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第35話 不倫《ダミーデータ》

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 研究員と卓球で汗を流した。
 そして、しばしの休憩をしている。

「産業スパイ以外の噂はない?」

 僕は研究員に話し掛けた。

「専務が不倫しているらしいですよ」
「えっ、専務が。スキャンダルじゃないか」
「報復が怖いので誰も突きませんが」
「そうだろうな。証拠でもあれば良いが」
「ラブホテルに入っていったのを見た人がいるらしいけど、証拠の写真とかはありません」

 ふーん、相手は誰だろう。

【やすピー:不倫って最低。特に会社のお偉いさんは最低】
【ば7:いや好きになったら仕方ないんじゃないか】
【勝手ソンソン:うーん、会社幹部だとかなりのスキャンダルだな。専務だと左遷されないだろうし、相手の女の子だけが傷になるとしたら許せん】
【ハイレックス:許せんな。でも女の子は可哀想だな。こういうのは結局女の子が会社を辞めて方が付く場合が多い】
【蟹鎌:ちっちっちっ、最近は女の子が訴えを起こしてたりする】
【アーラヨット:九美子様に関係なければ別に良い】
【もっちん:不倫するなら俺と付き合ってほしい】

「相手は?」
「マスクとサングラスで判らなかったらしいですよ。髪もウイッグみたいだったと」

 用心深いな。

【アーラヨット:どうでも良い話だな】
【もっちん:変装してまでしたい物かな】
【やすピー:不味いと言う罪の意識はあるみたいね。なら、しなければいいのに】
【ば7:それが燃え上がると一線を越えてしまうんだな】
【勝手ソンソン:ば7詳しいのか】
【ば7:聞いた話だ】
【ハイレックス:まあな。無くならなないスキャンダルのひとつだ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、不倫はいつかばれる。完全犯罪などないのだ】

「お相手は社内の女かな」
「たぶんね」
「このネタを追うのはやばそうだ」
「噂話ぐらいはいいけど、証拠を握って突きつけたら、たぶん首ですね」

 こっちは囮捜査という訳にはいかないな。
 女が蜂人はちとの奥さんでもない限りは事件には関係なさそうな気がする。

【勝手ソンソン:専務ともなれば扱いが難しいな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、正義が勝つのだ。追及あるべし】
【やすピー:さすが専務だと追及は難しいわね】
【ば7:知っている人はお相手が誰なのか知っているだろうな】
【アーラヨット:この事件にも首を突っ込むのか。やめた方が良いぞ】
【もっちん:Hな付き合いしてくれる娘を紹介して】
【ハイレックス:もっちん、不倫するにも人間的な魅力が要るぞ】
【もっちん:無職じゃ駄目か】

 さて、どうしたものか。
 とりあえず。

「ありがと、後で打ち合わせの人事課の者が行くから、その時はよろしく」
「はい」

 研究員が立ち去ったので、今までの情報を九美子にメールで送る。

「専務のパソコンの使用履歴を調べたら良いわ。きっと何か分かるでしょう」
「それは不味いよ。サーバー管理者が裏切ったら僕は首だ」
「首が怖いの? フリーランスもなかなか良いものよ」
「僕は九美子みたいにはやれない」
「私が雇ってあげても良いわ」
「首になったらよろしく。でも無茶はしないぞ。で、ログ以外の作戦は?」
「たぶん同じラブホテルは利用しないでしょうね」
「まあね」
「となると女性社員全てのメールを調べないと」

 無茶な事を言う。

【ば7:九美子様はS? なかなか無茶をおっしゃる】
【もっちん:権限がないとこういう調査はね。それに調べているのがばれると怖い】
【やすピー:首は怖いわよね。不倫を追及して首になりましたなんて恰好が悪い。次の会社に就職する時も響くわね】
【ハイレックス:許せんけど。どうしようもない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、調べるのだ。そして告発して散れ】
【アーラヨット:九美子様も嫌になっているご様子】
【勝手ソンソン:まあな、九美子様が鋭い推理ではないのは確かだ】

「全ては無理だ。絞らないと」
「ウイルスの使用を許可してくれるのだったら出来るわよ。どうする?」
「却下だ。九美子の腕は信用しているけど、ばれたら怖い」
「じゃあ、プログラム的には『ノップ』ね」
「『ノップ』聞いた事がないな」
「何もしないという事よ」
「なんだ。そんなこと」

【ハイレックス:ウイルス仕込んだら、完全に犯罪だろ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、犯罪は不味いな】
【アーラヨット:九美子様は本当に嫌になっているご様子。自棄になっている感じが見て取れる】
【勝手ソンソン:ノップね。ノータッチってやつか。賢明だな】
【ば7:うん、この事件は危ういな。不倫を調べて首は不味い】
【もっちん:初男の性格では、はっちゃけたりしないだろ】
【やすピー:ノップ、賢い選択ね】

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