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第29話 情報収集《関数一覧》
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次は人事課の富鈴 美麗。
「お待たせ」
「無理を言っているのはこっちだから」
「で何が聞きたいの? またデータ?」
「去年の2月17日に休んだよな。なんの理由で?」
「なんだったっけ。……覚えてないわ。旅行に行ったのかもね」
旅好きなら、旅行の日は覚えているはずだ。
彼女は少しためらったような気がする。
言いたくないという事かな。
【もっちん:むっ、少し間があったな。怪しい】
【勝手ソンソン:記憶を探ったんだよ。一年前のことだからな】
【やすピー:うーん、どうでしょうね。棋士なら棋譜は覚えている。旅行好きなんでしょ。ちょっと違和感】
【ハイレックス:美人だな好みだ。よって無罪】
【ば7:どうだろうな。これだけじゃ何とも言えない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、全てを疑うのだ。そして真実は証拠と共にある】
【アーラヨット:九美子様はただ聞いているだけだけど、どうなんだろう】
「休みに関して要望はある?」
「今はないわ」
「満足している?」
「ええ」
意外な答えだ。
でも何となく見えてくるものがある。
『今は』と言ったから前または将来的には休みがもっと欲しかった。
そう考えるのが自然だろう。
プログラムの事は分からないが、人間の機微なら多少分かる。
【やすピー:休みがなくて良いなんて変だわ】
【ハイレックス:仕事が楽しいってことあるじゃないか。きっとそうなんだよ】
【勝手ソンソン:どうだろうな。怪しいような怪しくないような】
【ば7:こういうちょっとした会話が糸口になるんだよな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、素人推理なぞ一銭にもならん。証拠を持ってこい】
【アーラヨット:早く、九美子様の推理を聞きたい】
【もっちん:俺には分からん。推理小説読まないもん】
「アンケートありがと」
「どういたしまして」
「何か噂とかない?」
「ゴシップとか気にするように思えないけど、まあ良いわ。社内の噂としては産業スパイ、横領、不倫があるわ」
「ありきたりだね」
【もっちん:ゴシップいいね。こういう話は好き】
【アーラヨット:九美子様の情報がほしい】
【勝手ソンソン:いろいろと事件がある会社だ。だがどれもありそうな事件ばかりだ】
【ば7:この3つの事件は俺の会社でもあった】
【蟹鎌:ちっちっちっ、小さい事件を追っても本丸に辿り着くとは限らない】
【やすピー:どれかが関係してるかもよ。意味のない手はないの】
【ハイレックス:美麗をもっと見つめるのだ。できればアップで】
「産業スパイには散々よ。データとにらめっこして、怪しい奴を探せって言われてもね。勤務表から産業スパイを見抜けるようなスキルはないわ」
「そんな仕事を振られたのか」
「ええ、他社に似たような製品が発売されると、この手の仕事が発生するの。いい迷惑だわ。コピー商品なんて今の時代簡単にできるのに」
【アーラヨット:九美子様がきっと産業スパイを片付けてくれるはずだ】
【勝手ソンソン:産業スパイなら殺しに発展するかもな】
【やすピー:そうね。大金が動きそう】
【ハイレックス:少し困った顔も素敵】
【ば7:捜査してみるしかないな。でないと真実は分からん】
【もっちん:もっと色っぽい話がいいな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、殺人に関係していると考えるのは無理がある。産業スパイは計算高い。殺人は忌避するはずだ】
「へぇ、横領は?」
「経理の方から流れてきた噂よ」
「監査が入るのかな?」
「それが変なのよ。数字が合わないらしいけど、上が止めているの。横領に上の人が関わっているとの噂だわ」
