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第3章 分解スキルでざまぁ編

第123話 おっさん、叱られる

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 遊んでいる子供達に手招きをした。

「なになに」
「これをあげよう」

 スーパーボールを地面に叩きつけた。
 食い入るようにスーパーボールを見つめる子供達。

「駄目よ。知らない人に物をもらっちゃ。人さらいかもしれないでしょ」

 年長の女の子がそう言った。

「おじさん、こう見えて強いんだ。それで賞金稼ぎをしている。ある賞金首がここに来たとの知らせがあったんだが。これだけ人がいると見つからなくて困る。それで、君たちに手伝ってもらおうと考えた訳だ」
「駄目よ。信用しちゃ。物で釣るのは悪い大人なんだから」

 これは困った。
 どうすれば信用してくれるかな。

「ほら、おじさんは冒険者もやってるんだ」

 俺はギルドカードを出した。

「冒険者はごろつきだって聞いたわ」

 逆効果か。

「じゃあ、信用できる大人の所に連れて行ってくれ」
「いいわよ。隣組組長の所に連れていってあげる」

 俺は子供達と一緒に隣組組長の家を訪ねた。

「組長、怪しいおじさんを連れて来た」

 怪しいか怪しくないかと言われたら怪しいおじさんだよな。
 異世界転移者だし。
 仇討ちの途中だし。

「ども怪しいおじさんです」
「何だね。どういう御用かな」
「実は賞金稼ぎをやっていまして。ターゲットがこの街に来たようなんで、追いかけて来たんだ。街の人間が多いので、子供達に情報提供を願ったしだいで」
「ばかもん!!」

 あまりの迫力に俺は首を引っ込めた。

「考えが足らんのにも程がある。いいか。賞金首は周りの視線に敏感だ。子供達が注目していたらどうなる」
「不思議に思うとか」
「追手の一味だと思うだろ。そこで子供がばっさりやられたら、どうなさるね」
「すいません。考えが至らなかった」
「分かったのなら、よろしい」

「困ったな。子供達の報酬に玩具を一杯仕入れてしまった」
「ここは一つ。子供達を危険にさらそうとしたお詫びに配らんか。何ただとは言わん。回覧板に賞金首の情報を載せてやろう」
「大人は危険に遭っても構わないのか」
「凶悪犯の情報も回覧板に載せておる。賞金首とて大して変わらんだろう」
「じゃ、頼む。この街には10日滞在予定だ」
「わしの所に情報が来るようにしてやろう。毎日来て子供におもちゃを配りなさい」
「分かったよ。よし、配るよ。近所の子供を集めて来てくれ」

 俺はスーパーボール、メンコ、知恵の輪、ゴム紐、ボール紙とペンのセット、五寸釘、ビー玉を配った。
 ちくしょう、海沿いの街に行くっていうんで、今回は凄いのを用意したのにな。
 放出するか。

「ちゅうもーく。ここに取り出したるタライ。ここに水を張って小さい木の船を浮かべる。ここで終わりじゃない。ここに樟脳をちょこんと乗せるとあら不思議。風もないのに船が進む」
「うわー」
「どうなっているの」
「ほしい」

 まあ、俗に言う樟脳船と言う奴だ。
 今回の目玉だったんだけどな。
 まあいいか。
 喜んでくれているみたいだし。

「材料の木とセルロイドがあるから、興味がある子は作ってみると良い」
「うん、作る。材料をちょうだい」
「カッターの刃は鋭いから気をつけるんだぞ」
「平気だよ。へへん。ナイフの扱いには慣れているよ」

 樟脳船を作る科学教室みたいになってしまった。

「よし、競争しようぜ」
「俺のハヤブサ丸に勝てるかな」
「俺の快速丸の方が速いぜ」

「よし湯舟を出してやろう」

 アイテムボックスから湯舟を出す。
 子供達は水を汲みに井戸に向かって駆け出した。

「お茶をいれたよ。一服したらどうだ」

 組長がお茶を淹れてくれた。

「頂きます」
「あんた、ただの賞金稼ぎじゃないだろう」
「実は賞金稼ぎっていうのは真っ赤な嘘で、本当は仇討ちの旅なんだ」
「そうだと思ったよ。あんたには賞金稼ぎ特有の匂いがしない」
「冒険者をやっていて盗賊は相当数ぶっ殺したけどな」
「修羅になってない。子供の安全を気にかけた。そういう事だ。修羅になったらいけない」
「肝に銘じておくよ」

 今回は説教を食らってしまった。
 ちょっと調子に乗っていたのかもな。
 反省しないと。
 次の街に行ったら子供達を利用する事は辞めておこう。
 次は武器屋だな。
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