レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
98 / 248
第2章 異世界帰還でざまぁ編

第98話 おっさん、ひらめく

しおりを挟む
 虎時とらときらは改心したようだった。
 秋穂から刑務所での態度も良くて模範囚になったと言われた。
 あの魔力回路は罪の意識に作用する奴だから、どんな強情な罪人も改心すると禁書に書いてあった。
 まあ殺したくても殺せないやんごとなき人物が犯罪者になった時は重宝しそうだ。
 異世界ではそういう使われ方をしているんだろう。
 想像だがな。

 恐れていた事が始まった。
 それはスタンピード。
 今回のは鋼毛鼠だ。
 小猿鬼がいなくなって、餌が確保できたため大繁殖したらしい。
 だが、大きい個体はいない。
 数が多いだけだ。

 社員総出で鈍器を持って鋼毛鼠を叩きのめすが、一向に減る気配がない。
 埒が明かないな。
 ベンケイも走り回り鋼毛鼠を噛み殺して回るが、たかが知れている。

 ヘリの音がしてバラバラと何かが落ちる。
 それを鋼毛鼠が食べて死んでいく。
 自衛隊のトラックも到着して毒餌を撒き始めた。
 警察車両や消防車からも毒餌が撒かれた。
 終わったようだ。

 今回は軽い被害で済んだな。
 ニュースをつけると海外が酷かった。
 5メートルもあるワニのモンスターが大挙して押し寄せ混乱した街などが映し出される。
 ビルがバリバリとワニに食われる。
 倒壊する建物。
 さながらパニック映画だ。

 日本が軽く済んだのはひょっとして俺の活動のせいか。
 もしそうだったのなら、報われた気がする。

「よし、死骸の後片付けをするぞ」

 俺達は死んだ鋼毛鼠を冒険者ギルドに持って行って魔力に変えた。
 魔力銀行に行くと沢山の人が押し寄せていた。
 その顔は見知った顔だった。
 冒険者ギルドを経営しているオーナー達だ。
 換金するモンスターの死骸なら沢山ある。
 金を道端にばらまいたようなものだ。
 冒険者ギルドが盛況になるのもうなずける。

 そして、俺は魔力銀行の中に入ると魔力を買えるだけ買い、そしてインクの材料に変えた。
 魔力の相場は1円を切っていた。
 物凄く得した気分だ。

 哲候てっこうさんからメールをもらった。
 死骸が多くて困っているので、魔力に変える魔力回路を送ってくれとあった。
 人気取りのパフォーマンスをするらしい。

 今回のスタンピードは猿鬼の数百倍の数がいたらしい。
 よく毒餌の備蓄があったなと思ったら、前回のスタンピードの反省で簡単に殺せる方法を模索したとの事。
 異世界のモンスターは確かに毒に弱い。
 地球のモンスターは毒耐性を身につけているはずだが、効き目のある毒を開発したようだ。
 次回はこんなに簡単にはいかないだろう。
 今回の毒に対する耐性を獲得しているはずだ。

  ◆◆◆

「ふいー」
「なんや、おっさん臭いな」

 俺は異世界に戻り、アルマの前でソファーに身を横たえ弛緩した。

「いや、俺はおっさんだよ」
「つかれたんか」
「今回は楽勝だったけど、世界を運営している存在ってどういう考えなんだろう」
「うちが思うに、バランスちゃうかな」
「バランス?」
「増え過ぎず、減り過ぎずやな」

 でも、進化は望んでいるような気がする。

「そうなのかもな。俺の役割ってなんだろな。切り札か。いや違うな。せいぜい不確定要素か。時間が止まるのも謎だ」
「眉間に皺寄せて、えろう難しい事を考えとんな。物事なんてなるようにしかならんのや」

 なるようにしかならないか。
 まあ、真理ではある。
 俺は俺の出来る事をしよう。

 よし、魔力回路を開発するぞ。
 老若男女問わず虜にする物。
 えーと。
 毎日する事。

「なあ、アルマ。起きたら何をするか言ってみてくれ」
「そうやな。お目覚めの接吻をして、歯磨き洗顔やな。そして化粧や「それだ!!」」
「なんや、大声を出してからに」
「サンキュ。助かったよ。愛してる」
「愛してるやなんて」

 俺が考え付いたのは身だしなみだ。
 一部例外を除いて、誰もがする。
 身だしなみを整える魔力回路。
 洗浄?
 いやいや、それは現代の道具で事足りてる。
 俺が考えついたのは魅了の魔力回路だ。
 これは精神魔法の一種で、異世界では王侯貴族には通用しない。
 精神魔法に対する備えは大物ほど厳重にしている。
 大店の商人にも通用しないだろうな。

 場末の娼婦なんかが使っているらしい。
 異世界では馬鹿にされる技術の一つで、相手に少しだけ魅力的に映るというのがこの魔力回路の特徴だ。
 だが、地球では魅力が少し増すというのは大きな要素ではないだろうか。
 魅力の魔力回路を社運を賭けて売り出す事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

処理中です...