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第14話 密室《大なりイコール》
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「線香を上げに来ただけだ」
「そうか。これから奥さんに聞けば分かるぞ」
何かあった時のために配信はそのままだ。
記録が残れば証拠になる。
僕が無罪なのは僕が分かっている。
【ば7:刑事さん登場ね】
【蟹鎌:ちっちっちっ、容疑者に誘導尋問か】
【もっちん:初男は無実だよ】
【勝手ソンソン:野郎の声は要らない。でも事件のことは聞きたいかも】
僕も聞きたい。
「参ったな。情報交換だ」
「まあ良いでしょう」
「去年の2月17日が怪しいと睨んでる。何か特別な事があったんじゃないかと」
「なるほど。こっちの情報は、木戸なんだが、引き戸だったのは知っているよな。その鍵は俗にいうつっかえ棒という奴でな。これがまたちょっと難儀している」
【蟹鎌:ちっちっちっ、棒などいかようにもなる】
【もっちん:じゃあどうするんだよ】
【ば7:そうだ、アイデアを出せ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、自分で考えるのだ】
【勝手ソンソン:警察が分からないのがわかるはずない】
【ちくわ部:情報交換とかドラマっぽい】
「難儀?」
「木戸に細工の跡がないのだ。ただ強引に隙間を開ければ、そこから針金は入る。針金だとつっかえ棒が動かせないので、そこが難儀してる」
「どうしても駄目なんですか」
「すっぽりと棒が嵌っていて動かない。ピアノ線の形を変えて実験してみたが上手くいかん」
「ええと木戸に手を入れられる隙間を作ったんじゃないのか」
「くり抜いたりしたら跡が残る。板の風化具合で別の板を持って来たら流石に分かる。そこまで無能じゃない。換気扇の方から何か細工したのではないかと思ってるが、どうもなぁ」
【もっちん:蟹鎌とやら意見を言ってみそ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、釣り竿を使ったのだ。換気扇の穴からなら入る】
【もっちん:換気扇を取り外して外からまた元通りにできるのか?】
【勝手ソンソン:難しそうだな】
【ば7:換気扇は内側から取り付ける構造だからね。無理すれば分からないけど】
【ちくわ部:うーん、釣り竿は無理があると思う。しなるから細かい操作も難しい】
【蟹鎌:ちっちっちっ、意見を出さない奴に言われてもな】
ええと、扉は縦板と横板がある簡単な構造だ。
部屋の中から扉を見るとこんな感じだ。
横板に縦板がくっ付けてある。
簡単なだけに細工が難しい。
図では隙間を大げさに描いたが、実際の縦板同士の隙間は1ミリもない。
薄い金属板なら入りそうだな。
すっぱり手が入る穴を開けなければ、流石に棒は元には戻せない。
九美子は『>=』の問題だと言ったが、僕にはさっぱり分からない。
つっかえ棒の写真を見てみる。
直径が4センチぐらいの棒で、かなり重そうだ。
ピアノ線では支えられそうにない。
僕は棒に鉄板が貼られているのに気づいた。
「つっかえ棒に鉄板が貼られてますよね」
「すっぽり嵌るから、害者も取り外すのに難儀したらしい。強力マグネットの取っ手を付けて外す仕組みのようだ」
【もっちん:俺はラジコンを使ったのに1票】
【蟹鎌:ちっちっちっ、換気扇から入るラジコンでは棒の重さは支えられない】
【勝手ソンソン:だな、ラジコンは難しそうだ】
【ば7:ドローンは結構な重さを持ち上げるぞ】
【勝手ソンソン:換気扇の穴から入る奴だとどうなんだろう】
【もっちん:他だと糸かな。糸だけで仕掛けを作った。で換気扇の穴から回収して終わり】
【蟹鎌:ちっちっちっ、図に描いて、アップロードしてみるのだ】
【もっちん:描けるわけないだろ】
【ちくわ部:こういうのが分かるのは手品師とかかな】
「マグネットを換気扇の穴から入れるのは難儀しそうですね。室内に鉄製品はごろごろしている。ちょっと操作を誤ればピタッとくっ付いてとなるはずだ」
【蟹鎌:ちっちっちっ、マグネットなら電磁磁石なんてのもある】
【ちくわ部:電磁磁石は磁力が完全には無くならない】
【もっちん:そんなの警察が調べているだろう】
【勝手ソンソン:電磁磁石はありかもな】
【ば7:電磁石はありだな】
電磁磁石か。
