188 / 248
第4章 チタン属性でざまぁ編
第188話 おっさん、フェンリルを退治する
しおりを挟む
リウ暗殺団はあれから襲っては来ない。
残党はいるはずなんだが、スキル原理主義者は頑張っているらしい。
今日は何人のリウ暗殺団をやりましたとか報告に来る。
斬撃スキルの獲得者が増えた事で戦力が大幅に上がったようだ。
研究所もあれから二つ潰してダンジョンコアを持って来た。
ダイヤモンド魔導士が敵にいてだいぶ手こずったようだった。
究極斬撃スキルを求めてきたので、作ってやった。
「ちょっと困った事が持ち上がった」
宝石魔導士会の本部で、レベッカがどう話を切り出したらいいのか分からないという風情で言った。
「なんだ言ってみろ」
「フェンリルが鉱山の道の近くに居座ったんだ。知っての通りフェンリルは強い。相性によってはドラゴンよりたちが悪い」
「うーん、二三あてがあるのだが、効くのかな。まあやってみるしかないのだが」
俺とアニータは鉱山に通ずる道にやって来た。
辺りは森でどこにフェンリルが潜んでいるのか分からない。
「罠を仕掛けるぞ」
「ウサギを獲るのよね」
「そうだ。どっちが多く捕まえられるか勝負だ。属性魔導、加速」
「ずるい。属性魔導、加速」
加速を使えば素手でウサギも捕まえられる。
足に紐をつけてウサギを杭につないだ。
「俺は6匹。アニータは5匹だな」
「負けちゃった」
「残念賞のチョコレートだ」
「口の中でとろけるぅ」
「美味いだろ、虫歯になるからやらなかったが。あれ、チョコレートで虫歯は迷信だったかな。まあいいや」
「毎日食べたい」
「そう言うと思ったよ。毎日は駄目だ。一週間に一度だな」
「約束だよ」
唸り声がする。
お出でなすったか。
「アニータ、静かに伏せてろ」
「うん」
フェンリルはトラックほどの巨体だった。
視線を外したら、襲い掛かってくる。
直観でそう思った。
ウサギの周りを何回も回ってからパクリと飲み込んだ。
しめしめ食ったぞ。
ウサギの胴体にはご飯を潰して作った糊で、チョコレートとキシリトール飴を貼り付けておいた。
もちろんこれらは魔力通販で買った。
次々にウサギを平らげて最後には痙攣し始めるフェンリル。
「死にさらせ」
俺はメイスで頭を連打した。
ふぅ、死んだか。
フェンリルにチョコレートとキシリトールは効くんだな。
その時がさりと音がした。
見るとさっきのとは別のフェンリルが唸っていた。
やばい。
「アニータ、絶対に動くなよ」
俺はフェンリルと睨み合った。
大口を開けてフェンリルは氷のブレスを吐いた。
冷てぇな。
魔力壁である程度の冷気は遮断しているとはいえじわじわと冷気がしみ込んで来る。
こりゃ長くは持たないな。
ダウンジャケットとダウンパンツを出して急いで羽織る。
そして、ブレスの横から回り込もうとしたが、追尾された。
俺をロックオンしてやがる。
しょうがない。
ブレスに突っ込んでいって、口を抱えて閉じさせた。
暴れるフェンリル。
そんなに口を開けたきゃこれでも食っとけ。
チョコレートとキシリトール飴をこれでもかと口に突っ込んだ。
「属性魔導、念動」
そして、念動を使い、飲み込ませる。
よし、飲んだぞ。
後は待つだけだ。
フェンリルは再びブレスを吐き始めた。
使い捨てカイロを大量に懐に入れる。
全然、暖かくない。
我慢だ。
スキー用の手袋もしておこう。
ついでに目出し帽と毛糸の帽子も。
1分が何時間にも感じられる。
「属性魔導、暑くなって」
アニータが俺に暖気を運んでくれた。
よし、俺も。
壁を作りたいところだが、壁を作ると肉弾戦に移行しそうだ。
「属性魔導、空気よ壁になれ」
おれは空気の壁を作った。
これならフェンリルもブレスを吐き続けるだろう。
いったい、今の温度は何度だ。
温度計を出すとメモリは零下20度を差していた。
壁で遮ってアニータに暖気を送ってもらって20度かよ。
こんなの1分も耐えられないぞ。
なんか、眠いな。
眠ったら死ぬ。
そう思った。
気が付いたらフェンリルは痙攣していた。
今までのお返しだ。
メイスで頭部を乱打した。
ふぃー、暑い。
慌ててダウンジャケットを脱ぐ。
「寒かったね」
「アニータまで冷気が届いたか」
「歯が鳴らないように我慢したの」
「暖気のフォローは助かったよ」
フェンリルは強敵だった。
二度とやりたくない。
残党はいるはずなんだが、スキル原理主義者は頑張っているらしい。
今日は何人のリウ暗殺団をやりましたとか報告に来る。
斬撃スキルの獲得者が増えた事で戦力が大幅に上がったようだ。
研究所もあれから二つ潰してダンジョンコアを持って来た。
ダイヤモンド魔導士が敵にいてだいぶ手こずったようだった。
