11 / 248
第1章 異世界転移でざまぁ編
第11話 おっさん、スーパーボールを売る
しおりを挟む
「おもちゃ売りのおっちゃんだよ」
「早く早く」
「二列に並んで、並んで」
子供達が並んで、俺とアルマは商売を始めた。
「おっちゃん、スーパーボール3個」
「はい、銅貨3枚ね」
「お姉さん、ビー玉5個」
「おおきに」
俺は玩具の種類を増やした。
ビー玉と同じぐらい安い商材を見つけたのだ。
スーパーボールだ。
5百個で魔力3280。
ビー玉の6百個で魔力2080には負けるが、かなり良い線いっている。
どれも一個で銅貨1枚だ。
1セット売ると銀貨5枚になり、一日の宿代が出る。
「お前ら、誰に断わって商売している」
厳つい顔の男が因縁をつけてきた。
「スラムの顔役のケイムだが」
「ちっ、そんななりしてスラムの出か」
「おう、そうだ」
「ちっ、協定がなけりぁなぁ」
「お近づきのしるしにこれをどうぞ」
俺はビー玉6百個を渡した。
「おう、すまねえ」
「話は通してあるとは言え、立場って物があるんじゃねぇか。ここで商売をする時はそのガラス玉を毎回やるよ」
「かたじけねぇ」
相手の顔を立てれば摩擦は起きない。
いらん騒動を起こすと追っ手に感づかれるからな。
さあ、商売は終わりだ。
ダンジョンに繰り出すぞ。
ダンジョンの攻略は現在三階にまで及んでいた。
今日はボス戦だ。
◆◆◆
ボス部屋の扉を開けて中に入ると、鎧を着て大剣を持ったスケルトンが現れた。
「アルマ、気をつけろ」
「はいな」
俺はじりじりと間合いをつめて相手の出方を見る事にした。
間合いに入ったのだろうスケルトンが剣を振り下ろす。
ふっ、甘いな。
俺はメイスで剣を弾き飛ばした。
こうなればこっちの物。
頭蓋骨を粉々に砕いて、手足を砕く。
アルマが駆け寄り紫外線ライトで骨を溶かしていく。
ほどなくして、魔石と火付け魔道具が現れた。
魔石が大分溜まったので思い切って結合魔石を作る事にする。
ドロップ品もかなり溜まったが冒険者じゃないので今は売れない。
宝箱も見つけたが開ける技能を持った仲間はいないから無視した。
◆◆◆
「ケイム、居るかい!」
俺は大声を出しケイムの家に入った。
「奥にいるぞ!」
相変わらずのだみ声で返事があった。
俺達は奥の部屋に入り椅子に座る。
「今日は頼み事があってきた」
「そっちの嬢ちゃんは初めてだな。借金奴隷か」
「初めまして、アルマや。借金奴隷やで」
アルマは幾分、緊張しているようだ。
「訛りからみて西部の人間だな。そんなに表情を強張らせなくても。ここらの人間は逃亡奴隷と友達の奴もいる。だから偏見は殆んどない安心しろ」
ケイムの顔が怖いんだよと言おうと思ったが止めた。
「それで頼み事なんだが、結合魔石を作って欲しい」
俺は話を切り出した。
「市場に流すと冒険者ギルドがうるさいぞ」
「自分で使う。材料の魔石も用意した」
「うーん、まあいいだろう」
ケイムは渋々頷いた。
「報酬はこないだくれた紙あるだろ。あれを沢山くれ」
ケイムは少し考え要求を口に出した。
「何に使うんだ?」
「発禁本を作る。禁断の恋の物語とか。王家の秘密とか色々だ」
「ちょっと席を外してくれ。事情は聞かないでくれると嬉しい」
ケイムが出て行ったのを見て魔力通販でコピー用紙を一万枚出す。
しばらくして、ケイムが帰ってきて紙を見て言った。
「おう、十分だ。魔石も出してくれ」
「収納箱。これを全て一つの魔石にしてくれ」
テーブルの上に魔石の山が出来る。
「子供達相手に商売してるんだってな」
「ああ、してる」
「スーパーボールって言ったかあれの製法が知りたい」
しまった。
うろ覚えだが、ゴムは戦略物資だった。
まずった。
そういえば異世界でゴムを見た事がない。
現代技術でしか作れない物を売らないはずだった。
うかつだったな。
「あれはもう売らない。材料が尽きた。俺が作った訳じゃないが、製法は木の樹液に硫黄を混ぜるんだったかな」
「その木の種類は」
「南の国だとしか分からん」
「そうか残念だな。結合魔石が出来上がったら宿に言伝しておく」
「おう、よろしく。アルマ、行こう」
◆◆◆
俺達はそれから、子供達に商売して、アンデッドを討伐して、宿に帰るという代わり映えのしない生活を繰り返していた。
ある日宿に帰ると言伝が来ていた。
これで魔石の上乗せが使えて、通販の限度額が上がるな。
魔力の充填もダンジョンコア以外でアイデアが一つある。
わくわくしながら俺達はスラムに向かった。
「早く早く」
