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第3章 分解スキルでざまぁ編

第145話 おっさん、魔力スマホを売り出す

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 仇討ちが終わり、俺は地球に転移して、しばらくゆっくり過ごす事にした。

「そうだバカンスに行こう」

 家でくつろいでいると急に思い立った。

「なんや、急に」
「旅行に行くのね」
「旅行歓迎」

 南の島へ飛行機で俺は飛んだ。
 現地で嫁召喚をして三人を呼び出す。

「うわ、青い海」
「海の中はモンスターがいるから気をつけてな」
「分かってるわよ」

 俺達は釣りをしたり、バーベキューをしたり楽しんだ。
 社員がロングバカンス中の俺の所に電話を掛けて来た。

「もしもし、社長。遂にやりました。初期のノイマン型ぐらいの魔力回路が組めました」
「ついにやったか。よし、すぐに戻る」

「えー、南の島でバカンス。もっと送りたかったなあ」
「エリナ、休んでばかりいると太るぞ」
「いいもん、脂肪をパワーに変えるポーションがあるから」
「とにかくバカンスは終わりだ」

 俺は会社に出社した。

「集積回路にするのに後どれだけ時間が掛かる?」
「一か月もあれば問題ありません」
「よし、まずは魔力スマホを開発するぞ。充電の要らないスマホはきっと受けるに違いない」
「それにはプログラミング言語の開発も必要になります」
「既存の言語が載るように工夫するんだ」
「それなら、OSを移植できますね」
「そうだろ。ある物は使わないと」

 ディスプレイとタッチパネルを開発しないとな。
 光を出す魔力回路は既にある。
 後はこれを小型化すれば良い。
 タッチパネルは魔力の有無で触ったかどうか分かる。

 魔力ヘッドホンとか魔力カメラとか開発しなきゃならない物は多い。
 最初の魔力スマホはカメラは無くていいだろう。

 そして、三か月後。
 魔力スマホが完成した。
 プログラムやらOSやらは既存の物を使ったから、開発は早かった。
 魔力スマホの利点は水に濡れても大丈夫というところだ。
 トイレに落としても問題ない。

 魔力で動いているため充電作業は要らない。
 手に持っているだけで、魔力が充填される。

「魔力ノートパソコンも開発しましょう」
「おー、じゃんじゃんやってくれ。開発費ならいくらでも出す」

 魔力スマホは電池切れを起こさないスマホとして爆発的に売れた。
 バージョンアップもされカメラ機能やその他の機能もスマホと変わりない。
 魔石の需要は高まり、魔石の価格は上昇の一途を辿った。

 そろそろ、魔石燃料推進機構が動き出すかなと思ったら、なんと格安スマホを売りに出した。
 価格競争しようって言うのか。
 中々に美味い手だ。
 魔力スマホが売れなくなれば魔石の価格は元に戻る。

「うーん、困ったな。技術革新で魔力スマホはもっと安くできるだろうが、いたちごっこになりそうだ。それに魔石の値段が上がれば上がるほど魔力スマホの値段も上がる」
「価格競争に負けそうですね」
「ここは高級路線だな。今までのスマホには出来ない機能をつける」
「どんなです」
「今までうちの社で売り出した魔力回路を全て入れるんだ」
「傘の機能やら、水を生み出すのやら、カイロの機能などなどですね」
「これなら価格で負けても、競争に勝てる」
「是非やりましょう」

 魔力スマホの売り上げは伸びて、魔石は益々高騰していった。

 ある日、家に火炎瓶が投げ込まれた。
 おー、手段を問わない手に出たな。

 火炎瓶が投げ込まれた時にチラッと兄貴の顔が見えた気がした。
 まさかな。

 しかし、敵ながら考えたな。
 魔力壁は窒息攻撃には弱い。
 直接の火には強いが肺に吸い込むと弱い。
 だが、この状況はまだ余裕だ。

 嫁達を送還して脱出にかかる。

 扉が固定されていた。
 それだけでなく窓には鉄板が打ち付けられている。
 蒸し焼きにしようって腹か。

分解ディサセムブル

 鉄板を分解して窓から外に出る。
 ベンケイがけたたましく吠えていた。

「よしよし、怖くないぞ」

 消防はなぜか到着しない。
 警察もだ。

 どうしようかなと考えていたら、警察が到着した。

「山田無二、放火の現行犯で逮捕する」

 あー、そういう筋書きか。
 二段構えな訳ね。

 俺は何度目かの逮捕をされた。
 そんなに心配はしてない。
 こういう時の為に今まで人脈を作ってきたのだから。

「弁護士を呼んでもらおう。弁護士が来なければ何にも喋らん」

 とりあえずこれで良いだろう。
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