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第1章 フランコルム帝国近衛飛龍隊創設!

第13話 常に疑いあれ

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 何もない草原に一風奇妙な景観が加わったのは、初飛行の2日後の事であった。

 地面に3メートルほどの長さの杭が突き刺さり、20メートル間隔で縦一列に50本並んでいた。

 その列に並行するように飛龍が後方から加速をつけて代わる代わる飛んでいく。

 列の両端には地上班員が1人ずつ立っている。飛龍が列の最初の1本目に到達すると、1本目の側に居る隊員は持たされた拳銃を地面めがけて撃って合図をする。

 銃声を聞いた2人目はストップウォッチで飛龍の通過時間を計測し、目標の時間より早いか遅いかを旗で飛龍乗りに合図し、そうこうするうちに次の飛龍が飛んでくる。この繰り返しであった。

 これはベップの発案による飛行速度を身体で覚えるための訓練である。

 全速で飛んで軽飛龍は時速80キロ、重飛龍は60キロは出るが、パレードとなれば整然と全ての飛龍が同じ速度で飛ばねば皇帝の願い通りの飛行はおぼつかない。

 一定の速度を保って飛行し、集合地点への集合時間を極力揃えてあとは着陸で微調整をするというのが飛龍隊のプランであった。

 初飛行で周辺地域に噂が広まったと見えて、見物人が日に日に増えていた。遠くから来たらしきも人もちらほらある。

 今のところ機密にするような訓練はしていないので見物人は野放しだが、今日は都会人の集団が一番良い所に陣取っていた。陸軍省が差し向けた記者団である。

 午前中には本部で記者会見が行われて基本的な説明はなされていたが、小休止ともなれば記者達は飛龍乗りに群がって質問攻めである。

 一番記者に人気があるのがギョームであった。名高き近衛騎兵連隊最先任下士官が飛龍に乗り換えたというのは、いかにも読者受けが良い。

「騎兵に未練はありませんか?」

「陛下直々のご指名で飛龍に乗れるのは無常の喜びというものだが、未練が無いと言えば嘘になる。だからこそ私の後任には一番出来の良い甥を指名した」

 歴戦の勇士だけあって過去に取材を受けた事も一度や二度ではなく、ギョームの受け答えは堂々たる物である。ギョームとは顔見知りと思しき『帝都日報』の記者は上機嫌であった。

「消息筋の間では女伯は皇后小隊に進まれるという見方が有力でしたが、飛龍隊に落ち着いた決め手は何です?」

 『全フランコルム』の記者がジャンヌに際どい質問をぶつける。

「私は軍人としての出世を求めて士官学校に進みました。なので侍従勤務より現場での勤務を望み、その結果飛龍隊に推薦されました。飛龍隊が成功すれば私の願いは叶うと信じています」

 落ちぶれたとは言え、古地図にはレミ伯爵領が大書されているような名家の継承者である。そのうえ珍しい女性将校のジャンヌにコメントを求める記者もまた多い。

「飛龍の戦術的価値について、博士はどう考えています?」

「おそらく私の生きているうちにその可能性を掘り尽くすのは不可能でしょう。かようなる財産を帝国が得たのはまさに僥倖でありまして…」

 学術雑誌『科学の集い』の記者が苦笑する。ベップのコメントを書き記して要約するのは骨だが、読み解くと一番中身のあるコメントをするのがベップであった。

 3人は紳士録に名前が載るような有名人だが、モーリスは違う。それ故モーリスにコメントを求める記者は少ない。こういう時にモーリスはいくらかの惨めさを感じずにはいられなかった。

「あなたは、エウスカル人と聞きましたが?」

 3人に質問をするでもなくぶらぶらしていたある記者が不意にモーリスに訪ねた。

「そうですよ。元はエウスカルの漁師です」

「何故海軍から飛龍隊に?」

「バスティア元帥から推薦されました」

「どうです?水兵から飛龍乗りになった気分は」

「そりゃあもう、最高です」

 そこまで答えたところで小休止が終わった。

 かくして飛龍隊を取材した記者達は挙って飛龍隊を記事にした。1日遅れで届く自分達の記事の話題で飛龍隊は持ちきりである。

「見ろ、一面だ!『パスカル家、馬から飛龍へ』だと」

 ギョームは初雪亭でワインを飲みながら『帝都日報』の一面記事を妻子に読み聞かせて上機嫌である。門外不出だが、パスカル家は一家についての新聞記事を集めた分厚いスクラップブックを秘蔵していた。

 一人つまらなそうにしているのがモーリスである。モーリスのコメントはどこも埋め草程度の扱いで、飛龍乗りとしての体面を損なう事甚だしい。

 泣き面に蜂としか言いようのない事件が起きたのが8月になった直後であった。たった1紙だけ、モーリスをメインに持ってきた新聞があったのだ。

 だが、中身が問題だった。赤茶色の目立つが質の悪い紙を使った『疑え!』と題するその新聞は露骨な反体制と過激な風刺が売り物で、労働者に人気がある反面、知的階級からは新聞とみなされていない。

