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第4章 チタン属性でざまぁ編
第194話 おっさん、行方不明者の探索をする
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「大変だ」
「なんだ」
レベッカが血相変えて宝石魔導士会の本部に駆け込んで来た。
なんだよ。
またストライキか。
「水晶魔導士に行方不明者が多数出ている」
おー、ストライキじゃなかったのね。
無断欠勤という線もあるな。
「仕事を放り出して逃げたんじゃないのか」
「坑道に入って出て来ないから、崩落があったと思って調べたんだ。そしたら、坑道がもぬけの殻さ」
「ふむふむ、なるほどね。失踪するなら坑道ではなく、普通は宿舎からするよな」
「調べてみて貰えないか」
「やってみるさ」
アニータを旅の道連れに、バイクに乗って鉱山に向かう。
ふむ、予想ではモンスターの仕業だと思う。
ミミズのでっかいのとか。
モグラのでっかいのとかだな。
案内されて失踪が起こった鉱山に入る。
「道具類は事件が起こった時のままにしてありますぜ」
「なるほど。つるはしとかタガネとかハンマーがそのままだな」
「こっちには、弁当と水筒があるよ」
アニータが足で包みをツンツンする。
腐って腐臭を放つ弁当がある。
さて、行方不明になったのは水晶魔導士6名と2級市民の鉱夫10名か。
血の跡とかないから、モンスターにその場で食べられたという線は消えるな。
誰も逃げられないで、モンスターに食われたとは考え難い。
「掘り返された跡を探そう。モンスターならそこから出現したはずだ」
ヘッドライトに照らされるのは普通に硬い岩肌ばかりだ。
岩を溶かして移動してまた固めるなんて事をしたのかな。
いくら、奇想天外なモンスターの習性でもそれはないように思える。
「ここ、少し変」
アニータが声を上げた。
どこが変なんだ。
何も変わらないように見える。
「俺には分からん」
「へへーん。分かんないの。あのね、たいら過ぎるの」
「おー、そう言われてみれば。そこだけツルツルになってるな。でも、岩だな」
「他の場所は凸凹だよ。ダンスでも踊ったのかな」
分かったぞ。
平らな場所しか設置出来ない物を置いたんだ。
そうに違いない。
ここから出るのに入口を使わないで出る方法は。
普通に考えたら転移の魔力回路だな。
ということは人さらいか。
誰が何の為に。
もちろん、鉱山を掘らせる為だ。
隠し鉱山があると見た。
転移では後を追う事は出来ない。
どうしよう。
隠し鉱山があれば人間が多数集められているはずだ。
食料などを運び込まなければならない。
その線から追うべきだろうな。
ただ、全ての物流をチェックするのは無理だ。
怪しい所を絞り込む必要があるな。
「隠し鉱山があるとしたら、どこいら辺だ」
俺は案内役に尋ねた。
「そんなの分かりませんぜ。山なら何でも怪しい」
「食料を運び込む必要がある。道がある場所だ。もしくは最近になって道を作った場所だ」
「山に道を作るとすれば大仕事だ。だけどもよ、魔導士いて豊富な触媒があれば、容易いですぜ」
「じゃあ、鉱山で働く人間が好んで食うのは何だ」
「酒ですぜ。鉱山の仕事はストレスが溜まる。酒がなきゃやってられない」
「よし、その線から当たろう」
宝石魔導士会の魔導士を総動員して、酒を積んでいる馬車を追う。
その結果ある街道に入った酒を積んだ馬車が、山近くに行って空荷で帰ってきたのが分かった。
ここからは俺の出番だ。
魔力通販でドローンを買い飛ばす。
馬車を上空から見張り、鉱山の入口を突き止めた。
ここからは慎重にいかないとな。
「アニータ、俺達は狩猟している親子連れだ」
「うん」
「そういう時は、はいパパだ」
「はい、パパ」
この世界で登山しているのは殆どが狩人だ。
後は山師。
俺達も弓矢を背負って毛皮の衣類を着て偽装した。
アニータは毛皮の帽子をかぶってご満悦だ。
帽子には獣耳が付いている。
宝石魔導士会で披露したら、可愛いとの声を頂いた。
「お前達はなんだ」
坑道の入口に通ずる道で見張りに見つかった。
「見ての通りの猟師だ」
「大きくなったら、パパの後を継いで猟師になるんだ」
「子供連れの猟師か。まあ、子連れは有り得ないな。この道は途中で通行禁止になる。それより奥に入ったら命はないぞ」
「ご親切にどうも。少し上に登ったら獲物をしとめようと思っとります」
「それがいい」
途中道を外れて、鉱山の入口が見える所に陣取って双眼鏡を覗く。
きらびやかな衣装を着た鉱山に場違いな連中が数多く見受けられた。
