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第4章 チタン属性でざまぁ編

第160話 おっさん、知識を伝える

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「なぁ、俺が違う世界の人間だと言ったら信じるか?」
「まさかぁ」
「ムニはムニだよ」

 ジャスミンとアニータの二人とも信じていないようだ。

「証拠もあるプラスチックなんて見たことがないだろう」
「でも、ガラスも透明だし、属性魔導を使えばできそうだわ」
「ムニの言う事は信じる」

「じゃ、電卓はどうだ」
「魔道具の一種なんじゃないの」
「違うんだな。電気の力で動いている」
「証明は出来るの?」

「うーん、そこは信じてもらう他はない」

 魔道具も便利だから、その一種と言われてしまうと説得力がない。
 実際、魔力スマホは出来た訳だし。
 魔卓も作れるはずだ。
 そうだ。

「これはどうだ。ヘリウムの風船。こんな物はないだろう」
「それは見た事ないけど」
「無いと言ったのにここにある。はい、嘘だよね。嘘つきはいけないんだぁ」
「アニータ賢い。実際にあるのよね」
「駄目か。だから言うの嫌だったんだ。よし、自称でもいいから俺は異世界人」

「それで何? 何か話があるんでしょ」
「おう、俺の知識を伝えたい」
「知識は歓迎だわ」
「アニータ、難しい話は嫌だな」

「俺も詳しくないから適当に話す。まず属性は元素だ。それで一番目は水素だ」
「水の素って事は水魔導士の事ね」
「そうだ。水は水素と酸素から出来ている」
「という事は万物魔導士は酸素なのね」

「そうだ。それは後で説明するとして、水素は軽くて燃えやすい」
「でも水は燃えないよ」
「アニータの言う通り水は燃えない。というより燃えた後に出来る物質なんだ。もう燃え尽きたから燃えない」
「ふーん、じゃ石は。石はなぜ燃えないの」
「珪素が酸化。つまり燃えた後なんだ」

「なるほどね。この知識は真理って訳ね」
「色々とあるらしいがな。俺も詳しくない。水も爆発するって知ってたか」
「えっ、燃えないのに爆発するの」
「そうなんだよな。難しいよな」

「あんたの知識が異世界人並みだって事が良く分かったわ」
「水素は大気にも少し含まれている」
「抽出すれば水魔導士を強化できるのね」
「そうだな水は水素と酸素から出来ているから、水素の純度が低い」
「水魔導士は不遇だから、取り込めるわよ」
「いや、危なすぎる。風船に水素を詰めるとするだろ。それを火に近づけたら爆発だ。そんな危ない物を水魔導士が持ち歩く姿を想像したくない」
「知識ってのは危険なのね」
「ああ。だから信用できる人間にしか教えたくない。ほれ、ダンジョンコアだ」
「えっ、これ良いの」
「あげる訳じゃない。金に換えて、宝石魔導士会の運営資金にするんだ」
「ちぇ、期待したのに」

 俺の第一回目の知識伝授が終わった。
 さてと、今日は1級市民の義務とやらで、強制の討伐依頼だ

 兵士と待ち合わせをする。
 門の所で待っていたら、10人ほどの兵士が現れた。

「よし、行こう」

 今回の依頼は田園地帯に出没するオークを退治する事らしい。
 徒歩で現場に移動する。

 ここか。
 畑が何者かに食い荒らされた跡がある。

「おびき寄せる為の果物を持ってきました。今、撒きます」

 待つ事一時間あまり。
 オークが3頭現れた。

属性魔導アトリビュートマジック、土よ、縛めとなれ。アニータ、今だ」
属性魔導アトリビュートマジック、風の刃よ、切り刻め」

 楽なものだ。
 一瞬で終わった。

「では解体に掛かります」
「おう、よろしく」

 兵士が2メートルを超えるでっぷり太ったオークを解体する。
 解体しない兵士は近隣の村に荷車を借りに行った。

「いやー、出来る魔導士との仕事はいいですな」
「このくらい、みんな出来るだろ」
「それがですね。触媒をけちる人が多くて。機動力を兵士に奪わせてから、止めを刺す魔導士が多いのですよ」
「金属魔導士はそんな事ないだろ」
「そうですね。鉄魔導士とかだと問題ないです。貴金属魔導士のけちけちしている事と言ったら。ところで魔導士様はどの属性なのですか?」
「俺はチタン属性だ。アニータはジルコニウム」
「聞いた事がないですね」
「ちまたでは詐欺だと言われている」
「詐欺でもなんでも実力さえあれば、兵士は大助かりですよ」

「解体が終わりました。特別に一番美味い肉を焼いて食べましょう」
「おっ、いいね」
「美味しいお肉、好き」

 バーベキューをして、討伐依頼は終わった。
 触媒にはみんな苦労しているんだな。
 俺が供給してやっても良いが。
 知識を伝えて現代並みに物を作るようになってほしい。
 危なくない触媒に限るが。
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