レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
92 / 248
第2章 異世界帰還でざまぁ編

第92話 おっさん、ホームレスを助ける

しおりを挟む
 哲候てっこうさんからメールを貰い、いつものフグ料理店に行く。

「おめでとうございます。哲候てっこう先生」

 俺は和室の部屋で当選の祝いの言葉を述べた。

「あなたには哲候てっこうさんと呼んで貰って構わないですよ。私もあなたの事は山田さんと呼ばせて貰います」

「それで相談とはなんでございますか?」
「敬語も要らないです。頭を下げるのはこちらです。それで、後援会の人の係累に無職の人間が居まして、市役所の中途採用の試験に合格させてやりたいのです。青汁の不思議パワーでなんとかならないかと」

「さすがに試験の成績は改竄出来ないと」
「ええ、まあ言えない事はあるのですが」

 下駄を履かせるのも限界があるという事だな。
 政治家に貸しを作っておくのも悪くない。

「こんな事もあろうかと受験生用の青汁があるよ。今回も実験台だから無料で良い」
収納箱アイテムボックス

 俺はインテリジェンス・ブースト・ポーションを10本取り出した。

「集中力が高くなった気になる青汁だ。ところでモンスターの危機を訴えたい。何か方法はないか」
「新米議員には荷が重いですよ。モンスター討伐関連の法案はいくつか上がっていますが、芳しくないようです」
「何が問題なんだ」
「一つは冒険者にダンジョン以外でも銃の使用を認めるというもので、これは治安の関係から難しい。一般人に銃以外の武装をさせるのも同様です」
「でも、銃以外の武器を携帯している人って多いけど」
「それがなかなか。法律と現状が合わなくなってから、何年もたってから動くのが普通です」
「政治もなかなかに難しいのだろうな」
「ええ、とても忙しいので、今日はこれで。山田さんは食事をゆっくり楽しんでって下さい」

 異世界のポーションは色々と作り出したが、モンスターの発生を抑えるほどじゃない。
 国民全員が毎日飲むようなポーションを作り出せないだろうか。
 こういうのは単純な方がいいのだろうな。
 考えてみたがいい案は浮かばない。
 寿命が延びるポーションがあれば一発だが、ないものねだりしてもな。

 インテリジェンス・ブースト・ポーションは学生には人気がでるだろう。
 サラリーマンにもか。
 頭がよくなりたいと思っている人間は数多くいる。
 こういう小ヒットを続ければいいのだろうな。

 スタンピード後、初めてダンジョンに潜る。
 入口が何やら騒がしい。

「頼むよ。仲間がやられそうなんだよ」

 ホームレスが冒険者に話し掛けている。
 冒険者は無視しているようだ。
 ホームレスには色々と教わったし、この人に恩がある訳じゃないが、助けるか。

「どこだ。案内しろ」

 案内された部屋にはゴミの山と、そのゴミでバリケードを築いて、モンスターを辛うじて退けているホームレスが居た。
 モンスターは狸のでかい奴だった。
 でかいと言っても大型犬ぐらいだが。

「ベンケイやれ」

 ベンケイが狸のモンスターに挑む。
 首筋にかみついて勝負あったかと思われた。
 しかし、狸のモンスターは牙を逃れ、反撃に出た。

「キャイン」

 ベンケイが足をかまれ、悲鳴を上げる。
 俺はメイスで狸のモンスターを打ち据えた。
 一撃で魔石になるモンスター。

「ベンケイ、痛かったろう。ポーションを飲め」

 おかしい、4階層でもやっていけるベンケイが苦戦するなんて。

「モンスターがタフになってやがる」

 そうホームレスが言った。

「そうなのか」
「俺も何度か叩いたが効果がなかった」

 強化されたな。
 余剰魔力が流れ込むスピードが速くなったか。
 ダンジョンコアの部屋に転移して計測してみたいところだ。

 これは、不味いな。
 ダンジョンのモンスターが強くなれば冒険者の討伐数が減る。
 魔石の大きさは強化された分だけ大きくなっているから、冒険者の収入が減る事はないだろう。
 良い点もある。
 ダンジョンのゴミ捨ては減るだろう。

 だが、次にスタンピードが起こるのも遠くないな。

 俺は1階層でモンスターを押さえつけてベンケイに止めを刺させた。
 強化の方向は一種類ではなかったみたいだ。
 スピードが強化されたモンスターや、筋力が強化された個体もいた。
 なるほど最初のはベンケイと相性が悪かっただけか。
 少し安心した。
 俺は最下層まで行ってみた。
 今の所、俺のレベルでは問題なかったが、ラスボスはどうだか分からない。
 ダンジョンの魔力抜き取り装置を追加で仕込むのは命がけになりそうだ。
 こうなったら、手段は魔力の消費の加速しかないな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...