ダイヤモンド魔導士達に違いない。
闇雲に突入するのは悪手だな。
ここはさらわれた人と話して協力を得たい。
「なんだ」
レベッカが血相変えて宝石魔導士会の本部に駆け込んで来た。
なんだよ。
またストライキか。
「水晶魔導士に行方不明者が多数出ている」
おー、ストライキじゃなかったのね。
無断欠勤という線もあるな。
「仕事を放り出して逃げたんじゃないのか」
「坑道に入って出て来ないから、崩落があったと思って調べたんだ。そしたら、坑道がもぬけの殻さ」
「ふむふむ、なるほどね。失踪するなら坑道ではなく、普通は宿舎からするよな」
「調べてみて貰えないか」
「やってみるさ」
アニータを旅の道連れに、バイクに乗って鉱山に向かう。
ふむ、予想ではモンスターの仕業だと思う。
ミミズのでっかいのとか。
モグラのでっかいのとかだな。
案内されて失踪が起こった鉱山に入る。
「道具類は事件が起こった時のままにしてありますぜ」
「なるほど。つるはしとかタガネとかハンマーがそのままだな」
「こっちには、弁当と水筒があるよ」
アニータが足で包みをツンツンする。
腐って腐臭を放つ弁当がある。
さて、行方不明になったのは水晶魔導士6名と2級市民の鉱夫10名か。
血の跡とかないから、モンスターにその場で食べられたという線は消えるな。
誰も逃げられないで、モンスターに食われたとは考え難い。
「掘り返された跡を探そう。モンスターならそこから出現したはずだ」
ヘッドライトに照らされるのは普通に硬い岩肌ばかりだ。
岩を溶かして移動してまた固めるなんて事をしたのかな。
いくら、奇想天外なモンスターの習性でもそれはないように思える。
「ここ、少し変」
アニータが声を上げた。
どこが変なんだ。
何も変わらないように見える。
「俺には分からん」
「へへーん。分かんないの。あのね、たいら過ぎるの」
「おー、そう言われてみれば。そこだけツルツルになってるな。でも、岩だな」
「他の場所は凸凹だよ。ダンスでも踊ったのかな」
分かったぞ。
平らな場所しか設置出来ない物を置いたんだ。
そうに違いない。
ここから出るのに入口を使わないで出る方法は。
普通に考えたら転移の魔力回路だな。
ということは人さらいか。
誰が何の為に。
もちろん、鉱山を掘らせる為だ。
隠し鉱山があると見た。
転移では後を追う事は出来ない。
どうしよう。
隠し鉱山があれば人間が多数集められているはずだ。
食料などを運び込まなければならない。
その線から追うべきだろうな。
ただ、全ての物流をチェックするのは無理だ。
怪しい所を絞り込む必要があるな。
「隠し鉱山があるとしたら、どこいら辺だ」
俺は案内役に尋ねた。
「そんなの分かりませんぜ。山なら何でも怪しい」
「食料を運び込む必要がある。道がある場所だ。もしくは最近になって道を作った場所だ」
「山に道を作るとすれば大仕事だ。だけどもよ、魔導士いて豊富な触媒があれば、容易いですぜ」
「じゃあ、鉱山で働く人間が好んで食うのは何だ」
「酒ですぜ。鉱山の仕事はストレスが溜まる。酒がなきゃやってられない」
「よし、その線から当たろう」
宝石魔導士会の魔導士を総動員して、酒を積んでいる馬車を追う。
その結果ある街道に入った酒を積んだ馬車が、山近くに行って空荷で帰ってきたのが分かった。
ここからは俺の出番だ。
魔力通販でドローンを買い飛ばす。
馬車を上空から見張り、鉱山の入口を突き止めた。
ここからは慎重にいかないとな。
「アニータ、俺達は狩猟している親子連れだ」
「うん」
「そういう時は、はいパパだ」
「はい、パパ」
この世界で登山しているのは殆どが狩人だ。
後は山師。
俺達も弓矢を背負って毛皮の衣類を着て偽装した。
アニータは毛皮の帽子をかぶってご満悦だ。
帽子には獣耳が付いている。
宝石魔導士会で披露したら、可愛いとの声を頂いた。
「お前達はなんだ」
坑道の入口に通ずる道で見張りに見つかった。
「見ての通りの猟師だ」
「大きくなったら、パパの後を継いで猟師になるんだ」
「子供連れの猟師か。まあ、子連れは有り得ないな。この道は途中で通行禁止になる。それより奥に入ったら命はないぞ」
「ご親切にどうも。少し上に登ったら獲物をしとめようと思っとります」
「それがいい」
途中道を外れて、鉱山の入口が見える所に陣取って双眼鏡を覗く。
きらびやかな衣装を着た鉱山に場違いな連中が数多く見受けられた。
ダイヤモンド魔導士達に違いない。
闇雲に突入するのは悪手だな。
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