警察も実験しているんだろうな。
密室の謎かぁ。
僕には解けそうにないな。
「そうか。これから奥さんに聞けば分かるぞ」
何かあった時のために配信はそのままだ。
記録が残れば証拠になる。
僕が無罪なのは僕が分かっている。
【ば7:刑事さん登場ね】
【蟹鎌:ちっちっちっ、容疑者に誘導尋問か】
【もっちん:初男は無実だよ】
【勝手ソンソン:野郎の声は要らない。でも事件のことは聞きたいかも】
僕も聞きたい。
「参ったな。情報交換だ」
「まあ良いでしょう」
「去年の2月17日が怪しいと睨んでる。何か特別な事があったんじゃないかと」
「なるほど。こっちの情報は、木戸なんだが、引き戸だったのは知っているよな。その鍵は俗にいうつっかえ棒という奴でな。これがまたちょっと難儀している」
【蟹鎌:ちっちっちっ、棒などいかようにもなる】
【もっちん:じゃあどうするんだよ】
【ば7:そうだ、アイデアを出せ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、自分で考えるのだ】
【勝手ソンソン:警察が分からないのがわかるはずない】
【ちくわ部:情報交換とかドラマっぽい】
「難儀?」
「木戸に細工の跡がないのだ。ただ強引に隙間を開ければ、そこから針金は入る。針金だとつっかえ棒が動かせないので、そこが難儀してる」
「どうしても駄目なんですか」
「すっぽりと棒が嵌っていて動かない。ピアノ線の形を変えて実験してみたが上手くいかん」
「ええと木戸に手を入れられる隙間を作ったんじゃないのか」
「くり抜いたりしたら跡が残る。板の風化具合で別の板を持って来たら流石に分かる。そこまで無能じゃない。換気扇の方から何か細工したのではないかと思ってるが、どうもなぁ」
【もっちん:蟹鎌とやら意見を言ってみそ】
【蟹鎌:ちっちっちっ、釣り竿を使ったのだ。換気扇の穴からなら入る】
【もっちん:換気扇を取り外して外からまた元通りにできるのか?】
【勝手ソンソン:難しそうだな】
【ば7:換気扇は内側から取り付ける構造だからね。無理すれば分からないけど】
【ちくわ部:うーん、釣り竿は無理があると思う。しなるから細かい操作も難しい】
【蟹鎌:ちっちっちっ、意見を出さない奴に言われてもな】
ええと、扉は縦板と横板がある簡単な構造だ。
部屋の中から扉を見るとこんな感じだ。
横板に縦板がくっ付けてある。
簡単なだけに細工が難しい。
図では隙間を大げさに描いたが、実際の縦板同士の隙間は1ミリもない。
薄い金属板なら入りそうだな。
すっぱり手が入る穴を開けなければ、流石に棒は元には戻せない。
九美子は『>=』の問題だと言ったが、僕にはさっぱり分からない。
つっかえ棒の写真を見てみる。
直径が4センチぐらいの棒で、かなり重そうだ。
ピアノ線では支えられそうにない。
僕は棒に鉄板が貼られているのに気づいた。
「つっかえ棒に鉄板が貼られてますよね」
「すっぽり嵌るから、害者も取り外すのに難儀したらしい。強力マグネットの取っ手を付けて外す仕組みのようだ」
【もっちん:俺はラジコンを使ったのに1票】
【蟹鎌:ちっちっちっ、換気扇から入るラジコンでは棒の重さは支えられない】
【勝手ソンソン:だな、ラジコンは難しそうだ】
【ば7:ドローンは結構な重さを持ち上げるぞ】
【勝手ソンソン:換気扇の穴から入る奴だとどうなんだろう】
【もっちん:他だと糸かな。糸だけで仕掛けを作った。で換気扇の穴から回収して終わり】
【蟹鎌:ちっちっちっ、図に描いて、アップロードしてみるのだ】
【もっちん:描けるわけないだろ】
【ちくわ部:こういうのが分かるのは手品師とかかな】
「マグネットを換気扇の穴から入れるのは難儀しそうですね。室内に鉄製品はごろごろしている。ちょっと操作を誤ればピタッとくっ付いてとなるはずだ」
【蟹鎌:ちっちっちっ、マグネットなら電磁磁石なんてのもある】
【ちくわ部:電磁磁石は磁力が完全には無くならない】
【もっちん:そんなの警察が調べているだろう】
【勝手ソンソン:電磁磁石はありかもな】
【ば7:電磁石はありだな】
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警察も実験しているんだろうな。
密室の謎かぁ。
僕には解けそうにないな。
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