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第116話 モンスター関連の問題

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 今日の討伐は、カイザーウルフだった。
 慣れたものでサクっと片付けた。
 宝物は上級ポーション。
 換金アイテムだな。

 次の討伐はランドオクトパス。
 やはりサクっと片付けた。
 柔らかい蛸なんか接近戦でもしない限り楽勝だ。
 宝物は、時の羅針盤。
 たいそうな名前だがただの時計。
 アンティークとしては良いだろう。
 やはり換金アイテムだ。

 今回で2階層のザコ部屋が全て終わった。
 打ち上げしないとな。

 事務所に引き上げると尻手しって元専務が別件で再逮捕されたとニュースでやってた。
 今度の罪は殺人じゃなくて、横領と収賄だ。
 本人は否定しているらしい。
 会社の了解を得て政治献金したと。
 そんなのが通る程甘くない。
 膿が全て出るといいなと思う。

 死んだ社長も横領と収賄で告訴したらしい。
 こっちは本人が死んでるから、捜査は進まないと思われるとアナウンサーが言っていた。

 久しぶりにモンスター保護団体の『愛の甘噛み』に行った。

「ご無沙汰」
「お久しぶりです」

 福生ふっささんが迎えてくれた。

「モンスター動物園はどうなっているかなと気になった」
「いま寄付を集めているところです。魔力を吸い取るとモンスターが大人しくなるという現象のデータも取れました。かなり良い感じです」
「順調そうで何よりだ」
「いまのところ、迫力があるモンスターと、可愛い系のモンスターの2本立てで行きたいと思ってます。触れ合えたら良いんですが。テイムした人以外には気を許さないようです」
「モンスターだからな。困っていることはあるか?」
「テイムスキルを付与してほしいという要望が多くて」

上溝うえみぞさん次第だが、他のスキルの付与が忙しいからな」
「いえ、そういう問題ではないのです。テイムを安易に考えているのがどうも。ペットすらまともに飼えない人が、たくさんいて」
「責任感の問題か。たしかにモンスターを持て余して、野に放たれたら、困る」
「ええ、そういう事態を危惧してます」

 テイムの付与もちょっと考え物だな。
 モンスターと共存してほしいとは考えたが、野良モンスターになって駆除するのに労力が掛かると、大変だな。

「区で飼育許可の制度を作ったが、冒険者限定で、ダンジョンの中限定にしておいて良かった」
「ええ、冒険者ならモンスターを逃がすという行為がどうなるか分からない人はいないでしょう」

「一般への普及は難しいか。モンスターにマイクロチップ埋め込んでも、馬鹿をする奴は出てくる」
「モンスターが放たれて、被害が出てから対処では、モンスターが可哀想です。きっと殺処分ですからね」

 モンスターより人間の被害だろうと言ったら、福生ふっささんは気を悪くするに違いない。
 被害にあった人と殺されるモンスター双方が可哀想だ。
 契約魔法で、野に放ったら飼い主が死ぬぐらいの対策が必要だな。
 そんな法案は通りそうにはないが。

 上溝うえみぞさんにはテイムスキル付与の仕事を請けないように言っておこう。
 問題は色々な所にあるな。

「冒険者でない限りテイムスキルの付与はさせない方針にしよう」
「分かりました。こちらでもスキル付与はできないと言っておきましょう」

「他には?」
「モンスター虐待や快楽殺害動画がありまして、これを取り締まれないかなと」
「その問題の根は深そうだ」
「ええ、やっている半分ぐらいが、スタンピードでモンスターに家族を殺された人達で。もう半分は精神異常者だと思います」

「俺は日常的にモンスターを殺しているが、虐待して配信したいとは思わない」
「動物虐待を取り締まる法律はあるのに、モンスターにはなぜないのでしょう?」

 それは、冒険者という仕事が成り立たなくなるからだ。

「難しい問題だ」
「せめて動画だけでも禁止できたらいいのですが」

 どうやったら、そういうのを取り締まりできるか分からない。
 モンスター討伐映像は人気があるからな。
 これと快楽殺害動画の区別はつけづらい。

 一応討伐動画は18禁になっているが、そういう問題でもない。
 これを解決する手段はない。
 モンスター動物園とか作って、世論に訴えるしか思いつかない。

「俺の力じゃ無理だな」
「分かってます。いたぶって殺すことのどこが楽しいのでしょう」
「人間は思ったより崇高でもないってことだな」
「悲しいことです」

 俺は殺したモンスターは最大限、素材として役立てるように尽力してる。
 食材などになってしまえば感謝しかない。

 殺すのが楽しいことはあるな。
 上手く討伐できた時は気持ちいい。
 ただ、いたぶってやろうとは考えない。
 モンスターとは真剣勝負だと思っている。
 モンスターとの戦いは武芸者同士の戦いみたいな物だと思っている。

 どこが違うと快楽殺害動画の奴らに言われそうだ。
 生き物を殺めるのは罪深い。
 俺はその業を背負うつもりだ。
 それが礼儀だ。
――――――――――――――――――――――――
俺の収支メモ
              支出       収入       収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し               28,115万円
上級ポーション2個             610万円
彫像10体                  10万円
弾丸製造                  500万円
魔力買い         518万円
不壊の剣                1,028万円
金貨22枚                 253万円
極上干し肉                  10万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計            518万円 30,526万円 30,022万円


パーティ収支メモ

              支出       収入       収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し               45,425万円
カイザーウルフ                51万円
上級ポーション               305万円
ランドオクトパス              115万円
時の羅針盤                  15万円
弾丸60発          6万円
弾丸用魔石        150万円
付与魔法依頼        50万円
魔力買い         107万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計            313万円 45,911万円 45,598万円


ファンド収支メモ

俺の出資1250口       125億円
客の出資9212口       921億2千万円

              支出       収入        収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し               260,900万円
カイザーウルフ60体           4,500万円
ドッペルオーク12体             600万円
シャーマンオーク12体            720万円
エンペラータランチュラ12体       1,056万円
メイズスパイダー12体          1,020万円
エレファントスレイヤー12体       1,440万円
オーガ96体               5,280万円
弾丸製造                   500万円
酒                       12万円
転移輸送                   798万円
最下級ポーション               512万円
くず鉄20トンほど              203万円
シャイニングストーン             215万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計               0円 277,756万円 277,756万円

遺産(不動産)         0円
ダンジョン        -48億円
出資金          125億円

 シャイニングストーンが売れなくなった。
 飽きられているのだと思う。
 まあいいさ。

 今後、パーティの会計は拝島はいじまさんがやってくれることになった。
 肩の荷がひとつ降りた気分。
 大した手間でもなかったが、やってくれるなら大歓迎。
 拝島はいじまさんは横領しないと思っている。
 パーティ用の資金の何倍もの資産を持っているからだ。

 ファンドの会計も、毎月一回チェックすることにして、古里こざとさんに丸投げした。
 こっちも問題ないだろう。
 収支メモも寂しくなるな。

 俺達の装備は。
俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号
藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て
上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ
番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足
拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足
御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑

キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖
    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール
    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪

 2階層の空き部屋からでた、極上干し肉は保存の魔法が掛かっている。
 たぶん今も美味しく頂けるだろう。
 俺のポケットマネーで自分から買った。
 打ち上げでつまみとして食うつもり。
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