上 下
132 / 248
第3章 分解スキルでざまぁ編

第132話 おっさん、プロジェクトを立ち上げる

しおりを挟む
 俺はライニーアを離れた所で地球に戻った。

「なんや、けったいな顔しとるな」

 そうアルマに言われた。

「一つ区切りがついた。後二つだ。魔力通販メールオーダー

 おっ、ベティナのガラクタがリストにある。
 まずは魔力駆動の心臓部を買って。

 俺は会社に出社した。

「あれっ、社長さっき帰られたのでは」
「用事が出来た。この商品を解析して模造品を作りたいのと利用法を探りたい」

 俺は魔力駆動の心臓部を出した。

「ちょっと失礼します。壊しても構わないですかね」
「ああ、スペアは沢山ある」

「これは、魔力回路の集積回路ですか。これを解析して作るとなると大学に協力を依頼するか。どこかの企業と組んだ方がよろしいのでは」
「効率の良い方で進めてくれ」

 俺はそれから会社に泊まり込み業務をした。
 しばらくして集められたのは言語、電気回路、プログラム、レーザー加工の専門家だった。

「最初に言っておく、集められたサンプルは発掘品だと思ってほしい。詮索には答えられない」
「ほう、オーパーツという訳ですね。言語学者としては未知の言語は腕がなります」

「俺の専門は回路だけど、魔力回路も共通する部分があるな」
「それはどのような」

 と俺は尋ねた。

「色々な塗料で魔力回路は書かれているが、一つ塗料が一つの部品で外周の円はアースみたいな感じになっているな」
「ほう、なるほど」
「電気回路は電波を出したり熱を発したり色々とエネルギーに変換している。魔力回路はこの出力が未知だ。これさえ解き明かせば理解は早いと思う」

「プログラム担当です。この魔力駆動の心臓部はワンボードマイコンだと思うんですよね。当然プログラムも乗っている。これは目に見えないけど吸い出しが可能です。ひと昔はゲームの吸い出しなんかが流行ったものです。とうぜんこの部分は電気回路担当さんに頑張ってもらわないと」

「レーザーでこの小さい回路が刻めるかは分からない。集積回路みたいに印刷した方が早いんじゃないか」
「次回はその担当も呼ぶよ」

「魔力回路だけど、御社の製品はアナログICだな。それを組み合わせて回路を形成している」
「アナログICってのは電気回路がパックになっているって事でいいのか」
「ああ、そうだな。それの資料をありったけ欲しい」
「未知の言語で書かれているがいいか」

 書物はアルリーのしかないからな。
 後は俺が覚えた知識だけだ。

「そこは言語学者先生の出番だろう」
「はい、頑張って翻訳します」

「この魔力集積回路の解析は早いと思う。デジタル回路のもっともの基礎はダイオードとトランジスタだ。これは一方通行とスイッチの役割だ。後はこれに抵抗やらコンデンサーがくっつく。まあ他にも部品はあるが説明しても分からないだろう」
「いくらかは分かるが、専門の知識は説明する必要はない」
「とにかくダイオードとトランジスタの役割を担っている箇所が分かれば早い」
「まずはそれを目指すか」

 魔力集積回路の解析事業が始まった。
 地球の科学力を舐めるなよ。
 魔力駆動の心臓部なんてすぐに真似してやる。
 魔石の新たな利用方法が広まれば、魔石燃料推進機構の嫌がらせになるだろう。
 俺への攻撃は激しくなるだろうが、それがなんだ。
 跳ね返してやるよ。

 家に車で移動、犬小屋からベンケイが出て来たので撫でてから家に入る。

「少し根を詰めすぎとちゃう」
「今日からゆっくりするよ」
「うち、少し心配や」
「なんとなく落ち着いたと思う。気は晴れないが、少し後悔の念が薄れた」
「せやったら、ええけど」

 なんだかな。
 嫁に心配を掛けてばかりだ。
 うさ晴らしをしたい気分になった。

 ダンジョンに行き、俺は俺の攻略成功に100万円賭けて、プロ用の階層へいく。
 モンスターをメイスで叩きのめしながら、最下層を目指す。
 ラスボスまではあっけなく終わった。
 ラスボスは象ほどのネコ科のモンスターだった。
 メイスで叩くが効いたふうがない。

 ラスボスが火炎を吐く。
 俺はミスリルの盾を出して防いだ。
 何の攻撃ならこのボスに効くかな。

 しょうがない。

嫁召喚ワイフサモン、アルマ、エリナ、モニカ」
「装備なしやなんて」
「そうよ、ちょっと急すぎ」
「準備不足」

「悪かった。どうも俺はお前達が居ないと駄目らしい」

 その言葉を聞いて嫁達の機嫌が少し直る。
 俺は会話の最中もせっせとバッテリーを出した。

「やってくれ」
「暗黒の神よ。怨讐の雷を放て。弩砲バリスタ

 モニカが魔法を使い電撃をラスボスに叩き込んだ。
 爆発するラスボス。

「一億円ぐらい賭けで儲けたから、何でも言ってくれ」
「ぬいぐるみが良い」

 エリナがそう言った。

「よし、高級なのを百個ぐらい取り寄せよう。ああ、ロボット内臓の高いぬいぐるみもあったな」

 嫁達の機嫌も完全に直ったらしい。
 本当に俺は駄目な男だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

いつもの電車を降りたら異世界でした 身ぐるみはがされたので【異世界商店】で何とか生きていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
電車をおりたら普通はホームでしょ、だけど僕はいつもの電車を降りたら異世界に来ていました 第一村人は僕に不親切で持っているものを全部奪われちゃった 服も全部奪われて路地で暮らすしかなくなってしまったけど、親切な人もいて何とか生きていけるようです レベルのある世界で優遇されたスキルがあることに気づいた僕は何とか生きていきます

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...