レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
238 / 248
第5章 アンデッドでざまぁ

第238話 おっさん、殺し屋を始末する

しおりを挟む
「このゲームはな。黒の場合は白を挟む。白の場合は黒を挟む」

 宿の部屋でムハナにリバーシを教えてみた。
 すぐにルールを覚えたばかりか、俺に勝ち始めた。
 頭が良いんだな。

 ムハナはリバーシで俺に勝って嬉しそうだ。

「こういう時は嬉しいだとか。やっただとか。次も負けないとか。思った事を言うんだ」
「楽しい?」
「なぜ疑問形なのかは分からないが。そうこれが楽しいだ」

 俺は試しに数独パズルをやらせてみた。
 すらすらと解くムハナ。
 本当に頭が良いんだな。

「これ楽しい。もっと下さい」
「よしよし、好きなだけやっていいぞ。俺は少し出て来る」

 俺は人目のつかない所、つまりトイレで血を飲んだ。
 ぷはぁ、美味い。
 液体歯磨きでうがいして、血が顔に付いてないか念入りに確認した。
 そして、部屋に戻る。

「おかえりなさいませ」
「変わった事はないか?」
「血の匂いがします」

「それはいいんだ。気にするな」

 鼻もいいんだな。
 念入りに血を飲んだ痕跡は消したはずだが。
 扉がノックされる。

「どうぞ」

 入ってきたのはジャスミンだった。

「イリスが呼んでるわ」
「そうか。ムハナは数独をやっておけ」
「はい、かしこまりました」

 俺はイリスの花屋に行った。

「困った事になったわ」
「何だ?」
「さらった奴隷の誰かが、皇帝の血をひいているらしいの」
「皇族を奴隷に落としたのか」
「皇帝と言っても先代のね。昔、その息子の一人が反乱を起こしたらしいわ。そしてその子供、つまり先代の孫が奴隷になった」
「ほう、処刑しなかったのか」
「今の皇帝が見せしめに奴隷にすると言ったそうよ」
「陰湿だな」

「あなたに預けた奴隷の所に殺し屋が来るかもしれないわ。気を付けて」
「分かった。早く戻らないと」
「ジャスミンが付いているから、心配は要らないんと思うわ」
「何かあったら、知らせてくれ」

 俺は大急ぎで宿に戻った。

「大変、ムハナが居なくなったの」

 宿に戻るとジャスミンがオロオロしていた。

「どういう事だ」
「トイレに行きたいというから行かせたの。そうしたら、戻って来ないのよ」

 俺は血の匂いを嗅ぎ取った。
 ムハナ、殺されたのか。
 血の匂いのする部屋に入ると、宿の従業員が下着姿で首を切られて死んでいた。

 敵は従業員に化けたのか。
 ムハナはどこに行った。
 なぜ出て行った。
 危険を察知したという事だとは思うが、宿の従業員に化けた殺し屋を見破れるか。
 普通は無理だろう。
 どこかおかしい。
 情報のピースが足らない。

 ええと、どう考えたらいいのか。
 シンプルに考えれば、殺し屋から逃げた。
 じゃ、どこへ。
 ムハナの知っている場所と言えば市場だ。
 それしかない。

 俺は俺の露店に行った。

「ついさっき、ムハナが来なかったか」
「来ましたよ。クッキーが欲しいと言うので、50枚ほど包みました」

 むっ、クッキーの食べかすが所々に落ちている。
 これを追って行けばいい訳だ。

 途中、解いた数独の紙を見つける。
 数独を解きながらクッキーを食べて歩いたのか。

 そして、ある路地の入口で痕跡は消えた。
 路地を進むと横たわったムハナが。
 そして、短刀を持って立つ宿の従業員の服を着た殺し屋が居る。

「見られたからには生かして帰せないな」
「ほざけ」

 俺は手刀で殺し屋の心臓を貫いた。
 殺し屋は息絶えた。
 ムハナを見ると腹に切られた痕がある。
 幸い傷は浅いが、刃物に毒を塗っていたらしい。
 紫色に腫れあがっていた。

 毒を吸い出して、度数の高い酒で消毒する。
 口移しで異世界産の毒消しポーションとエリクサーを飲ます。
 殺し屋は解毒剤を持っていなかった。
 短刀の毒を分析したかったが、見ると刃を腐食して変質している。
 これでは無理だろう。

 あとは医者に任せたほうがいいな。
 俺はムハナをジャスミンの部屋に運び込んで、医者を呼んだ。

「今夜が峠ですな」
「ありがとうございました」

「私がもっとしっかりしていれば」
「ジャスミンのせいじゃないよ。ムハナなりの理由があったのだろう。元気になったら聞いてみるさ」

 ムハナの額に冷却シートを貼る。
 俺に出来る事はもうない。
 勝手な事をしたんだから、死んでも当然だと内なる心が言う。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

処理中です...