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第3章 分解スキルでざまぁ編

第117話 おっさん、仇の一人目を始末する

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 ブライムとの決戦の場をどうしよう。
 そのまえにパティと話し合わないと。

「ダカードのパーティメンバーが見つかった」
「好きにすれば」

 投げやりにそう言われた。
 反応が薄いな。

「金を貸したのはダカード一人か」
「そうよ。だから、パーティメンバーには用はないわ」
「パーティメンバーがダカードの行く先を知っているかも知れなくてもか」
「それはないでしょうね」

 この女は何を知っている。
 まあいい。
 邪魔をしないのであれば言う事はない。

 作戦を立てないと。
 ブライムを一人呼び出すのは難しいな。
 昨日、見た限りじゃ門と宿舎と酒場と風呂屋しか行ってない。
 隙がないな。
 第一希望としてはダンジョンで始末だな。
 第二希望は街の外か。

 こういうのはどうだ。
 ブライムの所に偽の情報屋が訪ねてくる。
 ダカードに売るはずだった情報があると言って。
 遺跡のお宝の情報だと言えば食いついて来ないかな。
 やってみるか。
 偽の情報屋が要るな。

「パティ、偽の情報屋をやってくれないか」
「良いわよ」

 よし、これで作戦は立った。
 呼び出す所は遺跡街の使ってない部屋がいいな。
 お宝はなんにしよう。
 昇降機の管理者パスワードが良いな。
 銅板を魔力通販で仕入れて、適当な記号を刻み込んでと。
 後は空き部屋の操作パネルの中に仕込むだけだ。

 俺は偽のお宝を仕込んだ部屋の隣で待った。
 足音がする。
 トンカチで操作パネルを壊す音がした。
 ビンゴ。
 俺は部屋に入った。

「よう、ブライム。久しぶりだな」
「ちぇ、そういう事かよ」
「お前には聞きたい事がある。親方をやったのはお前らだな」
「俺は嫌だと言ったんだ。ダカードがあんたの隠し財産を持っているのはこの男だからと」
「殺す必要はなかったんじゃないのか」
「家探しするのだから、殺しておかないと不味いって」
「ダカードはどこだ」
「別れてから、知らないんだ」
「そうか、じゃ死ね」

「返り討ちだ。強打ハードヒット

 ブライムが剣を抜いて俺の頭をかち割りに来た。
 俺はメイスを抜いて受け止めた。

「受け止めるのかよ。なら筋力増強フィジカルブースト

 ギリギリと武器がこすれる音を立てる。

「あんた、低レベルじゃなかったのか」
「罠に嵌められるまではな。ふんっ」

 100レベル超えのパワーで剣をはじいて、ブライムの頭を逆にかち割ってやった。
 さあ、とっととこの街を出ないといけない。
 だが、その前に子供の為にダンジョンを攻略しないとな。

 ブライムは何か手がかりを持ってないだろうか。
 持ち物を漁る。
 財布にはわずかな金とウロコが入ったお守り。
 何だろ。
 手がかりには違いないが、意味が分からない。
 宿に帰りパティにお守りを見せた。

「ライニーアのお守りね」
「ブライムがそこの出身だったのかもな。ちなみにライニーアってどんな所なんだ」
「海に面した街ね。塩の産地として有名だわ」

 塩か、そうか塩か。
 塩って事は予想では次はジェリだな。

「次の行先はそこだな」
「聞くけど、パーティメンバーはどうなったの」
「俺が殺した」
「ふーん」
「驚かないのだな」
「執念が尋常じゃなかったから。事情があるのでしょう」
「恩人の仇だ」
「そんな事だと思ったわ」
「お前も借金の取り立てにしては色々とおかしいな」
「そこは言えないわ。貸しがあるのと、取り立てに賭けをしているのは事実」
「そうか」

 俺は子供達を集めて在庫になっていた玩具を全て与えた。

「おじさん、もう行っちゃうの」
「ああ、おじさん商人だから、次の街に行かないと」
「あのね、聞いた話なんだけど、人相書きの男がね。古代文字を読める人を探してたんだって」
「何っ、本当か」
「本当、酒場に勤めているお姉さんの情報」
「助かったよ。玩具はもうないから飴をあげよう」
「やった」

 古代文字は何の関係があるんだろうか。
 たぶん、ダカードはどこかでお宝を入手した。
 それに古代文字が書いてあったのだろう。
 ダカードの行先は大学など研究機関のような気がする。
 ジェリが何か知っているかも知れない。
 よし、情報も入ったし、ダンジョン攻略だ。
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