【蟹鎌:ちっちっちっ、幹部が関わった横領か。社長に直訴でもするんだな】
【アーラヨット:これも九美子様が解決してくれるはずだ】
【勝手ソンソン:横領というと女性社員のイメージがあるな。経理を一手に任されている女性。それと幹部の男。最近は社長も横領するな】
【もっちん:色っぽくないな。美人社員が横領して貢いだって話なら興味あるけど】
【やすピー:女性社員は偏見よ。男性も同じぐらい横領してる】
【ハイレックス:うんうん、ニュースになりそうなネタだ。金一封は無理かな】
【ば7:殺人と横領ね。殺されたのが経理の男性ならありだけど。広報じゃ可能性は低いかな】
「不倫は?」
「その噂はしょっちゅうね。途切れた事の方が珍しい。工場勤務も入れたら必ず誰か不倫している」
「そんなもんかな」
【もっちん:待ってました。でもそれだけの情報。不倫しそうな女性の情報カモン】
【蟹鎌:ちっちっちっ、不倫は殺人に関係あるかもな。ただ証拠がないことには】
【アーラヨット:九美子様はこういう話題は苦手そう。知的美女だから。清純派のイメージだけど合っているよね】
【勝手ソンソン:うん、清純派だと思う】
【やすピー:クール系の女は意外と】
【ハイレックス:九美子様には当てはまらないはず】
【ば7:不倫は良くないね。会社でみつかると左遷される】
「じゃあ行くね。データを渡したんだから、こんど焼肉を奢ってよ」
「分かったよ。月末にでも行こう」
「やった」
『産業スパイ、横領、不倫の噂』とスマホに書き込んだ。
うーん、ありがちな噂だ。
他社の知り合いの話でもこの手の噂は良く出てくる。
産業スパイを恐れて電子ロックにしたなんて話も良く聞く。
部屋の出入りを管理すれば、確かにスパイはあぶり出せるかもな。
電子ロックは何となく嫌だ。
プログラムに管理されているような気になるからだ。
横領もそれなりに聞く。
金額と日付が白紙の領収書を切ってもらって、出張の時とかに、上手く清算したりする。
小さいのだとこんな手口らしい。
大きいのだとかだとニュースになるけどな。
不倫はまあね。
それなりに噂は聞く。
実際にしてた人とは会ったことがないが、左遷されたりすると、そういう噂が出る事もある。
「お待たせ」
「無理を言っているのはこっちだから」
「で何が聞きたいの? またデータ?」
「去年の2月17日に休んだよな。なんの理由で?」
「なんだったっけ。……覚えてないわ。旅行に行ったのかもね」
旅好きなら、旅行の日は覚えているはずだ。
彼女は少しためらったような気がする。
言いたくないという事かな。
【もっちん:むっ、少し間があったな。怪しい】
【勝手ソンソン:記憶を探ったんだよ。一年前のことだからな】
【やすピー:うーん、どうでしょうね。棋士なら棋譜は覚えている。旅行好きなんでしょ。ちょっと違和感】
【ハイレックス:美人だな好みだ。よって無罪】
【ば7:どうだろうな。これだけじゃ何とも言えない】
【蟹鎌:ちっちっちっ、全てを疑うのだ。そして真実は証拠と共にある】
【アーラヨット:九美子様はただ聞いているだけだけど、どうなんだろう】
「休みに関して要望はある?」
「今はないわ」
「満足している?」
「ええ」
意外な答えだ。
でも何となく見えてくるものがある。
『今は』と言ったから前または将来的には休みがもっと欲しかった。
そう考えるのが自然だろう。
プログラムの事は分からないが、人間の機微なら多少分かる。
【やすピー:休みがなくて良いなんて変だわ】
【ハイレックス:仕事が楽しいってことあるじゃないか。きっとそうなんだよ】
【勝手ソンソン:どうだろうな。怪しいような怪しくないような】
【ば7:こういうちょっとした会話が糸口になるんだよな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、素人推理なぞ一銭にもならん。証拠を持ってこい】
【アーラヨット:早く、九美子様の推理を聞きたい】
【もっちん:俺には分からん。推理小説読まないもん】
「アンケートありがと」
