38 / 56
第38話 噂《スクロール》
しおりを挟む
「聞いたわよ。蜂人さんが殺された時の第一発見者なんだって」
同僚の女性社員から話し掛けられた。
【ば7:これはまた面倒な事態】
【蟹鎌:ちっちっちっ、マスコミにばれるとうるさい】
【やすピー:無実なんだから堂々としてれば良いのよ】
【ハイレックス:タスポリスにマスコミが加入してくるかな】
【アーラヨット:どうでも良いことだ】
【もっちん:どうかな。守秘義務で一筆取られているけど、マスコミだと報道できないんじゃ意味はない】
【勝手ソンソン:うん、タスポリスの登録はしないな。マスコミも法律を破るとうるさいのは知っている】
「話を広めないでくれるかな」
「もうみんな知っているわよ。マスコミの取材は受けた?」
「いいや」
「もったいない。テレビに映れるわよ。モザイクの変声機かも知れないけど」
「嫌だよ。人の死を自慢げに話したくない」
「そう、私なら飛びついちゃうな。モザイクなしで良いって、言っちゃいそう」
会社から出ると、マスコミが追いかけてきそうだ。
アパートまで来るかな。
来るんだろうな。
密室殺人なんて、ワイドショーや週刊誌の恰好のネタだ。
【ば7:テレビに出るのもこんなことじゃちょっとな】
【勝手ソンソン:うん、田舎に自慢できない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、第一発見者は容疑者扱いされ易いから、取材はよく考えるのだ】
【やすピー:私だったら取材は受けないかも】
【ハイレックス:目立つのには良い手だけどね。マスコミからは取材費とか出るんだろうか】
【アーラヨット:どうでも良いことだ】
【もっちん:取材費は最初に請求したらくれるんじゃないかな】
「今夜からどこに泊まろう。ホテルをとるしかないか。また出費がかさむ」
【やすピー:騒がしくなるのも考え物ね。住んでいる所まで押し掛けられたら、私ならキレる】
【ハイレックス:そこまでは酷くないと思うよ。容疑者じゃないんだから】
【アーラヨット:配信の停止さえなければ良い】
【もっちん:容疑者扱いされているんだよな】
【ば7:そうなるとうるさいな】
【勝手ソンソン:でも逮捕状が出るまでは実名は出ない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、徹底した取材拒否が正しいのだ】
事件手当とか出ないだろうか。
とにかくビジネスホテルを予約しよう。
3日間で方がつくかな。
この会社に出入りするのがまた一苦労になりそうだ。
会社の前にタクシー呼んでも、乗るまでに囲まれる。
乗っても、きっと後を追って来るだろう。
実に困った事態だ。
「九美子、助けてくれ」
「どうしたの?」
「第一発見者だと社内の人間にばれてる。マスコミにもばれているだろう。会社から気づかれずに出たいが、出られない」
「そんなの、スモークシールドのフルフェイスヘルメットを被って、バイクで出れば良いわ。免許持っているでしょ」
「原付なら乗れる」
「バイクをレンタルすれば良いわ。ヘルメットなら届けてあげる」
「恩に着る」
「良いのよレストランを奢ってくれるんでしょう」
それがあったな。
ちゃらにされたか。
まあ良いや。
【アーラヨット:九美子様のヘルメット、10万円出そう。売ってくれ】
【もっちん:人の物を売ったら窃盗だろう】
【ば7:まあフルフェイスならばれないな】
【勝手ソンソン:バイクなら車が追いかけて来ても狭い路地で振り切れる】
【蟹鎌:ちっちっちっ、逃げるならバイク】
【やすピー:ドラマみたいね。バイクで逃走。なんとなく良いシーンだわ】
【ハイレックス:レンタルバイクなんてあるんだ。初めて知った】
「まあね」
「事件のアドバイス料は後で請求するわ」
「お手柔らかにお願いするよ」
「ふふふ」
九美子に対する借りが増えていく。
入学の抽出と事件のアドバイスか。
安いとはいえ定食屋を10回以上おごらないといけなくなりそうだ。
【アーラヨット:九美子様に貢ぐのだ】
【勝手ソンソン:アドバイス料か。どれぐらいだろうか】
【蟹鎌:ちっちっちっ、時給1万円はいくだろう】
【やすピー:そこは友達価格じゃない。腕のいいプログラマーがどれくらいかは知らないけど】
【ハイレックス:ただほど高いものはない】
