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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第73話 おっさん、ボスマラソンをする

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 現在、三人の嫁達と犬一匹でダンジョン攻略中だ。

「うち、その銃ってのを撃ってみたいな」

 とアルマ。

「駄目だ。ポーターには撃たせられない。そうでなくとも当局に睨まれているのに」
「けち」
「可愛く口を尖らせても駄目だ」

「私はベンケイともっと触れ合いたいな」

 そうエリナが言った。

「散歩する時に召喚してやる」
「やった大好き」

「モニカに要望はないのか」
「髑髏アクセ。要望」
「異世界には持って帰れないが、買ってやろう。銀細工だとそれほど高くないしな。おっとお客さんだ」

「邪神の視線よ鋭き槍となり貫けランス

 モニカの手に持っているガスバーナーから炎の槍が飛び、走って来た剣頭鹿の体を貫いた。
 魔石になる剣頭鹿。

「よくやった。しかし、楽勝だな。実にたわいない」

 低階層をサクサクと進んだ。
 中層に行くと完全に銃は役に立たなくなっていたが、メイスで殴る事で問題なくクリアし、下層に辿りついた。
 下層に行くとさすがに硬い。
 メイスの一撃では葬れなくなっていた。
 加速の魔力回路付きの銃で対処して進んだ。
 問題のラスボスの扉の前に来たがどうしたものか。
 加速銃では駄目だろうな。
 四人と一匹でなんとかなるか。
 それとも切り札を切るか。
 出たとこ勝負しよう。

 俺はボス部屋の扉を開け放った。

 召喚されてくる熊モンスター。
 名前をつけるなら鎧火炎熊だな。
 鱗状の皮膚に口からは火炎の吐息を吐き出している。

 俺は加速銃を撃つも体表で弾かれた。

「みんな魔法を撃ちまくってくれ」
「行くわよ竜巻トルネード

 竜巻が鎧火炎熊を襲う。
 鎧火炎熊がブレスを吐き、竜巻は火炎旋風になってじわじわと押し戻された。

シールド

 アルマの魔法で鉄塊が盾に変形して炎を防ぐ。

「準備は整った。モニカやってくれ」

「暗黒の神よ。怨讐の雷を放て。弩砲バリスタ

 俺がせっせとアイテムボックスから出した電気自動車用バッテリーから電撃が飛んだ。
 轟音を響かせ着弾。
 鎧火炎熊の全身から煙が立ち昇った。

 やったか。

「わんわん」
「何か言いたいのか。ベンケイ」

 次の瞬間、鎧火炎熊が大爆発。
 いかん。
 俺たちは爆発に巻き込まれた。

「けほっ、大丈夫か」
「身代わり人形があらへんかったら、危なかったわ」
「大爆発芸術」
「もう、気をつけてよ。作戦失敗ね」

「可燃物に電撃を食らわせれば爆発するのは当然だよな。次回からどうするかな。まあいいか。身代わり人形があるし」
「着ている服がボロボロになるのは勘弁して。髪も痛んじゃう」

「魔力壁を習得したらどうか」
「それしかないようやわ」
「そうするわ」
「承諾」

 ダンジョンコアから魔力を吸い出しダンジョンを停止させた。
 また、株の大暴落が起きないかな。
 復活するのだろうと様子見するから期待薄だな。

 二周目をしよう。
 管理者よダンジョンを元に戻してくれ。

 俺達は二周目に突入した。
 やはり、ラスボスまでは問題なかった。

「気を引き締めて行くぞ」

 ボスが召喚されてくる。
 今度のボスを名付けるなら、耐電火炎熊だな。
 金属の光沢の毛皮に垂れ下がった何本もの尻尾。
 尻尾がどうやらアースの役割をするらしい。

 また切り札を切るか。

「みんな頼む」

 嫁達が魔法で耐電火炎熊をけん制する。

 俺は軽い糊付きの紙吹雪を取り出した。

「エリナ頼む」
「分かったわ。射撃ショット

 紙吹雪の弾丸が耐電火炎熊に貼り付く。
 この紙吹雪は魔力を吸い取る効果の魔力回路をプリントしてある
 そして吸い取った魔力で冷やす。
 商品開発で冷やすアイデアが出たからその回路を組んでみた。
 風邪の時なんかにおでこに貼る予定だ。

「ぐおっ」

 攻防を繰り返すうちに耐電火炎熊は魔力切れになった。
 ブレスが吐けなくなって戸惑っている。

 チャンスだ。
 俺は窒素ガスのボンベを出した。

「エリナ頼む」
竜巻トルネード

 窒素ガスの竜巻が耐電火炎熊を襲う。
 耐電火炎熊は喉をかきむしると倒れて魔石になる。

 そして、ダンジョンコアから魔力を吸い取った。

 今日はこのくらいのしておこう。
 また切り札の種を仕込んでおかないと。
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