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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第63話 おっさん、銃撃の後始末をする

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 俺は現状を整理する事にした。
 なぜかは分からないが世界を移動しても時間は進まない。
 品物の持ち運びはできない。
 麻薬の運び屋がやるみたいに飲んで運べばオッケーなのかもしれないが、そこまではやりたくない。

 それと、地球に俺が帰ると銃撃戦の終わりに全裸で放り出される。
 うわぁ、帰りたくない。
 どうしたものかな。

 このまま異世界で暮らそうかな。
 いや駄目だ。
 異世界から帰って、暖かい家のメンバーにはさんざん助けられたじゃないか。
 このまま、帰らなかったら、恩知らずになってしまう。

「なんや、難しい顔しとる」
「ちょっと考えてたんだ」
「こんな可愛い奥さんを放っといて酷い」
「悪かった」

 そのまあ、なんだ。新婚なんだ。
 賢者タイムになり、考えてみたけど妙案は浮かばない。
 しゃあないな。
 全裸で行こう。

 三人に地球に旅立つ事を言った。
 もっとも生きていれば旅立った時間に帰ってくるのだけど。

次元移動ディメンションムーブ

 警備員が大挙して押しかけてきた。
 俺の尊厳は守られなかった。

 遅いと文句を言ったらいいのか、服を着る時間をくれと言うべきか迷った。
 そしたら、問答無用で押さえつけられた。

「俺まで押さえつける必要はないじゃないか」
「この変態テロリストめ」
「違うってそれは床で伸びている奴ら」

 抗弁も虚しく俺は二度目の全裸逮捕となった。
 取り調べされ魔石を一度に全部使うには裸になるしかなかったと供述。
 すぐに釈放された。

 ところで、俺の情報はどこで漏れた。
 たぶん製薬会社だな。
 そこから後をつけられたようだ。
 ちくしょう、製薬会社が俺の身元調査をしたのだろう。
 効果のある青汁が送られてきたら、身元調査ぐらいするか。

 これからどうしよう。
 今も後をつけられているはずだ。

  ◆◆◆

 製薬会社に俺は行き、御手洗みてらいさんを呼び出した。

「どうしてくれるんだ。銃で撃たれるはめになったぞ」
「それが何か」
「おたくの会社から俺の情報が漏れたんだよ。責任をとってくれ」
「そう言われましても」

「もう薬草の分析結果は出ているのだろう」
「薬効などはまだですが、新種の植物である事は間違いないですね」
「俺はまだまだ新種の植物を持っているぞ。殺されてもいいのか」
「それは良くないですが、何をしろと」

「金だ。金をくれ。ただとはいわん。新種の植物を一つやるから、1千万寄越せ」
「駄目です。お帰り下さい。警察を呼びますよ」

 そうか。
 この手は使いたくなかった。
 俺は操りの魔法陣が書いた紙を御手洗みてらいさんに貼り付けた。
 これはゴーレムを操るのに使うものだが、人間も操れる。
 ただし意識までは操れない。

「何をした。体の自由が利かない」
「眠ってくれるか」

 異世界産の眠り薬を使用した。

 さて、金庫まで案内して欲しいが、そうもいかないのは分かっている。
 俺は契約書を書き上げた。
 御手洗みてらいさんのポケットから印鑑を出す。
 この前の契約の時にそこから印鑑を出すのは見ていた。
 それを押して、部屋から出て人を呼んだ。

御手洗みてらいさんが、少し体調が悪いそうだ。契約書は書けたから金を持ってきてくれるか」
御手洗みてらいさん、よろしいのですか」

 御手洗みてらいさんを操って目を開けさせ鷹揚に頷かせた。

 社員は不思議がりながら、金を持ってきた。
 俺は薬草一株と交換する。
 やった。

 御手洗みてらいさんを応接室のソファーに横たわらせる。

「疲れているんだろう。研究職も大変だな」
「そうですね。新種の植物の研究にかかりっきりでしたから」
「じゃあ行くよ。御手洗みてらいさんお大事に」

 魔力が買えれば、俺は魔力通販で無敵だ。
 俺は魔力銀行を再び訪れた。
 そこでブーストポーションと身代わり人形を手に入れ一息ついた。
 そして、役に立ちそうな物をしこたま仕入れた。

  ◆◆◆

 ネットカフェでダンジョンのドロップ品の情報を探る。
 現在攻略は6階層ぐらいでどこのダンジョンも行き詰っているらしい。
 オークションをみるとドロップ品も安いのしかない。
 身代わり人形みたいな便利な物は無く。
 ポーション類と鉱石と宝石の原石だけだ。

 スキルオーブも生産系がいくつかで碌な物がない。
 魔力通販が大活躍できそうなのは良いが、俺の最終目標はダンジョン制覇だ。
 6階層で足踏みではこまるのだ。

 なぜなら山田ダンジョンを制覇したい。
 それが復讐になるからだ。
 山田ダンジョンがなくなれば周りの土地の価格は暴落。
 たぶん山田家は破産するだろう。

 今は金策してスキルオーブを魔力通販で手に入れることだ。
 魔法のスキルオーブは金貨100枚。
 魔力に換算すると1千万。
 魔力銀行の値段にすると1億円。
 道のりは長い。
 ダンジョンに行って自分で取ってくるのとどちらが良いのか考え物だ。
 だが、レベル1ではダンジョンに行くのは無理だろう。

 帰りに余った金で赤外線センサーの防犯グッズを買う。
 プロが来たらこんな玩具じゃだめなんだろうな。
 そこで活躍するのが魔道具。
 赤外線感知は対策できても魔力感知は対策できないだろう。
 魔法の法則として触媒のない物は発動できないのは異世界と同じだ。
 火の魔法なら炎が、水の魔法なら水がないと成立しない。

 電気を操る魔法陣も異世界には存在する。
 本来なら触媒はこすった毛皮に蓄えられた静電気だが、ここは地球。
 延長コードと魔法陣を組み合わせれば極悪トラップの完成だ。

 来てみやがれ殺し屋。
 返り討ちにしてやるよ。
 よし、明日から殺し屋を警戒しながら、金策だ。
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