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第4章 チタン属性でざまぁ編

第170話 おっさん、暗殺依頼を阻止する

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 実力の把握のためにデータを比較してみた。

 チタンが含まれているチタニアダイヤは硬度6。
 一つのチタン原子と二つの酸素原子から構成される。
 俺が独自に算出したチタニアダイヤの威力度数は48ぐらいか。

 ちなみにチタン板だと威力度数は40ぐらいだ。
 鉄の威力度数はきっと45だな。

 ベリリウムが含まれているアクアマリンは硬度7.5。
 三つのベリリウム原子、二つのアルミ原子、六つの珪素原子、十八の酸素原子から構成される。
 ベリリウムの含まれる割合は低い。
 触媒として使った場合、威力度数は47ぐらいか。

 他にベリリウムを含む宝石はクリソベリルなどがある。
 一つのベリリウム原子、二つのアルミ原子、四つの酸素原子から構成される。
 クリソベリルの威力度数は57ぐらいだな。

 ジルコニウムが含まれているジルコニアは硬度8。
 一つのジルコニウム原子と二つの酸素原子から構成される。
 宝石魔導士としては強いほう。
 威力度数は64ぐらいかな。

 土魔導士が使う触媒の水晶は硬度7で、一つの珪素原子と二つの酸素原子から構成される。
 推定の威力度数は56だ。

 サファイヤとルビーは硬度9。
 二つのアルミ原子と三つの酸素原子から構成される。
 色が付いているのは微量な他の原子がふくまれているからだ。
 かなり強い触媒だ。
 威力度数は72ぐらいだと思う。
 アルミの板だと威力度数が29だな。

 酸素属性がサファイヤとルビーを使った場合の威力度数は82ぐらいだと思う。
 確かめてみた訳ではないが、大体そんな物だろう。

 ダイヤモンドは硬度10。
 言わずと知れた炭素だけで構成される。
 純度、硬さとも申し分がない。
 威力度数は100だと思う。
 炭の威力度数は10ぐらいで、石炭の威力度数は18ぐらいだと思われる。

 ちなみにヘリウムの威力度数は4ぐらいか。

 うん、属性魔導の勝負では勝ち目がない。
 しかし、俺には魔力通販と現代知識がある。
 勝てるはずだ。

 スラムの試験もだいぶ触媒が増えた。
 固体はチタンにジルコニウムとリチウム。
 気体はヘリウム、ネオン、アルゴンとクリプトン。
 もっと増やさないと。

 試験待ちの人が話しているのに耳を傾ける。

「俺、この試験が楽しみなんだ。1級市民になれると思うとわくわくする」
「なんだ夢を信じているのか」
「信じて悪いか。もう既に何人もの人が合格したんだぞ」

 全ての人に属性があるっていうのが信じ始められている。
 この調子で事が進んで、みんなの意識が変わってくれればいい。

 フリルの付いた衣装を着飾った男二人がやってくるのが見えた。

「けっ、ドブネズミが群れやがって」
「兄貴、ここで魔導をぶっぱなしちゃあ、不味いですか」
「何をやっているか確かめてからだ」

 こいつら、どこの手の者だ。

「おい、ここはお前らにはようのない所だ」

 俺は試験会場の手前で呼び止めた。

「詐欺師を養成してるってタレコミが来た」
「勘違いだ。ここは魔導士の判別試験が間違っているから、それを正すための場所だ」
「それが詐欺だって言うんだ」

「決闘をしたいって言うんだな。よかろう受けてやる」
「兄貴、こいつ、やりそうですぜ」
「へっ、どうせ粋がった塩魔導士あたりだろ。俺達は骨魔導士恐れる事はねぇ」
「それなら、二人がかりでやれば負けませんぜ」

「いっぺんに掛かって来い」
「やるぞ、合わせろ。属性魔導アトリビュートマジック、火の玉よ飛べ」
属性魔導アトリビュートマジック、火の玉よ飛べ」

 1メートルぐらいの火の玉が二つ俺に向かって飛んでくる。
 俺は両手で火球を叩き落とした。
 魔力壁があるから熱くない。

「何だ。何の力だ」
「兄貴、不味いですぜ」
属性魔導アトリビュートマジック、風の刃よ切り刻め」

 俺はとっておきのチタニアダイヤを使って魔導を放った。

属性魔導アトリビュートマジック、土壁よ守れ。ぐはぁ」
「うぎゃあ」

 俺が放った風の刃は土の壁を切り裂き貫通して、男達はあっけなく死んだ。
 こいつらどこの手の者かな。
 懐を探るとこの場所が書かれた書類が出て来た。
 なになに、『暗殺依頼。スラムの詐欺師共の集団をせん滅しろ』とある。
 依頼主はダイヤモンド魔導士会。
 全面戦争にはちと早い。

 適当な事を言って誤魔化しておくか。

「喧嘩を売られてむかついたから、決闘を吹っかけてやった。きっとスラムの連中が集まっているから、カツアゲでもしようとしたんだろう。やだやだ」
「ふてえ野郎だな」
「身ぐるみ剥いで放り出しとけ」
「でもよ、魔導士だろ。復讐に来ないかな」

「試験は中止だ。試験は今後、一回しか、やらない。やるまで期待して待っててくれ。炊き出しは今後も行う。安心してほしい」

 試験が中止になり人々は散っていった。
 最後の一回は目一杯、触媒を集めて、大量に1級市民を生み出す。
 そして、革命だ。

 ただ、試験は地下で細々とやって行こうと思う。
 そうすれば、仲間を増やせられるからな。
 今は雌伏の時だと思う。
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