「二列に並んで、並んで」
子供達が並んで、俺とアルマは商売を始めた。
「おっちゃん、スーパーボール3個」
「はい、銅貨3枚ね」
「お姉さん、ビー玉5個」
「おおきに」
俺は玩具の種類を増やした。
ビー玉と同じぐらい安い商材を見つけたのだ。
スーパーボールだ。
5百個で魔力3280。
ビー玉の6百個で魔力2080には負けるが、かなり良い線いっている。
どれも一個で銅貨1枚だ。
1セット売ると銀貨5枚になり、一日の宿代が出る。
「お前ら、誰に断わって商売している」
厳つい顔の男が因縁をつけてきた。
「スラムの顔役のケイムだが」
「ちっ、そんななりしてスラムの出か」
「おう、そうだ」
「ちっ、協定がなけりぁなぁ」
「お近づきのしるしにこれをどうぞ」
俺はビー玉6百個を渡した。
「おう、すまねえ」
「話は通してあるとは言え、立場って物があるんじゃねぇか。ここで商売をする時はそのガラス玉を毎回やるよ」
「かたじけねぇ」
相手の顔を立てれば摩擦は起きない。
いらん騒動を起こすと追っ手に感づかれるからな。
さあ、商売は終わりだ。
ダンジョンに繰り出すぞ。
ダンジョンの攻略は現在三階にまで及んでいた。
今日はボス戦だ。
◆◆◆
ボス部屋の扉を開けて中に入ると、鎧を着て大剣を持ったスケルトンが現れた。
「アルマ、気をつけろ」
「はいな」
俺はじりじりと間合いをつめて相手の出方を見る事にした。
間合いに入ったのだろうスケルトンが剣を振り下ろす。
ふっ、甘いな。
俺はメイスで剣を弾き飛ばした。
こうなればこっちの物。
頭蓋骨を粉々に砕いて、手足を砕く。
アルマが駆け寄り紫外線ライトで骨を溶かしていく。
ほどなくして、魔石と火付け魔道具が現れた。
魔石が大分溜まったので思い切って結合魔石を作る事にする。
ドロップ品もかなり溜まったが冒険者じゃないので今は売れない。
宝箱も見つけたが開ける技能を持った仲間はいないから無視した。
◆◆◆
「ケイム、居るかい!」
俺は大声を出しケイムの家に入った。
「奥にいるぞ!」
相変わらずのだみ声で返事があった。
俺達は奥の部屋に入り椅子に座る。
「今日は頼み事があってきた」
「そっちの嬢ちゃんは初めてだな。借金奴隷か」
「初めまして、アルマや。借金奴隷やで」
アルマは幾分、緊張しているようだ。
「訛りからみて西部の人間だな。そんなに表情を強張らせなくても。ここらの人間は逃亡奴隷と友達の奴もいる。だから偏見は殆んどない安心しろ」
ケイムの顔が怖いんだよと言おうと思ったが止めた。
「それで頼み事なんだが、結合魔石を作って欲しい」
俺は話を切り出した。
「市場に流すと冒険者ギルドがうるさいぞ」
「自分で使う。材料の魔石も用意した」
「うーん、まあいいだろう」
ケイムは渋々頷いた。
「報酬はこないだくれた紙あるだろ。あれを沢山くれ」
ケイムは少し考え要求を口に出した。
「何に使うんだ?」
「発禁本を作る。禁断の恋の物語とか。王家の秘密とか色々だ」
「ちょっと席を外してくれ。事情は聞かないでくれると嬉しい」
ケイムが出て行ったのを見て魔力通販でコピー用紙を一万枚出す。
しばらくして、ケイムが帰ってきて紙を見て言った。
「おう、十分だ。魔石も出してくれ」
「収納箱。これを全て一つの魔石にしてくれ」
テーブルの上に魔石の山が出来る。
「子供達相手に商売してるんだってな」
「ああ、してる」
「スーパーボールって言ったかあれの製法が知りたい」
しまった。
うろ覚えだが、ゴムは戦略物資だった。
まずった。
そういえば異世界でゴムを見た事がない。
現代技術でしか作れない物を売らないはずだった。
うかつだったな。
「あれはもう売らない。材料が尽きた。俺が作った訳じゃないが、製法は木の樹液に硫黄を混ぜるんだったかな」
「その木の種類は」
「南の国だとしか分からん」
「そうか残念だな。結合魔石が出来上がったら宿に言伝しておく」
「おう、よろしく。アルマ、行こう」
◆◆◆
俺達はそれから、子供達に商売して、アンデッドを討伐して、宿に帰るという代わり映えのしない生活を繰り返していた。
ある日宿に帰ると言伝が来ていた。
これで魔石の上乗せが使えて、通販の限度額が上がるな。
魔力の充填もダンジョンコア以外でアイデアが一つある。
わくわくしながら俺達はスラムに向かった。
41
お気に入りに追加
1,095
あなたにおすすめの小説
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる