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第4章 チタン属性でざまぁ編

第190話 おっさん、暗殺者の玉子を捕まえる

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「オーダー様、秘密結社の人間が二人やられました」

 オーダーとは俺の事だ。

「捕まった奴はいないだろうな」
「ええ、いません」

 やられた手口はナイフによる刺殺。
 そこで、防刃グローブ、防刃ベスト、防刃ズボンの三点セットを配備する事にした。
 刃に毒がぬってあると事だから、解毒ポーションもつける。
 これで被害が減ってくれれば良いが。

 俺もビラ貼りに同行する。
 夜の街に俺達の足音だけが響く。

 ゴミが動いたと思ったら、ナイフを腹に当てられていた。
 魔力壁があるから刺さらないが気分の良いものじゃない。

 拳を振り上げ、刺客の背中に叩き下ろした。
 ゴギっと音がして刺客はピクリとも動かない。
 背骨が折れたんだろう。
 念のため口を開けて舌を見るとトカゲのマークがあった。
 こいつら、リウ暗殺団の残党だな。
 やけに背が低いと思ったらまだ顔が幼い。

 やな奴を殺しちまった。
 子供はなるべく殺さないようにしてたのに。

 もう一度出て来たら、無傷で捕らえる事も可能だが、洗脳は解けないだろうな。
 扇動ポーションが効けば良いが、あれは低レベル限定だからな。
 暗殺者の玉子が低レベルなんて有り得ない。

「暗殺者は出来るだけ無傷で捕らえて連れて来い」
「かしこまりました。皆に伝えておきます」

 ビラ貼りを続行する。
 ある地点に差し掛かったところ、地面がめくれて地下から子供が飛び出した。
 俺はトイレのすっぽんを出して身構える。
 子供はナイフの刃に液体を垂らした。

 毒を使うのは想定内だ。

貫通ペネレイト

 むっ、貫通スキルか。
 魔力壁で対抗できるかな。
 俺はわざとナイフを腹で受けた。
 チクリと痛みが走った。

 トイレのすっぽんで子供をぶちのめしてから、解毒ポーションを呷る。
 魔力壁も貫通するとは、貫通スキル侮れないな。
 傷の方は大した事が無いので有効打とまでは言えないが。

「武器を持ってないか隅々まで調べろよ」
「血も涙もない一言ですな。この子供のトラウマにならないか心配です」
「なら、気絶しているうちにやるんだな」
「手が汚れないようになる物とかないですかね」
「なんに使うんだ。ゴム手袋を支給してやる。ちゃんと探れよ」
「はいはい」

 しばらくして。

「筒があり小さい刃物を隠していました」

 筒か。
 体のどこに隠してしたかは聞かないでおこう。

「そうか」
「それと胃袋にも武器がありました。口の中に紐があったので引っ張ったら出てきました」
「まじか。密輸業者がやるとは聞いてはいたが、ドン引きだな。もしかして、髪の毛の中に何か隠してないか探せ」

 髪の毛で武器を偽装する忍者の話があったな。

「ありました。髪の毛の色と同じ武器が」

 こいつらを生かして連れて行くのはどうなんだろうか。
 だが、子供は殺したくない。
 偏った価値観だとは分かっているが、譲れない。
 人間なんて物はどっかで線引きしている物だ。
 子供は生かして、大人は殺す。
 嫌な線引きだ。

「さあ、引き上げよう」

 今夜だけで5人の子供が捕まって俺の元に連れてこられた。

「お前達を殺すつもりはない」
「俺は裏切り者にはならない。里の仇を討つんだ」
「やりたくはないが、うらむなよ。といっても無理か」
「何をするんだ。その魔法陣は何だ」

 俺は無言で魔力回路を作動させて、良心の呵責を覚える呪いを付加した。

「こんな、それをあっちにやってお願い」
「来るな」
「悪かった」
「来ないで」
「うわー」

 子供に呪いを掛けるなんて、嫌な仕事だ。

「さすが、オーダー様です。血も涙もない」
「悪い事をしなけりゃ良いんだ。ところで、防刃セットは役に立ったか」
「ええ、子供達に腹を刺されても何ともなかったですよ」
「それは何よりだ」

「この子供達はどうしましょう」
「そうだな。農村にでも連れていくか。子供のない夫婦なんてのもいるだろうから」

 子供の数は最終的には30人を超えた。
 だが、呪いを掛けられて改心しなかった子供は一人もいない。
 俺は子供を預ける為に農村を回る事にした。
 気体魔導士の伝手を使うとしようか。
 彼らが仲介すれば村人も安心して子供を引き取るに違いない。
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