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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第86話 おっさん、妨害される

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 ダンジョンへの転移の魔力回路設置も今回は八度目。
 今回はベンケイも同行する。
 もちろん嫁達も忘れない。

 ラスボスまではサクサクと進んだ。
 ラスボスは馬のモンスターで蹄が炎で覆われていた。
 馬のモンスターが駆けると足跡には炎の壁が出来る。
 馬のモンスターは俺達の周りをぐるぐると回ると段々と円を小さくしてきた。

「エリナ、水魔法」
「はい、ランス

「ありゃ、駄目だな。火が一瞬消えるけど、モンスターがまた来るとやり直しだ」
「こんなの訳ない」
「アルマ、自信があるのか」
「みててや。ロープ

 金属のロープを馬モンスターの足に引っ掛けさせた。
 そうだよな。
 間抜けなモンスターだ。
 進行方向に障害物があったらこけるだろ。
 見事転がった馬モンスターに俺はメイスを叩きこんだ。
 ラスボスは問題なかった。
 問題は帰ってからだった。

「社長大変です。商品を製造を委託している工場で材料の調達が妨害されてます」
「詳しく話せ」
「青汁工場はペットボトル。アクセサリーの所は銀とステンレスの鋼材が止められてます」
「くそう、親父か兄貴の仕業だな。商品の出荷をしばらく止められないか」
「アクセサリーは問題ないと思います。青汁は暴動が起こるんじゃないでしょうか」

 今、魔力通販は異世界の物しか買えない。
 銀は買えるけど、ステンレスは無理だ。
 こっちはまだ良い。
 商品の入荷が遅れていますとするだけで良いんだからな。
 問題は青汁という名のポーションだ。
 毎週欠かさず飲んでいるのにこれがなくなったら、耐えられない人も出てくる。
 暴動は大げさだが、混乱が起こる可能性はある。

 これを素早く解決しない事にはな。
 代替品となるとガラスビンか、紙パックだな。
 どちらも製造ラインを作り直さないと。
 待てよ。
 何日か急場をしのげれば良いんだ。

「素焼きの瓶なら、沢山手に入る。ペットボトルの代わりにどうか」
「社長、そうなると瓶詰めが手作業になります」
「なに、何日かの辛抱だ」
「販売している製薬会社が承知してくれるでしょうか」
「緊急事態だ。確認してみてくれ」
「はい」

 確認が取れた。
 二日間は素焼きの瓶で対応して、その間にペットボトルの入手先を探すそうだ。
 魔力通販で素焼きの瓶を手に入れ、青汁はなんとかなった。

 アクセサリーの方はとりあえず魔力通販で銀を入手しよう。
 俺は魔力銀行に行って銀を仕入れた。
 ステンレスは無理だ。
 異世界産の鋼材で何か良いのがないかな。
 待てよ。
 ミスリルは銀に魔力がしみ込んだ物だったよな。
 金属に高魔力をぶつければ出来そうな気がする。
 俺は異世界に行って、魔力濃度を高める魔法陣を探して、そして見つけた。

 これと魔力を閉じ込める結界を組み合わせれば。
 ミスリル製造の魔力回路が完成した。
 魔導金属生成装置と名付けた。

 だが、これを作動させるには沢山の魔力が必要だ。
 どこにそんな物があるって。
 あるじゃないか。
 ダンジョンコアだ。
 俺は事情を話して、魔導金属生成装置を設置してもらった。
 そこに鉄材を入れる。
 魔鉄の完成だ。

 だが、コストパフォーマンスが割りに合わない。
 一日ダンジョンコアを貸切るのに2千万円掛かった。
 幸いにして鉄を魔鉄に変えるのに時間はさほど要らないので、魔力さえなんとかなれば。

「管理者よ。魔導金属生成装置を接続してあるダンジョンコアに余剰魔力をじゃんじゃん寄越せ。頼むよ」
「ふーん、頭を下げるのね。なら今回は貸しよ。後で返してもらうから」
「助かったよ。それと甥に呪いを掛けてくれないか」
「貸しを100回ぐらいなら、考えるけど」
「そうか、俺がなんとかするよ」

 鉄材がダンジョンに運び込まれて、魔鉄になっていく。
 ついでにミスリルも量産しておいた。
 魔鉄の特徴はさびにくいのと硬いのと不思議な虹色の反射光がある事だ。
 アクセサリーを作るのに丁度いい。

「社長、この鉄材は凄いですね。如何にも高級品みたいです」
「実はこんなのもある」

 俺はミスリルを見せた。

「これは銀ですか。いや、これも不思議な光沢がありますね」
「純金と同じ値段で売ろうと思う」
「良いんじゃないですか。高級品路線」

 今回、材料の仕入れを狙われた。
 幸い、出荷を止めずに一週間過ごしたら、妨害はやんだ。
 管理者には何時までとの期限は言ってないから、これからも魔鉄とミスリルの製造は続ける事になった。
 委託した工場には仕入先を複数持てと提言。
 仕入先の複数化は多少割高になるが、ミスリルの製造で元はとれる。
 ダンジョンの所有者は魔力だけだと1千万にしかならないのが毎日2千万になってほくほく顔だ。
 ミスリルは美味しかったな。
 俺しか今の所作れないから、市場を独占だ。
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