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クラスメイト相談編

第55話 怪盗現る

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 俺達は怪盗を捕まえるために作戦を練った。

「ねえ、どんな作戦でいくのよ」

 御花畑が尋ねる。

「そうだな、まず外はネクロマンサーの黒谷くろやさんに頑張ってもらう。アンデッドは眠ったり買収されたりしないからな」
「内側はどうするの」
「罠がほしいな。誰かに頼むとしよう」
「切り札はないの」
「あるよ、秘密だ」

「怪盗ってイケメンなのかな」

 小前田が言った。

「捕まえたら正体を暴いてやるよ」
「誰か恋に落ちたりして。そして怪盗を庇って愛の逃避行を繰り広げるのよ」
「そんな事にはならないと思うな」



 怪盗をおびき出す場所は領主館の玄関ホールだ。
 桜沢さんの伝手でここを借りる事ができた。
 ガラスケースに収められた『女神の祝福』の周りには和銅わどうさんと日野さんの共同制作の罠が張り巡らされる。
 残りの人間は罠に掛からない場所で待機だ。

 俺の腕時計の針がぴったり合わさる。
 外が騒がしい。
 来たようだな。

 俺はわくわくしながら怪盗の到着を待つ。
 ぷしゅーと音がして煙がホールに漂う。
 催眠ガスのようだ。
 随分と古典的な手法だな。
 俺達は小前田製の状態異常レジストポーションをあらかじめ飲んでいた。
 眠ったふりをして怪盗の油断を誘う。

 怪盗らしき人影が入って来た。
 姿がはっきりしてくる。
 怪盗は黒ずくめの格好で頭に赤い羽根を刺していた。
 怪盗に羽生はにゅうさんがナイフを投げる。

 ナイフは怪盗を突き抜け床を転がっていく。
 幻とはこしゃくな手を使う。



 罠をどうやって回避するのかと見ていたら怪盗は懐からボールを取り出した。
 怪盗がボールを投げるとボールは膨らみ人型になる。
 それは、罠に突進していき電撃につつまれ煙を上げた。
 なかなかやるな。

 怪盗はガラスケース手を掛け『女神の祝福』を取り出すと、頭の赤い羽根を地面に叩きつけた。
 赤い羽根は煙幕になり怪盗の姿を隠す。
 そろそろ、決着の時間だな。

 『手印の手引き』にあった金縛り印を結ぶ。
 俺以外の人間が全員金縛りにあう。
 煙が晴れていき怪盗が立っているのが分かった。

 俺は怪盗に近づき蹴ると、足が怪盗を突き抜ける。
 金縛りにあっても幻は解けないのだな

 印を素早く真実印に切り替え怪盗の本当の位置を探った。
 黒ずくめのすぐそばに怪盗が姿を現した、身なりの良い小太りの男だ。
 素早く再び金縛り印を結ぶ。
 怪盗の後ろに行き蹴る。
 今度はちゃんと手ごたえがあり、怪盗は倒れた。
 怪盗を踏んづけて、『義賊捕り物帳』を取り出し。

「カタログスペック100%」

 怪盗は光に包まれ義賊になった。



「何しやがる」
「お前は今日から義賊だ。悪人からしか盗めない。『女神の祝福』を返せ」
「手が勝手に」

 怪盗は懐から『女神の祝福』を出すと俺に返還した。

「それから、善人から盗んだ物は全部返すんだな」
「いやだ……へい、返しやす。この口が何を勝手に。もうこうなったらやけくそだ。義賊になってやるよ」
「うん、それがいい。ちなみにアンデッドはどう対処した」
「特殊な聖水を含ませた自動的に締まるロープを投げた」
「なるほどね」
「今回のお詫びに盗賊の秘伝書を置いていくぜ」

 そう言うと本を置いて怪盗は姿を消した。



「小太りの男って幻滅したなぁ」
「馬鹿ね。顔が良かったら結婚詐欺しているわよ」

 小前田は夢見ていたらしい。
 御花畑から突っ込みが入った。
 現実はそんなもんだろう。
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