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魔王決戦編

最終話 地球への帰還とイカサマ野郎の末路

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「おい、俺達は元の世界に帰るけど。野上、お前はどうするんだ」
「そうか都合が良い。お前の功績を全て頂いて俺はエシャーニア王女と結婚して王になる」
「王女は嫌がっていたぞ。悪い事は言わない。やめとけ」
「嫌だ。異世界人達は俺達を利用した。俺が異世界人を利用して何が悪い」
「最後通告だ。考え直せ」
「もし、俺が大人しく帰ったらどうなる。生徒会長をリコールされるに決まっている。そしたら転落人生の始まりだ」
「身から出た錆だろう。異世界であれだけ好き勝手すればな」
「勝手にして何が悪い」
「そうか仕方が無い。カタログスペック100%」

 俺は童話を手にスキルを掛けた。
 その童話に書かれている内容は『ある男が神に一つ宝物を貰える事になりました。男は隙を見て一つ盗ったのに素知らぬ顔で二つ目を神様から貰いました。男が去ってから二つ宝物が無くなっているに気づいた神様は怒り天罰を落としましたとさ』という内容だ。

 野上の身体は光に包まれ、更に天から稲妻が落ちた。

『すまん手が滑った』

 どこからか声が聞こえた。

「いえ、お構いなく」
「俺に何をした」

 と野上。

「小前田、鑑定を掛けてやれ」
「鑑定。職業と今まであったスキルが無くなっているわ。それとスキル『変顔』が追加されてる」
「もうこれで分かったろう。大人しく元の世界に帰って迷惑を掛けた人に謝るんだな」
「俺は謝らない。魔王と邪神討伐の功を持ってすれば職業なんてなんとでもなる」
「そうか好きにしろ。残りたい者は他にいるか。居ないようだな。みんな手をつなげ」

 野上を除いたクラスメイトは輪になって手を繋ぐ。

「これは餞別だ」

 俺は『浄化の杖』とエリクサーを野上に使ってやった。
 聖剣を鞘に納め野上の傍らに置いた。

 そして、輪になったクラスメイトに加わり、『来訪者戦記』片手にスキルを掛ける。

「カタログスペック100%」

 俺を含めたクラスメイト三十九人は光となって消えた。
 遂に終わりだな。

 気づいたらあの白い空間に一人で立っていた。

「手間を掛けたのう」

 爺が目の前に現れ声を掛けてきた。

「みんなは?」
「今頃は教室に着いているわい」
「それで」
「そっけないのう。ちょっと褒美を渡したいのじゃ」
「要らないから早く帰してくれ」
「せっかちじゃのう。カタログスペックを地球でも使えるようにしておくぞい。ただしカタログは本当にカタログだけで上場企業の物に限るがの。ではさらばじゃ」

 俺が瞬きしたら教室にクラスメイトと共に立っていた。
 みんなは高校の制服を着て喜びを友人と分かち合っている。
 装備とかはなくなっているそりゃそうだ。
 あのとんでもアイテムが持ち込まれると一波乱おきそうだ。

波久礼はぐれ君、帰って来れたね。どうしよう猛烈に波久礼はぐれ君とファミレスでパフェ食べたい」
「良美、私も行くわよ。三人で打ち上げね」
「そうだな、三人でカラオケ行ったりしよう」

 時間まで撒き戻っているらしくホームルームの次の時間になったら、数学の教師が来て涙を流している大勢の生徒を見て慌てて他の教師を呼びに行った。
 ああ、帰って来れたんだな。

 次の日の朝。

「カタログスペック100%」

 スクーターが光に包まれる。
 そして、俺の腕にはミサンガが結ばれていた。

Side:創造神
 全く後始末というのは面倒臭くてかなわんわい。
 邪神がいなくて良かったのじゃ。
 これで、神器は粗方回収したな。
 神器の代わりに置いておく金銭は魔王城から失敬させてもらったのはありがたかったのう。
 あの羊と馬は聖獣にしておくとするか。
 直接手を出しても制約が掛からんと言うのは良い事じゃ。

 そうだ元勇者はどうなっておるかの。
 ちょっと覗いてみるかの。

「信じてくれ。俺は来訪者の勇者で、魔王と邪神を討伐したんだ」
「嘘を言うな。この変な顔の詐欺師め。王女様もお前のような者は知らんと言っておられる。討伐者ならシロウ・ハグレ様と神託があった」
「くそぉ」
「勇者様なら聖剣を振るえるはずだ見せてみろ」
「そんなに言うなら、見せてやるぞ。お前達、細切れだ。ぬっ……」
「どうした。剣が鞘から抜けないようだが」
「なんでなんだよ」
「どうせその剣もはったりなんだろう。今日がめでたい日で良かったな。エターヤル王子とエシャーニア王女の婚約が整ったから、罪人には恩赦が与えられる。そうでなければ逮捕しているところだ。悪い事は言わない、うせろ」

 元勇者は門番に蹴られ転がって行く。
 元勇者は立ち上がりよろよろと歩き出した。
 哀れじゃの。
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