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第5章 アンデッドでざまぁ

第210話 おっさん、ボーンドラゴンを討伐する

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 やっぱりだ。
 出て来たボスを見て思った。
 ボーンドラゴンだな。

「カタカタ、カタカタカタ(属性魔導アトリビュートマジック、刃よ回転して切り刻め)」

 やっぱりだ。
 硬くて弾かれた。

「援護するわ。属性魔導アトリビュートマジック、刃よ回転して切り刻め」

 ジェマからもダイヤモンドカッターの刃が飛ぶが、弾かれた。

「まだまだあ。属性魔導アトリビュートマジック、刃よ回転して密着せよ」

 ジェマが頑張っている。
 やっぱりそれしかないか。
 回転する刃を密着させて削る。
 長期戦だな。
 じゃ俺も。

「カタカタ、カタカタカタ(属性魔導アトリビュートマジック、刃よ回転して密着しろ)」

 ボーンドラゴンは叫ぶポーズを取ると衝撃波を放った。
 俺達は壁に叩きつけられた。

『油断した。次は大丈夫だ。ジェマは平気か』
「打ち身になったけど、大丈夫」
『よし、ドラゴンを削るぞ』

 俺は鉄アレイの入った背負いを装着した。
 再びボーンドラゴンが衝撃波のポーズを取る。
 衝撃波が来て、俺は金属支配で奪い取って反射した。

 ボーンドラゴンは頭を振ると、骨の尻尾で俺を薙ぎ払ってきた。
 ひしゃげるヘルメット。
 してて良かったヘルメットだな。

 替えのヘルメットを素早く装着した。
 ジェマが後衛なので、前衛の俺が抜かれたら終わりだ。
 ポチが後ろ脚に噛みつく。
 齧れたりはしないけど、ボーンドラゴンの気がそれた。

 俺は酢を魔力通販で買って、ボーンドラゴンに掛けた。

「カタカタ、カタカタカタ(属性魔導アトリビュートマジック、酢よ骨を溶かせ)」

 これで柔らかくなれば良いけど。
 ジェマが操っている刃が少し頭蓋骨に食い込んだ。
 酢が効いている。
 もっと掛けないと。

「カタカタ、カタカタカタ(属性魔導アトリビュートマジック、酢よ骨を溶かせ)」

 それから酢を掛け続ける事、一時間。
 ヘルメットを壊す事10個。
 酢は100本を超えた。
 ポチがバラバラになるのは30回を超えた。

 そして、遂にジェマの刃がコアを貫いた。

「私、ドラゴンスレイヤーになっちゃった。こんなの誰も信じないわ」
『俺が永遠に記憶しておいてやるよ』

 ダンジョンコアから魔力を吸い取り、ダンジョンコアを手に取り討伐は終わった。

「カタカタ(ステータス)」

――――――――――――――
名前:山田 無二 LV86
魔力:84168997/8600

スキル:
収納箱
魔力通販
次元移動
属性魔導
――――――――――――――

 毎度の事ながら凄く魔力が増えたな。

『ダンジョンコアの金は二人で分けよう』
「売るの」
『いやまだ売らない。目立つとろくな事がないからな。ジェマも嫌だろう』
「そうね。びくびくしながら暮らすのは嫌だわ」
『急いでダンジョンを出るぞ』
「そうねそうしましょ。きゃっ」

 俺はジェマをお姫様だっこして、走り始めた。
 装備をつけて走るのは大変だからな。
 疲れない俺が走るの方が良い。

「ちょっと降ろしてよ」

 鎧をつけて走りたいのかと書きたいが手が空いてない。

「カタカタ、カタカタカタ(属性魔導アトリビュートマジック、念動)」

 念動で書いて、意思を伝えた。

「そうね。任せるわ」

 風を切って走りまくった。
 出口が見えたのでジェマを降ろす。

「この後どうするの。私達の契約は終わったけど」
『ジェマさえ良ければ、これからも一緒に冒険したい』
「改めてよろしく。パートナーさん」
『よろしく』

 ポチがじゃれついてきた。

『もちろんポチも一緒だぞ』
「文字は読めないと思うわ。ポチちゃんも一緒よ」

 吠える動作をするポチ。

『とりあえず、速攻で街を出て次の街に行こう。できればもう二つぐらいダンジョンを攻略したい』
「そうね。そうなれば、皇都に家が買えるかしら」
『きっと買えるさ』
「ムニに夢はないの」
『目下の夢は人間になる事だな。方策は立っているが、この体でやらなくちゃならない事がある』
「いつかなれると良いわね。人間は良いわよ。寝る事や食べる事も、恋する事も出来るわ」

 知っているよ。
 人間の楽しみは。
 だがな、俺が生きていると知られたらたぶん軍隊が出て来るだろう。
 あっちは俺が陰謀が出来る奴だと思っているから、殺すのに手を抜かないだろう。
 尻尾を巻いて地球に帰るのは嫌だ。
 それにたぶん生贄を奉げていると思うから阻止したい。

 俺は乗合馬車の屋根に、ジェマは銀貨を払い乗り込んだ。
 馬車は走り出し、ポチが後をついて駆けてくる。
 人間に戻ったらやりたい事リストを作り始め、俺は一時、復讐の事など忘れた。
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