上 下
246 / 248
第5章 アンデッドでざまぁ

第246話 おっさん、村に辿り着く

しおりを挟む
 俺は木々を飛び移って、集団を追い越した。
 そして、ジャスミン達に追いついた。

「集団が迫っているぞ」
「こちらも集団で迎え撃ちましょう」
「駄目だ、聖杭には敵わない」

「僕とリネットが残るよ」

 セドリックがそう申し出た。
 どいつもこいつも死にたがりだな。

「強奪した聖杭を埋めるぞ。埋めれば移動力が上がる」
「そうね。私達が散っても強奪した聖杭は渡せないわ」

 俺達は聖杭を埋めて、目印として石を置いた。
 それにジャスミンの血を数滴垂らした。
 ペット用の電波が出る首輪を置いて枯れ葉を掛ける。
 これで良いだろう。

 さて、奴らを殺す算段をしないといけない。
 トラップは仕掛けるとして、何か有効な手立てはないか。
 動物のヴァンパイヤを作ろうかとも考えたが、ヴァンプニウム入れてから1時間は経たないとヴァンパイヤにならない。
 それでは間に合わない。

 考えるんだ。
 木を隠すなら森の中。
 魔力を隠すなら魔力の中だ。

 俺は魔石に魔力を充填すると、粉々に砕いて地表に撒いた。
 そこに針のような俺の分身を至る所に置く。
 よし、仕掛けはこれで良い。

「隠れるぞ」

 俺達は枯れ葉を被って隠れた。

「ふふっ、もぐらになった気分」

 アニータは能天気だな。
 四人組が魔石の粉が散らばった所にやって来た。

 俺の分身の針が四人に刺さる。
 聖杭を乱射するが、魔石の粉に邪魔されて針を迎撃できない。

 針は体に食い込んで増殖し始めた。
 そして、四人は昏倒した。

「上手くいったぞ」

 俺は立ち上がると聖杭を回収して、四人に止めを刺した。

「これで一安心ね」
「そうだと良いが。この後はどうするか。それより何であいつらは、俺達を的確に追って来られるんだ」
「ええと足跡ではないでしょうか」

 リネットがためらいがちに言った。
 分かっているなら言えば良いのに。

「痕跡を消せないのか」
「無理じゃないかと」

 そうだよな一歩あるく毎に足跡を消していたら物凄く時間が掛かる。
 そう言えば刑事ドラマで鑑識さんが、靴にビニールのカバーを履かせていたような。
 靴を何かで覆えば足跡が残りづらくなる。
 それよりももっと良い手がある浮遊の靴だ。
 だが、これを出すと出所を説明できない。
 ジャスミンとアニータは良いが、セドリックとリネットは不味い。
 いいや、珍しいドロップ品だと言えば構わないだろう。

「浮遊の靴だ。ダンジョンでの珍しいドロップ品だ」
「反則ですね。これがあれば追跡は怖くありません」

「よし、急ぐぞ」

 俺達は浮遊の靴を履いて、追跡を振り切った。
 そして、レイス達の村に、着くことが出来た。

「いらっしゃい」
「やあ、いらっしゃい」

 赤ん坊を抱いたジーナとカイルが俺達を迎えてくれた。

「君達の種族名を勝手につけさせて貰った」
「構わないわ。主人なんて村人をゴーストって言ってしまって、気分を害した事もあるんです」
「だって、ゴーストにしか見えないだろう」

「君達の種族はレイスだ」
「良いわね。ゴーストよりましだわ」

「子供さんは大きくなったね」
「ええ、少しやんちゃで、誰構わず魔力を吸おうとするんです。他の人達に迷惑になるので常に抱いています」
「幸せそうで良かったわ」
「赤ちゃん可愛い」

「聖杭を大量に入手して、今、森に埋めてあるんだ。取りに行きたいが、敵が手ごわい」
「私達が力を貸しましょうか」
「出来るなら頼む」

「あなたキャロルをお願い」

 驚いた事にジーナが聖杭に戻った。
 その状態に戻れるのか。

「おぎゃあ、おぎゃあ」
「ジーナ、赤ん坊が泣いてるわよ」

 ジーナが再び半透明の人間の姿に戻る。

「よしよし、大丈夫だから、どこにも行かないわ」

 ジーナは赤ん坊をあやした。
 他の人に協力してもらうとして。
 相打ちになるのは避けたい。
 こうなったら赤外線ゴーグルで夜戦だな。

「レイスの村で夕暮れまで待機だ。暇つぶしにリバーシをしよう」
「これ面白い」

 アニータは気に入ったみたいだ。
 セドリックとリネットはレイス達にリバーシを挑んでいた。
 楽しい時間は過ぎるのも早い。

 空が真っ赤に染まる。
 俺達は赤外線ゴーグルを装備。
 レイス達が変身した聖杭を手に持った。
 さあ、狩りの時間だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。

烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。 その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。 「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。 あなたの思うように過ごしていいのよ」 真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。 その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~

すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》 猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。 不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。 何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。 ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。 人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。 そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。 男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。 そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。 (

処理中です...