「どういたしまして」
「何か噂とかない?」
「ゴシップとか気にするように思えないけど、まあ良いわ。社内の噂としては産業スパイ、横領、不倫があるわ」
「ありきたりだね」
【もっちん:ゴシップいいね。こういう話は好き】
【アーラヨット:九美子様の情報がほしい】
【勝手ソンソン:いろいろと事件がある会社だ。だがどれもありそうな事件ばかりだ】
【ば7:この3つの事件は俺の会社でもあった】
【蟹鎌:ちっちっちっ、小さい事件を追っても本丸に辿り着くとは限らない】
【やすピー:どれかが関係してるかもよ。意味のない手はないの】
【ハイレックス:美麗をもっと見つめるのだ。できればアップで】
「産業スパイには散々よ。データとにらめっこして、怪しい奴を探せって言われてもね。勤務表から産業スパイを見抜けるようなスキルはないわ」
「そんな仕事を振られたのか」
「ええ、他社に似たような製品が発売されると、この手の仕事が発生するの。いい迷惑だわ。コピー商品なんて今の時代簡単にできるのに」
【アーラヨット:九美子様がきっと産業スパイを片付けてくれるはずだ】
【勝手ソンソン:産業スパイなら殺しに発展するかもな】
【やすピー:そうね。大金が動きそう】
【ハイレックス:少し困った顔も素敵】
【ば7:捜査してみるしかないな。でないと真実は分からん】
【もっちん:もっと色っぽい話がいいな】
【蟹鎌:ちっちっちっ、殺人に関係していると考えるのは無理がある。産業スパイは計算高い。殺人は忌避するはずだ】
「へぇ、横領は?」
「経理の方から流れてきた噂よ」
「監査が入るのかな?」
「それが変なのよ。数字が合わないらしいけど、上が止めているの。横領に上の人が関わっているとの噂だわ」
【蟹鎌:ちっちっちっ、幹部が関わった横領か。社長に直訴でもするんだな】
【アーラヨット:これも九美子様が解決してくれるはずだ】
【勝手ソンソン:横領というと女性社員のイメージがあるな。経理を一手に任されている女性。それと幹部の男。最近は社長も横領するな】
【もっちん:色っぽくないな。美人社員が横領して貢いだって話なら興味あるけど】
【やすピー:女性社員は偏見よ。男性も同じぐらい横領してる】
【ハイレックス:うんうん、ニュースになりそうなネタだ。金一封は無理かな】
【ば7:殺人と横領ね。殺されたのが経理の男性ならありだけど。広報じゃ可能性は低いかな】
「不倫は?」
「その噂はしょっちゅうね。途切れた事の方が珍しい。工場勤務も入れたら必ず誰か不倫している」
「そんなもんかな」
【もっちん:待ってました。でもそれだけの情報。不倫しそうな女性の情報カモン】
【蟹鎌:ちっちっちっ、不倫は殺人に関係あるかもな。ただ証拠がないことには】
【アーラヨット:九美子様はこういう話題は苦手そう。知的美女だから。清純派のイメージだけど合っているよね】
【勝手ソンソン:うん、清純派だと思う】
【やすピー:クール系の女は意外と】
【ハイレックス:九美子様には当てはまらないはず】
【ば7:不倫は良くないね。会社でみつかると左遷される】
「じゃあ行くね。データを渡したんだから、こんど焼肉を奢ってよ」
「分かったよ。月末にでも行こう」
「やった」
『産業スパイ、横領、不倫の噂』とスマホに書き込んだ。
うーん、ありがちな噂だ。
他社の知り合いの話でもこの手の噂は良く出てくる。
産業スパイを恐れて電子ロックにしたなんて話も良く聞く。
部屋の出入りを管理すれば、確かにスパイはあぶり出せるかもな。
電子ロックは何となく嫌だ。
プログラムに管理されているような気になるからだ。
横領もそれなりに聞く。
金額と日付が白紙の領収書を切ってもらって、出張の時とかに、上手く清算したりする。
小さいのだとこんな手口らしい。
大きいのだとかだとニュースになるけどな。
不倫はまあね。
それなりに噂は聞く。
実際にしてた人とは会ったことがないが、左遷されたりすると、そういう噂が出る事もある。
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