【もっちん:俺も九美子様を貸し切りたい】
【ば7:ゲスの思考だなだから、女が寄って来ないのだ】
【もっちん:くっ、ただ九美子様とお話したのに】
僕宛にピンクのヘルメットが届いた。
速攻で届いたが、バイク便でも使ったのかな。
被ってみる。
いい香りがした。
九美子の匂いだ。
自分のヘルメットを貸してくれるなんて、やっぱり惚れられているのかな。
いいや、ヘルメットだぞ。
相乗りする時なんかは貸し借りは普通だ。
意識する必要はない。
でも匂いが、いやがおうでもその事を意識させる。
僕は慌ててヘルメットを脱いだ。
「そうだ。香りだ。あの事件の現場で強い木の匂いがして、ポンドの匂いと薬品の匂いが僅かにした」
僅かな匂いは気にもしなかったが、重要かも知れない。
「でかした。私の推理通り」
九美子から速攻で返事があった。
重要だったらしい。
僕もおぼろげに密室のトリックが分かった。
【もっちん:九美子様の推理が進展した模様】
【勝手ソンソン:うん、匂いね。どんなことなのか分からないけど】
【やすピー:木は扉に細工したんでしょ。ポンドも細工。薬品は何かな】
【ハイレックス:でも肝心のどういう細工かが分からない】
【ば7:うーん、薬品か。どんな薬品かで推理が変わるな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、こういう証拠がヒントになるのだ】
【アーラヨット:九美子様は賢いのだ。そして美しい】
同僚の女性社員から話し掛けられた。
【ば7:これはまた面倒な事態】
【蟹鎌:ちっちっちっ、マスコミにばれるとうるさい】
【やすピー:無実なんだから堂々としてれば良いのよ】
【ハイレックス:タスポリスにマスコミが加入してくるかな】
【アーラヨット:どうでも良いことだ】
【もっちん:どうかな。守秘義務で一筆取られているけど、マスコミだと報道できないんじゃ意味はない】
【勝手ソンソン:うん、タスポリスの登録はしないな。マスコミも法律を破るとうるさいのは知っている】
「話を広めないでくれるかな」
「もうみんな知っているわよ。マスコミの取材は受けた?」
「いいや」
「もったいない。テレビに映れるわよ。モザイクの変声機かも知れないけど」
「嫌だよ。人の死を自慢げに話したくない」
「そう、私なら飛びついちゃうな。モザイクなしで良いって、言っちゃいそう」
会社から出ると、マスコミが追いかけてきそうだ。
アパートまで来るかな。
来るんだろうな。
密室殺人なんて、ワイドショーや週刊誌の恰好のネタだ。
【ば7:テレビに出るのもこんなことじゃちょっとな】
【勝手ソンソン:うん、田舎に自慢できない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、第一発見者は容疑者扱いされ易いから、取材はよく考えるのだ】
【やすピー:私だったら取材は受けないかも】
【ハイレックス:目立つのには良い手だけどね。マスコミからは取材費とか出るんだろうか】
【アーラヨット:どうでも良いことだ】
【もっちん:取材費は最初に請求したらくれるんじゃないかな】
「今夜からどこに泊まろう。ホテルをとるしかないか。また出費がかさむ」
【やすピー:騒がしくなるのも考え物ね。住んでいる所まで押し掛けられたら、私ならキレる】
【ハイレックス:そこまでは酷くないと思うよ。容疑者じゃないんだから】
【アーラヨット:配信の停止さえなければ良い】
【もっちん:容疑者扱いされているんだよな】
【ば7:そうなるとうるさいな】
【勝手ソンソン:でも逮捕状が出るまでは実名は出ない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、徹底した取材拒否が正しいのだ】
事件手当とか出ないだろうか。
とにかくビジネスホテルを予約しよう。
3日間で方がつくかな。
この会社に出入りするのがまた一苦労になりそうだ。
会社の前にタクシー呼んでも、乗るまでに囲まれる。
乗っても、きっと後を追って来るだろう。
実に困った事態だ。
「九美子、助けてくれ」
「どうしたの?」
「第一発見者だと社内の人間にばれてる。マスコミにもばれているだろう。会社から気づかれずに出たいが、出られない」
「そんなの、スモークシールドのフルフェイスヘルメットを被って、バイクで出れば良いわ。免許持っているでしょ」