「司令、こんな嘘しか書かないような新聞の記者を招いたのですか?」

 朝の会議で新聞を前にギョームはブレスト司令に問い詰めた。

「いや、陸軍省からは何も聞いておらん」

 ブレスト司令は『血税を吸う飛龍ども』という過激な見出しの新聞を手に顔をしかめた。本物よりかなり禍々しい飛龍が人を食べているいかがわしい挿絵入りである。

「大方記者が見物人に混じっていて、小休止の時に正規の記者に紛れ込んだんでしょう。この手の新聞のやりそうな事です」

 ジャンヌは向かいの席で小さくなっているモーリスに複雑な表情を向けた。

「だとしても、この記事はあまりに酷い。言論の自由は帝国憲法の定める所ですが…」

 ベップも珍しく怒っているが、モーリスには足しにもならない。

 記事を読んでみると、飛龍は体重と同量の金より高価な皇帝陛下のペットであるとか、飛龍乗りで正式な士官教育を受けているのはジャンヌだけで、それとて女なので怪しいとか、いかにも世間に不満を持った貧しい人を興奮させそうな事がつらつらと書いてある。

 わけても酷い裏見出しは『この見出しが読めるかも怪しいエウスカル人の漁師を飛龍に乗せた』という代物で、有名人でもなければ身分もないモーリスには遠慮は無用と言わんばかりの論調で悪意の込められた批判が書かれている。

「とにかく、こんな記事に心を惑わされていてはいかん。我々は2週間後のパレードに向けて訓練を重ねるのみだ。いいな」

 ブレスト司令のその一言で会議は締めくくられたが、こうなるともう飛龍乗り達の心構え一つとはいかない。

 飛龍隊が新聞記事になった事で見物人は増える一方だが、飛龍乗りにはその見物人の目つきが変わったように見える。

 特にモーリスは見物人の方を向かないようにしている有様であった。なのに、記者達は今までおまけ扱いしていたモーリスからコメントを取ろうと躍起になるのである。

 それが建前上はモーリスと帝国の名誉を守る為だとしても、モーリスには耐え難い苦しみであった。

 皇帝寄りの新聞は挙って『疑え!』の記事に反論を展開した。ある新聞はエウスカル人も帝国臣民として平等の権利を認められていると人道に訴え、またある新聞はバスティア元帥に取材をしてモーリスが有望で優れた船乗りである旨を記載して火消しを狙う。

 だが、何をやっても『疑え!』の思う壺であった。話が大きくなるほど、他の新聞が反論するほどに記事は過激になっていく。

 ある日は陸軍の若手将校が何故将校でなく水兵を寄越したのかと海軍省にねじ込んだという真偽不明のゴシップを書き、議会が紛糾すればその詳報をまるでボクシングの観戦記のような体裁で載せる。

 挙げ句は懇意の賭け屋と手を組み、飛龍隊の解散になる日を予想する賭けの予想記事が一面に踊った。

 そうして議論が議論を呼んで『疑え!』の発行部数は日増しに増えていく。もはや軍の一存でどうこうできる問題ではなくなってしまった。

 モーリスは最初は信仰に救いを求めた。こういう時の為にコクトー神父は居るのである。

 コクトー神父は協会のベンチでうなだれるモーリスの隣に座って気休めになりそうな事を言う。そうして数え切れない死に行く男をコクトー神父は助け、導いてきたのだ。

「エスクレド少尉、君は船乗りでしょう?海に出れば向かい風の日も時化の日もある。人生もまた同じですよ」

「けど神父様、船は沈めばそれまでだ」

「ところが、神は大工の子でもあるのです。だから人という船は、案外に頑丈に出来ているのですよ」

 コクトー神父は教会に掲げられた十字架にかけられる神の像を指し示す。

「ところでエスクレド少尉、私が何歳か知っていますか?」

「いえ。70歳くらいですか?」

「私は今年で85歳になります。少尉の4倍も生きているのですよ」

 モーリスは思わず顔を上げた。85歳といえば、レオ一世が生きていればさほど変わらない歳である。そんな長寿は滅多に居るものではない。

「私という人間も、信仰も、また教会それ自体もその間に何度も沈みかけました。特に、少尉くらいの年頃にはね」

 コクトー神父は膝に乗せた啓典を撫でながら、激動の若き日に思いを馳せた。

 旧王朝が革命によって倒され、暴走した革命政府を今度はレオ一世が掌握し、大陸を席巻ていった時代をコクトー神父は肌で知っているのである。その間に教会がどれほどの混乱にさらされてきたのか、モーリスも一応は知っている。

「けど、私はこうして信仰を守って生きています。5人目の教皇に仕えながらね。例え途中に嵐に見舞われようと、人という船は神の導くままに船着き場へと辿り着くのです」

 海軍兵学校付の司祭だっただけに船を引き合いに出したコクトー神父の説教はいくらかモーリスの助けになったが、いかに船乗りが信心をしようと、船は沈む時には沈むという現実もモーリスは確かに見て来た。モーリスという船は間違いなく沈没の危機に瀕していた。

 モーリスは訓練だけはこなしていたが、生来の明るさを失い、勤務時間以外はずっと初雪亭で一人飲んだくれるようになった。この騒動で飛龍隊に得をした者があるとすれば、大酒飲みのモーリスの需要を一手に引き受けるモランだけであろう。

「さあ、飲みなさいな。辛い時には記憶を無くすまで飲む。酒は苦しむ人の伴侶であり、落ち込みへの最大の良薬というもの」

 夜毎モーリスはモランに勧められるままに浴びるほど飲み、空のワインボトルがカウンターに幾本も並ぶ。それは見ている方が辛くなるような嫌な光景である。

「畜生!俺だって皇帝陛下からお墨付きを頂いた飛龍乗りだ!帝国臣民だ!」

 モーリスのあまりの荒れ様に他の隊員はかける言葉もない。ここまで来るともはや気休めの言葉は逆効果でしかない。

「モーリスさん、そんなに飲むと体を壊しますよ」

 そんな荒れた夜が3日も続いただろうか。意を決したテオドラがカウンターの隣の席に腰掛け、モーリスに言葉をかけた。

「なんだ?自分だけ弾の飛んでこない所に隠れてたくせに」

 テオドラは記者の質問攻めに耐えられないだろうというブレスト司令の判断で記者から隠されていた。

「大体なんだ?お前が占いで俺を選んだって言うじゃねえか。それでこの様だ」

「私の占いはよく当たるんですよ」

「じゃあどうして俺一人こんな目に遭う?クニじゃ家族が今頃白い目で見られてるんだぞ」

 そろそろ帝都の新聞もエウスカルに届く頃合いである。家族知人からの手紙によると、モーリスが近衛親衛隊の将校に抜擢されたというニュースはエウスカルでは驚きと喜びをもって迎えられたという。

 それだけに、このバッシングで家族が肩身の狭い思いをするだろうと想像するとモーリスには耐えられなかった。

「じゃあ、占ってみましょう」

 テオドラは愛用のタロットカードを取り出すと、何やら呪文を呟いて何枚かを菱形にカウンターの上に並べた。

「まずは、真ん中のカードを開いてください」

 モーリスは馬鹿らしさを隠そうともしない素振りで乱暴に菱形の中心のカードを裏返した。運命の輪のカードが上下反対で現れた。

「これはアクシデントを意味してます。モーリスさんの置かれた状況です」

「そのくらいならそこらの路地裏の占い師でもやるよ」

 モーリスはテオドラの占いを信じない。むしろ、こんな単純な占いで自分がこんな騒動に巻き込まれてしまったのかと思うと腹立たしかった。

「じゃあ、今度は一番手前のカードを」

 モーリスは一番手前のカードをひっくり返す。今度は魔術師だ。

「これは過去のモーリスさんを示します」

「意味は?」

「チャンスとか可能性ってところですね」

「可能性は閉ざされたもんな」

 モーリスはモランからワインボトルを受け取ると、とうとう直接ボトルに口をつけて飲み始めた。こんな事なら、望み薄でも拿捕賞金を求めて海を睨んでいたほうが気楽で夢が感じられたはずだと今のモーリスには思えた。

「じゃあ、反対側を。これは未来です」

 モーリスは促されるままめくったカードは上下反対の月であった。

「月みたいに沈んでいく運命か」

 モーリスはついにはテオドラに背を向けてしまった。

「とんでもない。運が向くって事です」

「沈んだ月が戻ってくるもんか。そんな事が起きるのは神話だけだ」

 モーリスは呆れて席を立ち、ボトルを手に初雪亭を出て行ってしまった。

「不味い事になったな」

 入れ違いに入ってきたジャンヌはカードを片付けるテオドラの隣に座り、ビールをモランに注文した。

「あのままじゃエスクレドは立ち直れなくなる」

「カードは立ち直れるって言ってるのに…」

 流石にテオドラもしゅんとして、モーリスの状況の好転を示す月のカードを眺めながら悲しそうに呟いた。

「テオドラ、君の占いはそんなによく当たるのか?」

「女伯さんだってこのカードで飛龍隊にって決めたんですよ」

「なるほど、それならよく当たるんだろうな」

 ジャンヌはモーリスが開けたまま出ていったドアを眺めてビールを口に運んだ。ジャンヌは自分が飛龍隊に選ばれた事に今やいささかの疑念も抱かず、ただ無上の喜びと思っていた。

「なあ、私も占ってくれないか?」

「ええ、いいですよ」

「あれ、女伯もやはり女でらっしゃる。女は占いが好きとは通り相場ですものね」

 モランが冷やかすのを無視して2人の視線はカウンターに並べられるカードに集中していた。それは創設早々に思わぬところから訪れた飛龍隊の危機から目を背けるための、細やかな気休めであった。
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