしたような「赤」が感じられた。複雑な感情を持ち合わせる人間からここまでの単色を感じるだなんて。
目に痛い赤が思いきり飛び込んできたことに気を滅入らせつつも、歩かないことには仕方が無いのでなんとか歩いていく。この時ばかりは、道路を走る車の排気ガスがとても恨めしく思えた。
「……」
スーパーまで残り半分を越えたあたりまで来た頃、足取りが怪しくなりはじめた。相変わらず太陽は真上でさんさんと照り付けている。ひどく暑さにやられた頭が働かない。視界がぐるぐる回る。近くのフェンスへ伸ばした手は力なく、言うことを聞かない足は次の1歩を出してくれない。
「家を出る前に……水くらい、飲むんだった」
ガンガンと響く頭痛の中、微かな独り言を最後に、翠の意識はぷつりと途切れた。
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涼しい空気の中、甘い香りが漂ってきて翠の鼻をくすぐる。
少しずつ意識が覚醒し、ゆっくりと目を開けると、見たことの無いオシャレなペンダントライトが天井から部屋全体を優しく照らしていた。
ぼんやりと視線を横に向けると、小さな机が目に入った。そこに置かれた小箱はかなり洒落たもので、近くには美しいオーロラの写真が写真立てに飾られていた。
さぞかし持ち主のセンスがいい事だろう――
「 ――えっ?どういうこと……ここは!?」
間違いなく自分の家ではないことを理解した翠は、たまらず飛び起きた。すると、部屋の奥に静かに佇み、紅茶を飲んでいる少女と目が合った。
「あ、気が付いた?よかった……けれど、やっぱり救急車の方がよかったかなぁ」
少女の、透き通った美しい声が、何が何だかわからずに混乱している翠の中に優しく染み渡っていった。
「君、私の家の目の前で突然倒れたの。ちょうど私がそのすぐ後ろを歩いててね、こんな暑さだから多分熱中症かなぁと思ったんだけど……家の目の前だったし、すぐに涼しいところへって思ったから、ここに運んじゃった」
セミロングの、色素の薄い美しい茶髪が印象的な少女は、勝手にごめんね、と申し訳なさそうにいきさつを説明をした。
ところが、少女による説明は翠の右耳から左耳へと抜けていく。翠は、それどころではなかった。
――信じられない。
その少女の色は、紛れもなく「透明」だったのだ。いや、クリスタルと言っても過言ではないかもしれない。暗い洞窟の奥に人知れず眠る、自然による暴力かとも思うほどの美しさをもつ水晶のような、穢れを知らない純粋無垢な輝き。
それが、彼女の”色”だった。
こんな色は見たことがない。今までに、例え優れた人格者だと言われるような人と出会っても、感じるのは必ず私利私欲の暗く濁った部分を併せ持つ、いかにも「人間らしい」といえる色ばかりだった。そういう意味では、今目の前にいる存在はとても「人間」には見えなかった。
「……君、聞こえてる?もしかして、まだ回復しきっていないのかな、今からでも救急車呼んだ方がいいかな……」
翠の反応がないことを心配に思った少女がスマホを手にしたので、翠は慌てて止めに入った。
「あっ、いや、あの!だ、大丈夫です……回復しましたので」
少女の口にした「回復」という単語につられる。思えば、母以外の人と会話するのはいつぶりか。とはいえ、母には一方的に話しかけているだけだったので、会話と呼べるのかどうかは怪しいところではあるが。
「本当?良かったぁ……救急車、呼ぶところだった」
翠の言葉が聞けた少女の表情が、ぱぁっと華やぐ。翠の、とりあえずは大丈夫そうな様子を見て、心から安心しているのだろう。彼女の色が、安らぎの、ペリドットのような淡い美しさをたたえる。
「あ、あの……僕が倒れてから、どのくらい経つんですか?」
そういえばお使いの途中だったということに気付いた翠は、おずおずと少女に尋ねてみる。母が待っているから、早く買い物を済ませ家に帰らないと。これ以上、母にがっかりされたくはない。
まあ、経っていてもせいぜい5分くらいであろうと、高を括っていたのだが――
「ん?急いでいるの?えっとね……1時間くらい、かな」
「――えっ、1時間!?」
自分が1時間も人の家で眠りこけていたという事実に凄まじい衝撃が走る。とんでもない。母はどうしているだろうか。
「よくわからないけど、あんまり焦って飛び出してまた暑さに倒れたりしたら大変だよ?もう少し家でゆっくりしていったら?――あ、そうだ。さっきクッキーが焼きあがったんだけど、よかったら召し上がって」
ふわりと微笑む少女だが、焦りに焦っている翠は気が気でない。自分を起こした甘い香りの正体はクッキーだったんだな、なんてことを心のどこかで思いつつも、頂いている場合ではないと慌てて近くにあった自分のスマホを手にした。
「あのっ、ごめんなさい!僕、すごく急いでるんです。助けていただいたいてありがとうございましたっ」
お礼の言葉を噛んでいることにすら気づかないままばっと家を飛び出そうとする翠を、「待って!」と少女の声が呼び止める。
「急いでるなら出ていくことは無理に止めないけれど、せめて名前くらい教えて欲しいな……?」
目を伏せ、遠慮がちにそう言う少女は少し寂しそうだった。彼女の色は、そんな寂寥感さえも美しいラリマーの淡い空色のようだった。
「名前……すいです。ミドリって書いて、翠」
「ミドリ」。一般的に、この文字を説明するならきっと用いないであろう言葉を、あえて使った説明だった。別にわざわざ意識した訳ではないのだが、無意識のうちに自嘲する気持ちがこもっていたのかもしれない。
しかし目の前の美しい少女はそんな皮肉にも気づかない様子で、「すい…翠。へえ、綺麗だね。君の瞳の色と同じだ。翠、かぁ」と舌の上で「翠」の名を転がしていた。
「それじゃあ、気をつけてね。外はまだ暑いから」
そう言って見送ろうとした少女だが、まだ自分の名を名乗っていないことに気がつき、少しはにかんで名乗った。
「あ、私は……羽美っていいます」
”羽美”。それは、翠には広く、遠く、何処までも続くような広大な美しさを持つ名前のように感じられた。
青く透けるようなサファイヤの色を輝かせながら、羽美がにっこりと微笑んだ。
「それじゃあまたね、翠くん」
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