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帰り道
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「……遊佐、大丈夫かな」
あの後、僕達(僕と愛純)はすぐに遊佐の家をあとにした。
律の件があったばかりだったので、女の子を一人で帰すわけにはいかないと僕が送り役を買ってでたのだ。
「ごめんね、わざわざ」
愛純がちらっとこっちを向く。
「いや全然!」
口では空元気でそう言うものの、正直僕も遊佐のことが気になっていた。
「連絡でもしてみるか」
そう言って僕は遊佐に電話を繋げた
プルルルル、プルルルル、プルルルル……
3コール目が過ぎてもまだでない。
プルルルル、プルルルル、プルルルル……
6コール目。
それでもなお電話にでないので僕達はますます遊佐のことが心配になった。
「ねえ、大丈夫かな」
愛純が不安そうにこちらを見る。
「きっとでるさ…」
今にも消えそうなか細い声で僕が答えた直後だった。
「いででででで……ぐあぁぁぁあ!!!」
ガサゴソというノイズの音と共に、
電話の向こう側から遊佐の声が響いた。
「遊佐?!」
……返答がない。
しかし、絶えずノイズは響き渡っている。
「遊佐?返事して!」
愛純の涙混じりの声にようやく返事かえってきた。
「バツヲアタエマシタ」
……と。
一瞬にして場が凍りつく。
見ず知らずの聞き覚えのない女の声に
「遊佐はどうした!」
とイラつきを含めた口調で怒鳴りつけた。
「誰、誰なの…その女…」
愛純が怯えながらに口を開く。
「遊佐!おい!聞こえるか!遊佐!」
僕はスマートフォンに向かってひたすら叫ぶ。
しかし、不気味な女の声を最後に一切の返答がない。
「ねえ、その女なによ……」
先程と同じ言葉を愛純が繰り返す。
「分からない」
遊佐の一刻を争う状況に、僕は頭がいっぱいいっぱいになっていた。
「ねえ、虹希……」
愛純の繰り返される問いに、思わず
「僕だってわかんないよそんなの!」
と声を荒らげた時だった。
ザーーーーーーーーーッ
と、電話の向こうから砂嵐のような音が聞こえ、
プツンとその直後に切れた。
「あ…ああ……」
と愛純が遂に腰を抜かしてその場に座り込んだ。
「愛純?」
僕は愛純を立ち起こそうと中腰で手を差し出す。
「あ………あぁ、あ…」
口をパクパクと開け、声にならない声で何かを訴えようとしてる愛純。
「どうした?何が言いたい?」
遊佐のことでパニックになっているのか?と思ったが、
愛純は右手を大きくふるわせ、怯えた表情で僕を指さした。
「は?」
予想だにしなかった愛純のその行動の意図がわからず、
僕は思わず間抜けな声を出してしまった。
一体どういうことだ?
「う………しろ」
愛純が歯をガタガタと震わせ、小さな小さな声で確かにそう言った気がした。
それを聞き、僕は勢いよく咄嗟に後ろを振り返る。
「コンニチハ」
そこには赤いランドセルを背負った
顔のよく見えない女の子が立っていた。
あの後、僕達(僕と愛純)はすぐに遊佐の家をあとにした。
律の件があったばかりだったので、女の子を一人で帰すわけにはいかないと僕が送り役を買ってでたのだ。
「ごめんね、わざわざ」
愛純がちらっとこっちを向く。
「いや全然!」
口では空元気でそう言うものの、正直僕も遊佐のことが気になっていた。
「連絡でもしてみるか」
そう言って僕は遊佐に電話を繋げた
プルルルル、プルルルル、プルルルル……
3コール目が過ぎてもまだでない。
プルルルル、プルルルル、プルルルル……
6コール目。
それでもなお電話にでないので僕達はますます遊佐のことが心配になった。
「ねえ、大丈夫かな」
愛純が不安そうにこちらを見る。
「きっとでるさ…」
今にも消えそうなか細い声で僕が答えた直後だった。
「いででででで……ぐあぁぁぁあ!!!」
ガサゴソというノイズの音と共に、
電話の向こう側から遊佐の声が響いた。
「遊佐?!」
……返答がない。
しかし、絶えずノイズは響き渡っている。
「遊佐?返事して!」
愛純の涙混じりの声にようやく返事かえってきた。
「バツヲアタエマシタ」
……と。
一瞬にして場が凍りつく。
見ず知らずの聞き覚えのない女の声に
「遊佐はどうした!」
とイラつきを含めた口調で怒鳴りつけた。
「誰、誰なの…その女…」
愛純が怯えながらに口を開く。
「遊佐!おい!聞こえるか!遊佐!」
僕はスマートフォンに向かってひたすら叫ぶ。
しかし、不気味な女の声を最後に一切の返答がない。
「ねえ、その女なによ……」
先程と同じ言葉を愛純が繰り返す。
「分からない」
遊佐の一刻を争う状況に、僕は頭がいっぱいいっぱいになっていた。
「ねえ、虹希……」
愛純の繰り返される問いに、思わず
「僕だってわかんないよそんなの!」
と声を荒らげた時だった。
ザーーーーーーーーーッ
と、電話の向こうから砂嵐のような音が聞こえ、
プツンとその直後に切れた。
「あ…ああ……」
と愛純が遂に腰を抜かしてその場に座り込んだ。
「愛純?」
僕は愛純を立ち起こそうと中腰で手を差し出す。
「あ………あぁ、あ…」
口をパクパクと開け、声にならない声で何かを訴えようとしてる愛純。
「どうした?何が言いたい?」
遊佐のことでパニックになっているのか?と思ったが、
愛純は右手を大きくふるわせ、怯えた表情で僕を指さした。
「は?」
予想だにしなかった愛純のその行動の意図がわからず、
僕は思わず間抜けな声を出してしまった。
一体どういうことだ?
「う………しろ」
愛純が歯をガタガタと震わせ、小さな小さな声で確かにそう言った気がした。
それを聞き、僕は勢いよく咄嗟に後ろを振り返る。
「コンニチハ」
そこには赤いランドセルを背負った
顔のよく見えない女の子が立っていた。
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