レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太

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第4章 チタン属性でざまぁ編

第173話 おっさん、金属魔導士会に行く

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 金属魔導士会の支部はカウンターと依頼掲示板と併設された酒場。
 まるでギルドみたいな作りになっていた。
 そう言えばこの世界はギルドを見ないな。
 依頼は魔導士会で受けるという事なんだろうな。

 今までダンジョンの情報はジャスミンから得ていたが、こういう場所に情報が集まっていたのだな。

「金属魔導士会に部外者がいるぜ。おまけに子供連れだ。誰だよ、連れて来たのは」
「私が連れて来た」
「ウェンお前、こいつらの身元を保証するのか」
「ああ、保証する」
「ちっ、鉄魔導士が幅を利かせやがって」

 金属魔導士同士でも仲が良いとは限らないんだな。

「こっちだ」

 案内されて奥の部屋に入る。

「ウェン、また変わった奴を拾って来たな。こいつは大した奴だ。まとっている空気が尋常じゃない。おそらく殺したのは100人じゃきかない」

 執務室らしき所で皮張りの椅子に腰かけている男が言った。
 偉ぶった男ではないな。
 好感も持てないが、やり手ではあるようだ。

「初めまして、ムニだ」
「アニータだよ」
「俺は金属魔導士会支部の会長をやっているルークだ」

「実はダンジョンでドジを踏んだんだ。それでムニさんに助けられて、連れて来たという訳なんだ」
「なるほど。恩があるなら仕方ないな。何か俺達にやらせたい事があるんだろ。言ってみな」

「俺は宝石魔導士会のオーナーだ。今、ダイヤモンド魔導士と揉めている。同盟がしたい」
「そりゃ上手くない手だな。利点がない。それに、金属がダイヤモンドに勝っているのは人数だけだ。どう頑張っても戦いになんぞならねえ」
「今のところ別に力を貸してくれなくて良い。ただ、同盟したい」
「そんな名前だけの同盟にどんな価値があるんだ。それでもおいそれと名前は貸せん」

「価値ねぇ。例えばだよ。気体魔導士の数が10倍になったら、バランスが崩れるだろ。その時に抑えがいるんだよ」
「ほほう、新しい属性だと言って詐欺を働いている奴がいるって聞いたが。本当に、新しい属性だったんだな」
「何でそう思った」

「あんたほどの男が詐欺を働く事はないだろ。殺伐としているが悪人の気配がない。しいて言えば、犯罪者を取り締まる熟練の兵士の雰囲気に近い。これでも人を見る目があるんだ」
「そうか。で、同盟の話はどうだ」

「有り得ないと思うが、秘術を盗もうって訳じゃないよな」
「鋼鉄だったっけ。炭を使って色々と鉄に細工するんだよな」
「なんで知ってる」

「本に書いてあった」
「そうか、本に書いてあったんなら、あんたを殺しても仕方ないな。読んだ人を全員殺す訳にも行かないしな」

 俺は百科事典を開いて鋼鉄を作り出す手法の図を見せてやった。
 いくつかの手法は心当たりがあるらしく。
 図を見て青くなっていた。

 ちなみに鋼鉄を触媒に使った鉄魔導士の実力は。
 硬度7.5だから、威力度数74ってところだろう。
 宝石魔導士に少し勝っている。
 この実力が金属魔導士会を支えているのだな。

「秘術まで知られちゃ仕方ない。同盟してやる」
「何にも利がないと同盟は続かないから、情報を共有しよう。鉄鉱石から鉄とか色々な金属を抽出するよな。そのカスもまだ金属を含んでる。手土産代わりの情報だ」

「カスはな。不味いんだ。毒性が強い」
「ああ、近場の鉄鉱石はヒ素を含むのか。そりゃ不味いな。公害まったなしだ。下流が全て汚染されるぞ」
「それは大丈夫だ。土魔導士が土に混ぜて触媒として使ってる」

 珪素が一定量、含まれていれば土魔導士が触媒として使える。
 そうすると関係ないものも一緒に消えるから、危険な物を触媒として使って消してしまえる。
 かなりエコだな。

「そうか、そういう手もあったな」

 色々な金属元素についての情報を伝え始める。
 イメージが明確にできれば抽出は容易い。
 放射性物質なんかは教えられないが、支障のない範囲で教えてやった。
 百科事典に猛毒と書いてあるのも省いた。

「カスにまだ金属が含まれているのが知れて、これで新しい属性の金属魔導士が生まれるな」
「何で新しい属性が生まれないか不思議に思ってたんだ。カスを消していたとはな」
「昔からのしきたりでな」

 まあ、鉱毒汚染を考えたら、やむを得ないしきたりだな。

「ちなみに金属魔導士会に所属している金属はなんだ」
「鉄、白金、ニッケル、銅、銀、金、亜鉛、すず、鉛だな」
「とにかく、マグネシウム、アルミ、チタン、マンガン、クロム、コバルト、タングステンが狙い目だ」

「分かった探してみる」
「アルミとチタンは宝石魔導士の触媒だから、採れたら売ってくれ」
「結局、同盟は商売の話に収まったな」

 今のところはな。
 革命が起きた時に色々と利用できそうだ。
 とにかく伝手は出来た。
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