「原付なら乗れる」
「バイクをレンタルすれば良いわ。ヘルメットなら届けてあげる」
「恩に着る」
「良いのよレストランを奢ってくれるんでしょう」
それがあったな。
ちゃらにされたか。
まあ良いや。
【アーラヨット:九美子様のヘルメット、10万円出そう。売ってくれ】
【もっちん:人の物を売ったら窃盗だろう】
【ば7:まあフルフェイスならばれないな】
【勝手ソンソン:バイクなら車が追いかけて来ても狭い路地で振り切れる】
【蟹鎌:ちっちっちっ、逃げるならバイク】
【やすピー:ドラマみたいね。バイクで逃走。なんとなく良いシーンだわ】
【ハイレックス:レンタルバイクなんてあるんだ。初めて知った】
「まあね」
「事件のアドバイス料は後で請求するわ」
「お手柔らかにお願いするよ」
「ふふふ」
九美子に対する借りが増えていく。
入学の抽出と事件のアドバイスか。
安いとはいえ定食屋を10回以上おごらないといけなくなりそうだ。
【アーラヨット:九美子様に貢ぐのだ】
【勝手ソンソン:アドバイス料か。どれぐらいだろうか】
【蟹鎌:ちっちっちっ、時給1万円はいくだろう】
【やすピー:そこは友達価格じゃない。腕のいいプログラマーがどれくらいかは知らないけど】
【ハイレックス:ただほど高いものはない】
【もっちん:俺も九美子様を貸し切りたい】
【ば7:ゲスの思考だなだから、女が寄って来ないのだ】
【もっちん:くっ、ただ九美子様とお話したのに】
僕宛にピンクのヘルメットが届いた。
速攻で届いたが、バイク便でも使ったのかな。
被ってみる。
いい香りがした。
九美子の匂いだ。
自分のヘルメットを貸してくれるなんて、やっぱり惚れられているのかな。
いいや、ヘルメットだぞ。
相乗りする時なんかは貸し借りは普通だ。
意識する必要はない。
でも匂いが、いやがおうでもその事を意識させる。
僕は慌ててヘルメットを脱いだ。
「そうだ。香りだ。あの事件の現場で強い木の匂いがして、ポンドの匂いと薬品の匂いが僅かにした」
僅かな匂いは気にもしなかったが、重要かも知れない。
「でかした。私の推理通り」
九美子から速攻で返事があった。
重要だったらしい。
僕もおぼろげに密室のトリックが分かった。
【もっちん:九美子様の推理が進展した模様】
【勝手ソンソン:うん、匂いね。どんなことなのか分からないけど】
【やすピー:木は扉に細工したんでしょ。ポンドも細工。薬品は何かな】
【ハイレックス:でも肝心のどういう細工かが分からない】
【ば7:うーん、薬品か。どんな薬品かで推理が変わるな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、こういう証拠がヒントになるのだ】
【アーラヨット:九美子様は賢いのだ。そして美しい】
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

お狐様の言うとおり
マヨちくわ
ミステリー
犯人を取り逃したお巡りさん、大河内翔斗がたどり着いたのは、小さな稲荷神社。そこに住み着く神の遣い"お狐様"は、訳あって神社の外には出られない引きこもり狐だけれど、推理力は抜群!本格的な事件から日常の不思議な出来事まで、お巡りさんがせっせと謎を持ち込んではお狐様が解く、ライトミステリー小説です。
1話完結型のオムニバス形式、1話あたり10000字前後のものを分割してアップ予定。不定期投稿になります。
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
白昼夢 - daydream -
紗倉亞空生
ミステリー
ふと目にした一件の新聞記事が、忘れていた遠い昔の記憶を呼び覚ました。
小学生時代の夏休みのある日、こっそり忍び込んだ誰もいないはずの校舎内で体験した恐怖。
はたしてあれは現実だったのだろうか?
それとも、夏の強い陽射しが見せた幻だったのだろうか?
【主な登場人物】
私………………語り手
田母神洋輔……私の友人
※
シンジ…………小学生時代の私
タカシ…………小学生時代の私の友人
マコト…………同上
菊池先生………小学校教師
タエ子さん……?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる