呪い歌 ―踏み切りで起きた悲劇―

峡 翡翠

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遊佐

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あの日から約一週間。
僕達は不安を背負いながらもまだ生きている。
「呪い歌……」
あれから何度も[呪い歌]というキーワードでネット検索をかけてみたが、それは一向にヒットしない。
あの時遊佐が提示したサイトは、ほんの1週間たらずで跡形もなく消えてしまったのだった。
「おかしいにも程がある」
ふぅ、と一息吐いたその時だった。

リリリリリリ!

と、携帯が大きな音を立てて鳴り響いた。
僕は即座に応答ボタンをスライドさせる。
その瞬間にもしもし、と尋ねてきたのは遊佐だった。
「俺、みんなが助かる方法を見つけたぜ」
遊佐のその一言に僕は息を飲んだ。
助かる方法が見つかっただって?
「本当なのか、遊佐」
念を押すように僕が確認を取ると、
「ああ、本当だ」
と遊佐は返した。
そして続けざまに
「皆でちぎった紙人形を燃やすのさ」
と放った。
「紙人形?どうして?」
僕の率直な質問に対して遊佐はふんと息を吐いた。
「律はあの時左足のパーツを持っていたから左足を切断された、違うか?」
……!
「例えばあのサイトの女の子が紙人形を頼りに俺たちを狙ってくるなら、その根源ごと抹消してやろうってことよ」
なるほど。
たしかにこれは辻褄が合う。
そして当初皆で確認したあのサイトには
『ちぎった紙人形は肌身離さず離すな』と書いてあったはずだ。
「これは正解かもしれないぞ、遊佐」
これで僕達は呪いを回避できる。
「みんなを集めて実行しよう」
闇の影に支配されたこの生活に、
僕はようやく一筋の光が見えた気がした。
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