究極斬撃スキルを求めてきたので、作ってやった。
「ちょっと困った事が持ち上がった」
宝石魔導士会の本部で、レベッカがどう話を切り出したらいいのか分からないという風情で言った。
「なんだ言ってみろ」
「フェンリルが鉱山の道の近くに居座ったんだ。知っての通りフェンリルは強い。相性によってはドラゴンよりたちが悪い」
「うーん、二三あてがあるのだが、効くのかな。まあやってみるしかないのだが」
俺とアニータは鉱山に通ずる道にやって来た。
辺りは森でどこにフェンリルが潜んでいるのか分からない。
「罠を仕掛けるぞ」
「ウサギを獲るのよね」
「そうだ。どっちが多く捕まえられるか勝負だ。属性魔導、加速」
「ずるい。属性魔導、加速」
加速を使えば素手でウサギも捕まえられる。
足に紐をつけてウサギを杭につないだ。
「俺は6匹。アニータは5匹だな」
「負けちゃった」
「残念賞のチョコレートだ」
「口の中でとろけるぅ」
「美味いだろ、虫歯になるからやらなかったが。あれ、チョコレートで虫歯は迷信だったかな。まあいいや」
「毎日食べたい」
「そう言うと思ったよ。毎日は駄目だ。一週間に一度だな」
「約束だよ」
唸り声がする。
お出でなすったか。
「アニータ、静かに伏せてろ」
「うん」
フェンリルはトラックほどの巨体だった。
視線を外したら、襲い掛かってくる。
直観でそう思った。
ウサギの周りを何回も回ってからパクリと飲み込んだ。
しめしめ食ったぞ。
ウサギの胴体にはご飯を潰して作った糊で、チョコレートとキシリトール飴を貼り付けておいた。
もちろんこれらは魔力通販で買った。
次々にウサギを平らげて最後には痙攣し始めるフェンリル。
「死にさらせ」
俺はメイスで頭を連打した。
ふぅ、死んだか。
フェンリルにチョコレートとキシリトールは効くんだな。
その時がさりと音がした。
見るとさっきのとは別のフェンリルが唸っていた。
やばい。
「アニータ、絶対に動くなよ」
俺はフェンリルと睨み合った。
大口を開けてフェンリルは氷のブレスを吐いた。
冷てぇな。
魔力壁である程度の冷気は遮断しているとはいえじわじわと冷気がしみ込んで来る。
こりゃ長くは持たないな。
ダウンジャケットとダウンパンツを出して急いで羽織る。
そして、ブレスの横から回り込もうとしたが、追尾された。
俺をロックオンしてやがる。
しょうがない。
ブレスに突っ込んでいって、口を抱えて閉じさせた。
暴れるフェンリル。
そんなに口を開けたきゃこれでも食っとけ。
チョコレートとキシリトール飴をこれでもかと口に突っ込んだ。
「属性魔導、念動」
そして、念動を使い、飲み込ませる。
よし、飲んだぞ。
後は待つだけだ。
フェンリルは再びブレスを吐き始めた。
使い捨てカイロを大量に懐に入れる。
全然、暖かくない。
我慢だ。
スキー用の手袋もしておこう。
ついでに目出し帽と毛糸の帽子も。
1分が何時間にも感じられる。
「属性魔導、暑くなって」
アニータが俺に暖気を運んでくれた。
よし、俺も。
壁を作りたいところだが、壁を作ると肉弾戦に移行しそうだ。
「属性魔導、空気よ壁になれ」
おれは空気の壁を作った。
これならフェンリルもブレスを吐き続けるだろう。
いったい、今の温度は何度だ。
温度計を出すとメモリは零下20度を差していた。
壁で遮ってアニータに暖気を送ってもらって20度かよ。
こんなの1分も耐えられないぞ。
なんか、眠いな。
眠ったら死ぬ。
そう思った。
気が付いたらフェンリルは痙攣していた。
今までのお返しだ。
メイスで頭部を乱打した。
ふぃー、暑い。
慌ててダウンジャケットを脱ぐ。
「寒かったね」
「アニータまで冷気が届いたか」
「歯が鳴らないように我慢したの」
「暖気のフォローは助かったよ」
フェンリルは強敵だった。
二度とやりたくない。
11
お気に入りに追加
1,103
あなたにおすすめの小説
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。
烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。
その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。
「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。
あなたの思うように過ごしていいのよ」
真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。
その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる