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第17話 謎の女性《定数》
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「もしもし、難問発生。蜂人が行ったレストランは突き止めた。でも相手が分からない」
「プログラム的にはね。『if else』よ」
「ええとそれは何だい」
「どちらかで必ず引っ掛かるというわけよ。こう言えば良いわ。蜂人はバーで引っ掛けた女生とここに来たが、その女性は名も告げず別れてしまった。蜂人が亡くなった事を伝えたいのでヒントが欲しいと」
「相手が男だったら?」
「勘違いでしたとでも言えば良いわ。相手が男だと判るわけね」
やってみるか。
「蜂人が亡くなったのはニュースで知ってますよね。去年のバレンタインデーに食事をご一緒した女生と連絡を取りたいんです。なんでもバーで知り合って名前も知らなかったと。蜂人が亡くなった事を伝えたいのでヒントが欲しい」
「ああ、思い出しました。そうそう、バーで知り合ったと言ってました」
えっ、バーで知り合ったのかよ。
瓢箪から駒。
「その他に何か言ってました?」
「DIYが趣味だとか。それ以外には何も覚えていません」
日曜大工の話題で盛り上がったらしい。
この女性が本当に犯人なのか。
間違った流れを追っているんじゃないだろうか。
とりあえず、2月14日は女生と過ごした事が分かった。
でもこの人が犯人だとは思えない。
喫茶店の席に座り、ノートパソコンを広げ配信を始める。
とうぜん九美子ともテレビ電話を開始した、
【もっちん:でどうなったの?】
【勝手ソンソン:続きはよ】
【やすピー:詰み筋は見えた?】
【ハイレックス:気になる】
【いっぽっぽ:また配信始まった】
【ふんすか:事件の実況をやっているのはここぐらい】
【やんまま:ですよね。密室らしいですから、期待】
【アーラヨット:九美子様、尊い】
「女の子と来たのは分かったけど」
「その女性が犯人ね。間違いないわ」
自信満々な九美子。
うん、僕には断定できる材料がない。
【やすピー:九美子さんには詰み筋が見えたみたい】
【いっぽっぽ:既に終盤か】
【アーラヨット:九美子様に間違いはない】
【もっちん:なんでかな。女の勘】
【やんまま:女の勘は馬鹿に出来ないわよ】
【勝手ソンソン:何で断定できるのか分からん】
【ふんすか:不倫だと奥さんと浮気相手の2択かな】
「何で?」
「プログラム的には『定数』よ」
「えっと」
「分からないなら良いわ」
【もっちん:定数?】
【アーラヨット:九美子様は美人、これが定義されている】
【勝手ソンソン:電波系知的美女】
【やすピー:何かが嵌ったってことね】
【ふんすか:状況的にはそう見えるのかも】
【ハイレックス:推理のピースがひとつ嵌ったってことかな】
【いっぽっぽ:過去動画見てくる。話が分からない】
【やんまま:それがよさそうね】
癪なので定数というのを調べる。
決まった数ということで、変化しないということ。
何が決まりきっていて変化しないんだ。
店員との会話のどこにヒントがあるんだろう。
分からないな。
今年のバレンタインに、九美子とどうやってこの店に来ようかと考えて、ドギマギしてたことが、もやっとして吹っ飛んだようだ。
仕方ない聞こう。
「教えてくれ。定数が何なのか分からないと、今夜、眠れそうにない」
「仕方ないわね。例えば『#define PI 3.141592f』とか定義するのよ」
「円周率が何か?」
「この定義は定義してあるファイルでは全共通なの」
【ハイレックス:変化しないということか。何の事かな】
【もっちん:事件の陰に女あり。いつの世も変わらない】
【やすピー:定石みたいなことかしら】
【勝手ソンソン:うーん、謎の言葉だ】
【アーラヨット:PI九美子様が言うと意味深だ】
【ふんすか:いや、たぶん、事件の核だと思うな。色んなファイルで参照されているってことだろ】
「分からん」
「ヒントは十分に出したわ。ゆっくり、考えなさい」
九美子との通話が切れる。
ますますもやっとした。
九美子と話すとこれが嫌なんだ。
良い気分とかがどっかに飛んでいってしまう。
女性という手掛かりをつかんで気分が良かったとか、バレンタインデーに九美子とこの店でデート出来るという考えがなくなってしまった。
【ハイレックス:過去配信みたけど、工作が得意な人が犯人だからじゃないの】
【やすピー:トリックの道具を作るにはそういうスキルが必要かも】
【もっちん:日曜大工とかできる人なら可能なのかしら】
【勝手ソンソン:定数って趣味のこと?】
【アーラヨット:ああ、九美子様が行ってしまう】
【ふんすか:日曜大工は密室トリックには必要かも】
趣味か。
確かに日曜大工が出来れば扉の細工も出来るかもしれない。
ただ、肝心の密室トリックが分からないと。
ラジコンとか釣り竿は日曜大工には関係ないよな。
そっちの線がないってことか。
何がヒントなのかな。
今までのことを思い出すけど、これといってない。
定数か。
全ファイルで共通。
何が共通なんだ。
うーん、もやもやする。
とりあえず、日曜大工が密室トリックに必要だと前提して話を進めよう。
それしかなさそうだ。
配信を終えたので、カフェオレでも飲んで落ち着こう。
甘い砂糖とコーヒーの苦みとミルクのクリーミーなのが調和する。
疲れた時には最適だ。
ふう、リラックスリラックス。
スマホが、メール着信のジングルを奏でる。
団符刑事からだな。
何だろう?
「プログラム的にはね。『if else』よ」
「ええとそれは何だい」
「どちらかで必ず引っ掛かるというわけよ。こう言えば良いわ。蜂人はバーで引っ掛けた女生とここに来たが、その女性は名も告げず別れてしまった。蜂人が亡くなった事を伝えたいのでヒントが欲しいと」
「相手が男だったら?」
「勘違いでしたとでも言えば良いわ。相手が男だと判るわけね」
やってみるか。
「蜂人が亡くなったのはニュースで知ってますよね。去年のバレンタインデーに食事をご一緒した女生と連絡を取りたいんです。なんでもバーで知り合って名前も知らなかったと。蜂人が亡くなった事を伝えたいのでヒントが欲しい」
「ああ、思い出しました。そうそう、バーで知り合ったと言ってました」
えっ、バーで知り合ったのかよ。
瓢箪から駒。
「その他に何か言ってました?」
「DIYが趣味だとか。それ以外には何も覚えていません」
日曜大工の話題で盛り上がったらしい。
この女性が本当に犯人なのか。
間違った流れを追っているんじゃないだろうか。
とりあえず、2月14日は女生と過ごした事が分かった。
でもこの人が犯人だとは思えない。
喫茶店の席に座り、ノートパソコンを広げ配信を始める。
とうぜん九美子ともテレビ電話を開始した、
【もっちん:でどうなったの?】
【勝手ソンソン:続きはよ】
【やすピー:詰み筋は見えた?】
【ハイレックス:気になる】
【いっぽっぽ:また配信始まった】
【ふんすか:事件の実況をやっているのはここぐらい】
【やんまま:ですよね。密室らしいですから、期待】
【アーラヨット:九美子様、尊い】
「女の子と来たのは分かったけど」
「その女性が犯人ね。間違いないわ」
自信満々な九美子。
うん、僕には断定できる材料がない。
【やすピー:九美子さんには詰み筋が見えたみたい】
【いっぽっぽ:既に終盤か】
【アーラヨット:九美子様に間違いはない】
【もっちん:なんでかな。女の勘】
【やんまま:女の勘は馬鹿に出来ないわよ】
【勝手ソンソン:何で断定できるのか分からん】
【ふんすか:不倫だと奥さんと浮気相手の2択かな】
「何で?」
「プログラム的には『定数』よ」
「えっと」
「分からないなら良いわ」
【もっちん:定数?】
【アーラヨット:九美子様は美人、これが定義されている】
【勝手ソンソン:電波系知的美女】
【やすピー:何かが嵌ったってことね】
【ふんすか:状況的にはそう見えるのかも】
【ハイレックス:推理のピースがひとつ嵌ったってことかな】
【いっぽっぽ:過去動画見てくる。話が分からない】
【やんまま:それがよさそうね】
癪なので定数というのを調べる。
決まった数ということで、変化しないということ。
何が決まりきっていて変化しないんだ。
店員との会話のどこにヒントがあるんだろう。
分からないな。
今年のバレンタインに、九美子とどうやってこの店に来ようかと考えて、ドギマギしてたことが、もやっとして吹っ飛んだようだ。
仕方ない聞こう。
「教えてくれ。定数が何なのか分からないと、今夜、眠れそうにない」
「仕方ないわね。例えば『#define PI 3.141592f』とか定義するのよ」
「円周率が何か?」
「この定義は定義してあるファイルでは全共通なの」
【ハイレックス:変化しないということか。何の事かな】
【もっちん:事件の陰に女あり。いつの世も変わらない】
【やすピー:定石みたいなことかしら】
【勝手ソンソン:うーん、謎の言葉だ】
【アーラヨット:PI九美子様が言うと意味深だ】
【ふんすか:いや、たぶん、事件の核だと思うな。色んなファイルで参照されているってことだろ】
「分からん」
「ヒントは十分に出したわ。ゆっくり、考えなさい」
九美子との通話が切れる。
ますますもやっとした。
九美子と話すとこれが嫌なんだ。
良い気分とかがどっかに飛んでいってしまう。
女性という手掛かりをつかんで気分が良かったとか、バレンタインデーに九美子とこの店でデート出来るという考えがなくなってしまった。
【ハイレックス:過去配信みたけど、工作が得意な人が犯人だからじゃないの】
【やすピー:トリックの道具を作るにはそういうスキルが必要かも】
【もっちん:日曜大工とかできる人なら可能なのかしら】
【勝手ソンソン:定数って趣味のこと?】
【アーラヨット:ああ、九美子様が行ってしまう】
【ふんすか:日曜大工は密室トリックには必要かも】
趣味か。
確かに日曜大工が出来れば扉の細工も出来るかもしれない。
ただ、肝心の密室トリックが分からないと。
ラジコンとか釣り竿は日曜大工には関係ないよな。
そっちの線がないってことか。
何がヒントなのかな。
今までのことを思い出すけど、これといってない。
定数か。
全ファイルで共通。
何が共通なんだ。
うーん、もやもやする。
とりあえず、日曜大工が密室トリックに必要だと前提して話を進めよう。
それしかなさそうだ。
配信を終えたので、カフェオレでも飲んで落ち着こう。
甘い砂糖とコーヒーの苦みとミルクのクリーミーなのが調和する。
疲れた時には最適だ。
ふう、リラックスリラックス。
スマホが、メール着信のジングルを奏でる。
団符刑事からだな。
何だろう?
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