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第47話 部屋《関数呼び出し》
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部屋番号を確かめ、インターホンのボタンを押す。
ピンポーンという音が部屋の中からした。
足音などは聞こえない。
「亜振さん!」
僕は部屋の扉をどんどんと叩いた。
亜振さんの部屋からは返答がなかった。
どうやら留守のようだ。
ガチャリと音がして隣の住人が顔を出す。
亜振さんと同年齢の女性だ。
水商売の雰囲気がある。
昼間寝ているのならそうなのだろう。
「亜振さんなら留守ですよ」
「うるさかったか。ごめんね」
「今度店に来てよ。それで許してあげる」
スナックの名刺を貰った。
「ここ、大家さんの家は遠いのかな」
「ここの一階の端の部屋」
「ありがと。店には必ず行くよ」
大家さんの家のインターホンを押す。
「はーい、どなた?」
現れたのは人の好さそうなおばちゃん。
「亜振さんの同僚なんですが、彼女が無断欠勤して」
「電話は掛けたの」
「いいえ?」
大家さんが電話を掛ける。
「出ないわね」
「少し様子もおかしかったものですから、心配で」
嘘を言った。
部屋にどうしても入りたいからだ。
大家もただ事でないと察したようで、合いカギで部屋に入れてもらえた。
照明のスイッチを入れる。
「亡くなっていたら知らせて頂戴。事故物件なんて嫌だわ」
「一緒に入らないのですか」
「そういう現場は見ない事にしているの。夢で見たら怖いでしょう」
「じゃあ、外で待ってて下さい」
配信を開始する。
【ハイレックス:犯人のアジト突入かな】
【ば7:何が出て来るか】
【蟹鎌:ちっちっちっ、捜査令状がない家宅捜索は違法である。ただ、この場合本人の安全確認の意味があるのでセーフかも知れない】
【アーラヨット:初男が逮捕されても一向に構わん。ただ九美子様との接点のこのチャンネルが無くなったら悲しい】
【もっちん:うん、俺も楽しみがなくなる。仕事チャンネル好きだったよ】
【勝手ソンソン:惜しい人を亡くした】
【やすピー:ええっ、逮捕される前提なの】
玄関を入って短い廊下がある。
左手はユニットバスだ。
覗いてみると綺麗に掃除してある。
【ハイレックス:風呂から覗くとは変態だな】
【もっちん:さすがにラッキースケベはないか】
【ば7:事件の核心に迫っているんだぞ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、死体を解体するなら風呂場だ】
【アーラヨット:グロ映像なら警報を発してくれ】
【勝手ソンソン:今のところ別に変わった所はないな】
【やすピー:髪の毛も落ちてないし、綺麗好きなのね】
部屋は3つあるようだ。
まずはキッチンを兼ねたリビング。
奥に続く扉が2つある。
【もっちん:結構広いな。家賃高いだろうに】
【ば7:アルバイトをしてたんじゃないか。あのキーホルダー、量産できれば結構良い金になるぞ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、金回りは悪くないのだな】
【アーラヨット:株をやっているのかも知れない】
【ハイレックス:うん、キーホルダー月に30個売れたら3万円か。いい稼ぎだ】
【勝手ソンソン:売れてないって言ったが】
【やすピー:結構いい出来だったわ。私も欲しいと思ったし】
リビングに入る。
皿が食器棚に入れられている。
理路整然としていてまさに几帳面という他はない整頓ぶりだ。
【ば7:こういう所に性格が出るな。この整頓ぶりは異常とも言える】
【もっちん:サイコ扱いしたら可哀想だ。犯人と決まったわけではない】
【アーラヨット:俺もこれぐらいは整頓しているぞ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、綺麗好きがみんなサイコとは限らない】
【勝手ソンソン:決めつけは確かに良くないな】
【ハイレックス:うん、ぞわっとくるな。かえって落ち着かない】
【やすピー:私、ずぼらだから、こういうのを見ると散らかしたくなる】
本棚がある。
結婚に関する雑誌が目についた。
式場のパンフレットもある。
近々結婚する予定だったのかな。
いや、蜂人との結婚を夢見たのだろう。
【もっちん:重い女は好みじゃないな。結婚の承諾を得る前にパンフレット集められたら、ちょっと】
【アーラヨット:そうだな。だがそれが生きる希望だったのかも知れない】
【ハイレックス:いいんじゃないか。パンフレットを集めるぐらい。俺も車は買わないが、パンフレットは好きだ】
【やすピー:パンプレットで犯人扱いは可哀想】
【蟹鎌:ちっちっちっ、先のことに備えるのは悪くない】
【ば7:俺も駄目だな。プロポーズ前に結婚式のパンフレット集めはちょっと】
