呪い歌 ―踏み切りで起きた悲劇―

峡 翡翠

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「……ということなんだけど」
先程の話を愛純と薫にも伝えるべく、急遽僕達は遊佐の家に集まった。
「すごい!それ、賛成」
パンっと手を叩いて愛純が納得する。
その行為にすぐさま僕と遊佐は顔を見合わせた。
「これでみんな助かるんだ」
遊佐が話を次に持っていこうとしたその時だった。
「僕は反対だ」
…と、薫が遮った。
「なんでだよ?」
当然、この案に納得していた3人は首を傾げる。
「あのサイトには肌身離さず持っていろと書いていたはずだ」
遠回しな言い様の薫に
「何が言いたいんだ」
と遊佐が返す。
「サイトのルールを破るってことは、何かしらの罰が下る可能性があるとは思わないのか」
薫のその一言に皆がハッとし、
「たしかに…」
と愛純が呟いたような気がした。
そして僕も、意見としては薫の方が正しい気がした。
「おいおいなんだよその空気、俺の案は信用し難いってか?」
…と、遊佐。
「そうじゃないけど、薫の意見も踏まえて今はもう少し考え直そう」
僕は必死に二人の間に入り出た。
それに対し
「そうだよ、もっとしっかり考えよう」
と、愛純が続けた。
すると、どうにもこうにもいたたまれなくなった遊佐が
「いいよいいよ、ならお前らは勝手しろよ!ただ俺はぜってー死にたくねえからな」
と、喧嘩っぱやい口調でカッカと声を荒らげ、席を立ってしまった。
「ちょっと、どこいくのよ」
愛純が咄嗟に遊佐を引き止めるが、うるせえ、と手を払い部屋から出て行ってしまった。
「遊佐がいないと話にならないじゃないか」
薫が呆れたように一言。
「そもそも主催がいないならもうここにいる意味は無いな」
薫はスクッと立ち上がり、遊佐同様その場を立ち去ろうとした。
「どこに行く気?」
また愛純。
「帰るんだよ、僕にはまだまだ調べなきゃ行けないことがあるからね」
そのセリフの後にパタン、と扉が閉まる音がして
唖然とした僕達も仕方がなく帰ることにした。
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