レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
1 / 248
第1章 異世界転移でざまぁ編

第1話 おっさん、囮にされる

しおりを挟む
 俺は山田やまだ 無二むに、おっさんのポーターだ。
 ポーターの仕事は荷物を運ぶ事で、俺はアイテムボックスのスキルを活用してこの仕事をしている。
 今日の仕事は冒険者パーティ水晶の翼に連れられてダンジョンに来ていた。
 このパーティとは長い付き合いになる。

 そして今、パーティと俺は全速力で走っていた。
 先頭を走るのは剣士でリーダーのエイシスで今年21歳だ。
 金髪の長髪、甘いマスクで悔しいが女にもてる。
 冒険者学校を首席で卒業したらしい。

 次を走るのが斥候のシーマスで皮肉な笑みを常に湛えている
 トラップを見破る腕は確かで宝箱の罠の解除も失敗したところを見たことがない。

 そして次は盾使いのディドルで常に冷静な男だ。
 重い盾を軽々と扱うこのパーティで一番の力持ち。

 そして俺が続き、最後尾は魔法使いのビジだ。
 ビジはぽっちゃりした体型でその土魔法を操る腕は確かで、特に拘束の魔法は強力。

 このパーティは冒険者学校の同期で構成されていて、16歳で卒業してから5年間でFからAランクになった。
 俺は結成当時からポーターを勤めている。

 走る皆の息が荒いのがはっきりと分かった。
 後ろから来るゴブリンプリンスの大群のピタピタという足音とフゴフゴいう鼻息が今にも聞こえてきそうだ。

 エイシスが後ろを向かずにハンドサインを出す。

拘束バインド!」

 よくやった拘束の魔法だな。これで時間が稼げる。
 ダンジョンの石の床が変形し、俺の足に絡みつく。

「あれ、俺なんで魔法に掛かってるんだ?」

 俺は拘束の魔法を振り払おうとしたが無理だった。
 懸命にもがき、あわやという所で魔法が解ける。
 いそいで、アイテムボックスから取り出した目に痛い汁が詰まった水風船をゴブリンプリンスに投げた。
 バシャっと先頭のゴブリンプリンスに掛かり、ゴブリンプリンスは痛そうに目を何度もこする。
 連続で水風船を投げた。
 足が止まった今の内に逃げよう。

 しばらく走ると前方で俺を雇っているパーティのみんなが待っていた。
 待っててくれたんだな。囮にしたなんて一瞬でも考えた俺を許してくれ。
 でもおかしい何でみんなニタニタ気持ち悪く笑っているんだ。

「おっさん、ポーターの仕事ご苦労だったな。たった今、解雇だ!」

 エイシスが言った。

「薀蓄がうざいんだよ!」

 ビジが吐き捨てる様に言う。

「さらばだ」

 盾使いのディドルが冷酷に告げた。

「じゃあ達者で」

 斥候のシーマスがにまにま笑いながらトラップのスイッチを踏んだ。

 俺は後ろに来ていたゴブリンプリンスの大群と共に落とし穴に落ちていった。
 今まで一緒に働いてきた一体感はなんだったのか。
 打ち上げで羽目を外して一緒に騒いだ事も何度もある。
 俺の機転で助かったのも一度じゃない。
 走馬灯の様に今までの思い出が脳裏を駆け巡る。
 涙が風で頭上に流れていく。
 ちくしょう、許さんぞ絶対。
 生きて帰って復讐してやる。

 手始めはモンスターの無限増殖装置を停止せずに、モンスターを解き放った罪をギルドにチクッてやる。
 そうすればランク降格だ。

  ◆◆◆

 俺は落ち続けた。
 いったい、どこまで落ちるんだろう。
 下の床が見えた。

 どうすれば、いいのだろう。
 そうだ、とりあえずマット射出。
 俺はアイテムボックスからありったけのマットを取り出し下に向かって投げた。
 ついでに布団も射出。
 地面が硬くて寝られないなんて贅沢を言って俺のアイテムボックスに入れた元雇い主に少し感謝だ。
 裏切った恨みの1パーセントぐらい帳消しだな。


 南無三、いよいよ地面が迫る。
 ボスっという音でふとんとマットは俺の衝撃を和らげてくれたが肋骨が折れたみたいだ。

 そこらじゅうが痛いぞ。
 他にも骨にひびが入っているかもしれない。
 一本しかない俺の持ち物で一番高価な上級ポーションを呷る。
 怪我が治り落ち着いて回りを見ると全てのゴブリンプリンスが魔力になって消えていく。
 ここはダンジョンだから、階層をまたぐとモンスターは消える。
 階段にモンスターを押し込め助かったなんて話も良く聞く。

 ここは何階なんだろうか。目の前にある扉を凝視する。
 この豪華な扉はボス部屋だ。

 良かったんだか、悪かったんだか。
 ボスを倒せば転移のポータルがある。

 ボスを倒さずにダンジョンの階層を一つ上がり上の階のポータルを使うという事を考えた。
 しかし、この階層の通路にいるモンスターは10匹以上だろう。
 俺には、突破は無理だな。

 さて、コーヒーでも飲んで落ち着くか。

魔力通販メールオーダー

 ぽとりと缶コーヒーが落ちた。
 コーヒーを飲みながら今までの事を振り返る事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

処理中です...