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第4章 チタン属性でざまぁ編

第192話 おっさん、方策を模索する

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 街の至る所に立て札が立った。
 簡単に言うとスラム解体のお知らせだ。

 遂にダイヤモンド魔導士達はスラムを取り壊す事にしたようだ。
 スキル原理主義者の温床だし、俺も暗躍しているからな。

「スラム取り壊し反対」
「そうだ」
「俺達の住む所を守れ」
「居場所は誰にも奪わせないぞ」

 スラムの人達は取り壊し反対の大声を上げ街で行進を開始した。

「ダイヤモンド魔導士は平等を認めろ」
「市民の階級を無くせ」
「1級市民以外にも出世を」

 議会政治を推進している人達も一緒になって大声を上げ始めた。
 このまま革命に移行するのかなと思っていたら、ダイヤモンド魔導士達が出てきて、火球を撃ち始めた。

 あー、追い散らされたな。
 そんな事だろうと思ったよ。

 さて、俺はどう動くべきかな。
 一網打尽と行きたいところだが。
 ダイヤモンド魔導士の全てをやるのは無理だ。
 各個撃破が望ましい。
 その状況を作り出すのが骨だ。

 だが、事態は俺の予想を覆して進み始めた。
 なんとスラムの住人はゲリラ戦術をとった。
 デモの鎮圧に係わったダイヤモンド魔導士が一人で歩いている時に、投石をしたのだ。
 気を抜いている時に石が飛んで来ればたまったものではない。
 魔導を展開するのにも少し時間が掛かる。
 何人か死人が出て、ダイヤモンド魔導士は街を歩かなくなった。
 その代わりに2級市民の作業員達がスラムを取り壊し始めた。

 あー、こういう展開になるとどうしようもないな。
 2級市民を虐殺したら恨まれるだろうな。
 スラムの住人は作業員達に投石を仕掛けたが、いかんせん人数多い。

「なあ、あんたら。取り壊しの仕事は嫌じゃないのか」

 俺は作業員の一人に話し掛けた。

「嫌だけど給料が良いのでやめられない」
「そうだよな。仕事しないと食っていけないからな」
「ああ、妻子を養わなきゃならないんでな」
「邪魔したな」

 効率の良い嫌がらせは何かな。
 2級市民をやるのはどうも気が進まない。
 もっと割のいい仕事を作り出して引き抜きするしかないのかな。
 だが、経済でダイヤモンド魔導士に戦いを挑んでも負けが見えている。
 相手は一つの街の経済を握っているのだ。

 この戦は負け戦だ。
 上手い手が見つからん。
 秘密結社の会合に出る。

「ダイヤモンド魔導士を煽ってやれ。スラムを取り壊して、支部に引きこもっている臆病者だとな」
「ええ、やってやります。ですが、連中は出てきますかね」
「出て来ないだろうな。それとスラムの子供達の声をビラに書くんだ。住む所がなくなって悲しいとか」
「それは効果がありそうですね」

 今の所こんな事しか出来ない。
 ばっと解決する方法がないのだろうか。
 俺は街の酒場に出て声を聞いた。

「なあ、ダイヤモンド魔導士達のやり方は正しいのかねぇ」
「そもそも、3級市民を差別する必要があったのか」
「本当は俺達全員が魔導士なんだとよ。ビラに書いてあった」
「聞いたよ。金属魔導士会は2級市民に再試験しているって。実際に合格した奴もいるらしい」

「スラムの人達が可哀そうだな。住む所がなくなってよう」
「俺は同情できないぜ。取り壊しの仕事に行ったら、石をぶつけられた」

 スラムの人達に作業員に対する投石を辞めろと言いたいが、聞く耳を持たないだろうな。

「俺はスラムの人間が暴動を起こすのじゃないかと思っている」
「それは怖いな。俺達は身を守るすべがないからな」

 うん、スラムが暴動を起こしてなんとかなるのならそれでも良いが無理だろうな。
 俺はスラムの人間にある噂を流した。
 それは、誰も居なくなった村がありスラムの人間を受け入れているらしいと。
 村の候補には実はあてがある。

 リウ暗殺団の本拠地だ。
 本拠地は何年か毎に場所を変えている。
 廃棄された村が沢山ある訳だ。
 そこを利用しようと考えた。

 スラムの取りまとめを誰にしてもらうかだ。
 俺は元スラムの人間の気体魔導士につなぎを取った。

「スラムの人間を移住させたい。取りまとめをお願いできるか」
「良いぜ。やってやるよ」
「村の位置は地図に書いてある」

 これでなんとかなりそうだ。
 ついでに気体魔導士と新しく加わる事になった金属魔導士の試験もやってしまおう。
 そうすれば村に戦闘力が出来る訳だからな。
 モンスターの襲撃にも耐えられるはずだ。
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