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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第57話 おっさん、甥と再会する

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「叔父さんですよね。探しましたよ」
「おお、虎時とらときか。大きくなったな」

 公園に虎時が突然、訪ねて来た。
 虎時は俺の甥だ。
 甥が小さい時はよく遊んだ記憶がある。
 さわやかイケメンになりやがって。

「勘当されたって聞いて、堪らなくなって探しました」
「ありがとよ」
「ところで、叔父さんアイテムボックスを持っているって興信所の人から聞きました。どうです、ダンジョン探索に興味はありませんか」

 ダンジョンコアがあればレベルアップが出来る。
 そうすればアルマ達を迎えに行ける。

「あるよ」
「いい仕事があるんです。僕達のポーターをやってくれませんか」
「やってもいいが危険はないのか」
「冒険者の主力武器は拳銃やライフルですよ。低層では危ない事なんてありません」
「そうか、でも荷物持ちなら、自走カートを買えば良い」
「あれに載せられるのは人が一人持てるぐらいの荷物です。アイテムボックス持ちには敵いません」
「そうか、ならやっても良いぞ」

 俺は異世界から帰ってもポーターをやる事になった。

  ◆◆◆

「この倉庫を自由に使ってよ」

 倉庫の前で鍵を渡された。
 中に入るとベッドとビリヤード台とソファーが置いてあった。
 トイレもあるのか、こりゃ良い。
 風呂とキッチンがないのが減点だが、贅沢は言うまい。

「あれっ、遊び場に知らない人がいる」
「ほんとだ」
「トラの親戚が使うって言ってたじゃんか」

 いきなり若者が三人入ってきてそう言った。

「初めまして、虎時とらときの叔父の無二だ」
「俺はトラとパーティを組んでいる片貝かたがい 健二けんじ。そっちの金髪は三俣みまた やすし。このマッチョは上泉かみいずみ 太郎たろう

「おう、よろしくな」
「私物を出しとけって言われたんだけど。行き違いになったみたいだ」
「ねえ、ビリヤードしていこうよ」
「おっさん、一緒にどうだい」

「今は文無しでな。握れない」

 虎時とらときに貰った支度金をギャンブルには使えない。

「気にすんなよ。ツケにするから、やろう」
「ならやるか」

 ビリヤードが終わり、三人の若者は煙草の煙をくゆらせた

「ダンジョンは長いのか」
「そうでもないぜ。二年ってとこかな」

 ダンジョンが出来たのが四年前。
 民間に開放するまでに二年ぐらいかかったから、そうなると。

「じゃあベテランだ」
「まあ古い方かな。自衛隊には負けるけどね」
「おっさんはどうなんだ」

「俺か。俺は古いのかな。ポーターだが」
「へぇ、スキルはどんなのを持ってる?」
「生産系とアイテムボックスだな」

「それでポーターか。なかなかやるじゃん」
「何がやるのか分からないが」
「攻撃系のスキルを持ってないのに、ダンジョンに入るのは凄いって事」
「君たちは銃火器で戦うんだろ。スキルは関係ないはずだ」
「ちっ、ちっ、ちっ。銃火器が通用するのは低層まで。それ以降はスキルがないとね」

「ヤス、しゃべりすぎだぞ。ダンジョンの情報は喋らない。冒険者の鉄則だ」
「スキルの事を喋った俺は間抜けみたいに思えるな」
「おっさんはポーターだろ。スキルを喋っても問題ないぜ」

 何故だか分からないか、なんとなく嫌な空気が流れた。
 三人が急によそよそしくなった事だけは事実だ。

「じゃ、俺たちは行くよ」
「またね」
「ダンジョンで会おうぜ」

 三人が居なくなって、冒険者について考えをめぐらした。
 異世界ほどは殺伐としてないが、ヤクザな稼業みたいだ。
 情報を漏らさないのは分かる。
 美味しい狩場の情報や攻略法をただで教える奴はいない。
 スキルを教えた俺は間抜けって事か。

 異次元移動のスキルを隠しておいて良かった。
 異世界に侵略するなんて馬鹿な考えを持つ奴が出てこないとも限らん。
 まあ、今は魔力が無くって無用の長物だけどな。

 あの公園に出かけた。
 犬は相変わらずのんびりと寝そべっている。

「よう」

 俺は片手を上げて犬に挨拶した。
 飛び起きる犬。

 ふふふ、鬼上司に居眠りしてるのを見つかった新入社員みたいだ。

「ペットフードを持って来てやったぞ」

 相変わらずエサはよく食べる。
 撫でようとしたが威嚇された。
 俺に対して厳しい犬だな。

 まあ、いいさ。
 全ての者と仲良くはできない。
 完璧なんて物はない。
 100%ってのはありえないのさ。
 計画でもそうだ、どこかに穴がある。

 俺の計画はポーターをやってダンジョンコアまで案内してもらう事だ。
 そのための一歩として明日はポーター講習だ。
 眠くならなきゃいいがな。
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