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第4章 チタン属性でざまぁ編

第164話 おっさん、劣化宝石魔導士を仲間にする

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 知識伝授の次の元素はベリリウムだ。
 元素番号4番で、卑金属だ。
 魔力通販で簡単に触媒が買えればいいのだが。

 百科事典で調べた所、緑柱石に含まれるらしい。
 むっ、何か既視感が。
 魔力通販で買えるな。
 こんなの買った事があったっけ。
 ああ、そうだ。
 水槽に入れたんだ。
 色合い的にも緑で爽やかな色で、安いもんな。
 一袋1000円だ。
 魔力通販で買えば1000魔力になる。

「今回のお題ベリリウムだ。アクアマリンやエメラルドなど色々な宝石に含まれる」
「宝石好きー」
「宝石は買ってあげられないが、緑柱石というのならいくらでも買ってやるぞ。これにもベリリウムが含まれる」

「あの、劣化宝石魔導士はベリリウム属性だったのね」
「劣化宝石魔導士なんて呼ばれているのか」
「ええ、サファイヤとルビーが触媒として使えないから。ちなみにアクアマリンやエメラルドは私も触媒として使えるわ」
「アルミはアクアマリンやエメラルドにも含まれているからな」

「劣化宝石魔導士は何であんなに弱いのかしら」
「アクアマリンやエメラルドに含まれるベリリウムの量が少ないんだ。サファイヤなんかはアルミと酸素だけだけど。緑柱石なんかベリリウムとアルミと珪素と酸素だ。これだけ他の物質が含まれていると弱いだろう」
「純度の高いのは作れないのかしら」
「毒性がある物質だからな。塩化ベリリウムは猛毒らしいぞ。酸化ベリリウムは過熱したりすると毒ガスが出るらしい」
「ベリリウムで塩を作ると猛毒になるのね」

「話は変わるが、緑柱石が触媒としていくらでも用意できる。その劣化宝石魔導士を取り込めないか」
「ええ、知り合いに一人いるわ。今から声を掛けてみましょう」

 ジャスミンがベルを鳴らすと使用人がやってきた。

「御用ですか」
「今手紙をしたためるから、リオンに届けて」
「はい、分かりました」

「下宿暮らしなのに使用人がいるんだな」
「ええ、触媒のお金が必要なくなったから雇ったのよ」
「宝石を買うお金があれば、使用人の一人や二人容易いか」

「あなた達は何時までスラムで暮らすの」
「スラムじゃないとなんとなく落ち着かない」
「分かっているわ。1級市民が暮らす区画に住みたくないのよね。私みたいに2級市民の区画に住む事もできるわ」
「なんとなく嫌なんだ」
「まあいいわ。書けたわ。届けて」
「かしこまりました」

 使用人が手紙を持って出て行った。

「アニータはどうなの」
「スラムは落ち着くよ。みんな良い人だし」
「そう、ならいいわ」

「アルミやベリリウムが含まれる宝石は多い。探せば良い触媒が見つかるかもな」
「どれも宝石は高いのよね。それにサファイヤとルビーはアルミ属性の最高火力だから。純度ならイチエンダマが一番よ」
「そう考えるとベリリウム属性は不遇だな。含まれている宝石の種類は多いけど純度が低い」

 雑談をしているうちに、使用人が男を連れてきた。
 1級市民とは思えない貧相な身なりで、偉ぶった所のない男だ。

「急に呼び出して、悪いわね。こちらの人物を紹介したかったの。ムニとアニータ、1級市民よ」
「はじめましてムニです」
「アニータだよ」
「リオンです」

「実はね。触媒を用意するから、宝石魔導士会に入らないかという提案なんだけど」
「それはありがたいです。宝石はどれも高い。1級市民が宝石の採掘をもっとやってくれたらいいのに。今の体制にはうんざりだ」

 何やら政治に不満がありそうだ。
 いっちょ焚きつけてみるか。

「知ってるか。スキルオーブを作る為にスラムの人間が生贄にされている。許しがたい事だと思わないか」
「それが本当なら、許せないですよ」
「宝石魔導士会はそういう不正を正す為に作った」

「入ります。是非参加させて下さい」
「よし、お近づきの印に緑柱石を進呈しよう」

 教材の為に持ってきた緑柱石を渡した。

属性魔導アトリビュートマジック、火よ灯れ。火力の弱い触媒ですね」
「まあな。でも、使い放題だ」
「有難く頂いておきます」

 こいつを利用して何か事を起こせないだろうか。
 何もテロを起こせとは言わない。
 意識改革をしてほしいだけだ。
 とりあえず。

「俺は人間にはみんな属性があると思っている。今の差別はあってはならない事に思える」
「ほう、それは興味深いですね」
「俺の属性はチタンでアニータはジルコニウムだ。聞いた事がないだろう。俺の故郷の知識だ」
「進んだ国もあるのですね。ちなみに政治体制はどうなってます」
「国政を司る人は人気投票で全国民が選ぶんだ。身分の差などなくな」
「それは素晴らしい」
「その選んだ議員が多数決で法や施策を決める」
「それは進んでますね」

 乗ってきたな。
 よしこいつを仲間に引き入れて色々と画策しよう。
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