【勝手ソンソン:今の所、証拠とかはなしか】
奥は二部屋、寝室と、作業部屋。
作業部屋に入る。
ピンポーンという音が部屋の中からした。
足音などは聞こえない。
「亜振さん!」
僕は部屋の扉をどんどんと叩いた。
亜振さんの部屋からは返答がなかった。
どうやら留守のようだ。
ガチャリと音がして隣の住人が顔を出す。
亜振さんと同年齢の女性だ。
水商売の雰囲気がある。
昼間寝ているのならそうなのだろう。
「亜振さんなら留守ですよ」
「うるさかったか。ごめんね」
「今度店に来てよ。それで許してあげる」
スナックの名刺を貰った。
「ここ、大家さんの家は遠いのかな」
「ここの一階の端の部屋」
「ありがと。店には必ず行くよ」
大家さんの家のインターホンを押す。
「はーい、どなた?」
現れたのは人の好さそうなおばちゃん。
「亜振さんの同僚なんですが、彼女が無断欠勤して」
「電話は掛けたの」
「いいえ?」
大家さんが電話を掛ける。
「出ないわね」
「少し様子もおかしかったものですから、心配で」
嘘を言った。
部屋にどうしても入りたいからだ。
大家もただ事でないと察したようで、合いカギで部屋に入れてもらえた。
照明のスイッチを入れる。
「亡くなっていたら知らせて頂戴。事故物件なんて嫌だわ」
「一緒に入らないのですか」
「そういう現場は見ない事にしているの。夢で見たら怖いでしょう」
「じゃあ、外で待ってて下さい」
配信を開始する。
【ハイレックス:犯人のアジト突入かな】
【ば7:何が出て来るか】
【蟹鎌:ちっちっちっ、捜査令状がない家宅捜索は違法である。ただ、この場合本人の安全確認の意味があるのでセーフかも知れない】
【アーラヨット:初男が逮捕されても一向に構わん。ただ九美子様との接点のこのチャンネルが無くなったら悲しい】
【もっちん:うん、俺も楽しみがなくなる。仕事チャンネル好きだったよ】
【勝手ソンソン:惜しい人を亡くした】
【やすピー:ええっ、逮捕される前提なの】
玄関を入って短い廊下がある。
左手はユニットバスだ。
覗いてみると綺麗に掃除してある。
【ハイレックス:風呂から覗くとは変態だな】
【もっちん:さすがにラッキースケベはないか】
【ば7:事件の核心に迫っているんだぞ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、死体を解体するなら風呂場だ】
【アーラヨット:グロ映像なら警報を発してくれ】
【勝手ソンソン:今のところ別に変わった所はないな】
【やすピー:髪の毛も落ちてないし、綺麗好きなのね】
部屋は3つあるようだ。
まずはキッチンを兼ねたリビング。
奥に続く扉が2つある。
【もっちん:結構広いな。家賃高いだろうに】
【ば7:アルバイトをしてたんじゃないか。あのキーホルダー、量産できれば結構良い金になるぞ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、金回りは悪くないのだな】
【アーラヨット:株をやっているのかも知れない】
【ハイレックス:うん、キーホルダー月に30個売れたら3万円か。いい稼ぎだ】
【勝手ソンソン:売れてないって言ったが】
【やすピー:結構いい出来だったわ。私も欲しいと思ったし】
リビングに入る。
皿が食器棚に入れられている。
理路整然としていてまさに几帳面という他はない整頓ぶりだ。
【ば7:こういう所に性格が出るな。この整頓ぶりは異常とも言える】
【もっちん:サイコ扱いしたら可哀想だ。犯人と決まったわけではない】
【アーラヨット:俺もこれぐらいは整頓しているぞ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、綺麗好きがみんなサイコとは限らない】
【勝手ソンソン:決めつけは確かに良くないな】
【ハイレックス:うん、ぞわっとくるな。かえって落ち着かない】
【やすピー:私、ずぼらだから、こういうのを見ると散らかしたくなる】
本棚がある。
結婚に関する雑誌が目についた。
式場のパンフレットもある。
近々結婚する予定だったのかな。
いや、蜂人との結婚を夢見たのだろう。
【もっちん:重い女は好みじゃないな。結婚の承諾を得る前にパンフレット集められたら、ちょっと】
【アーラヨット:そうだな。だがそれが生きる希望だったのかも知れない】
【ハイレックス:いいんじゃないか。パンフレットを集めるぐらい。俺も車は買わないが、パンフレットは好きだ】
【やすピー:パンプレットで犯人扱いは可哀想】
【蟹鎌:ちっちっちっ、先のことに備えるのは悪くない】
【ば7:俺も駄目だな。プロポーズ前に結婚式のパンフレット集めはちょっと】
【勝手ソンソン:今の所、証拠とかはなしか】
奥は二部屋、寝室と、作業部屋。
作業部屋に入る。
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