貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
162 / 179

第162話 火事場泥棒

しおりを挟む
 呪いの一万円札は背後の組織に無事届いたようだ。
 呪いを追ってあるビルに辿り着いた。
 ここがアジトか。
 俺はおっさんの名前で、通報した。
 ビルから火の手が上がる。
 呪いの不運が影響したらしい。
 火事なら人命救助できる。

 扉を蹴破り、ファントムがアジトに突入。

「こんな時に出入りかよ。火を消せ。そしてこいつも消せ」

 呪いの一万円札は金庫だな。
 俺は金庫の扉を毟り取った。

「何をする?」

 ファントム退場。
 おっさんとして、アジトに入った。

【いきなり配信始まった】
【事務所か】
【煙が立ち込めているな】

 物を片っ端から、アイテム鞄に入れる。

【火事場泥棒か】
【犯罪行為を配信してどうするんだ】
【今度こそおっさんは刑務所か】

「お前」

 銃を向けられた。

「玩具は片付けて」

 俺は銃をもぎ取るとアイテム鞄に入れた。

【無造作に銃を取ったな】
【分かったサクラだよ】
【事務所カチコミ映像かな】
【火を点けてまでよくやる】

 そして呪いと火を消してやった。
 警察やら消防が到着する。

「ご苦労様です。火の手が見えたので、家財道具を運び出しました。こんなのもありましたけど」

 俺は銃を出すと警察官に渡した。

「全員動くな。銃刀法違反で、現行犯逮捕する」

【ファントムの動画みたけど、この事務所が映ってる】
【また手柄横取りかよ】
【ファントムに付けられた発信器を早く教えてやれ】
【ファントムの動画に発信器を付けられてるぞとコメント付けたけど、ありがとうとだけ返ってきた】
【どこに仕掛けられたか分かってないのか】
【魔力駆動だと、どのくらい小さくできるか分からないからな】

 ふー、良いことした。
 アジトにあった物でひとつ不可解な物があった。
 巨人を守る会の封筒だ。
 新品のそれがかなりあった。
 巨人を守る会に寄付したのかな。
 そんな奴らじゃないだろう。

 設立資金の件もあるからな。
 こういう組織からお金が出ているのかも。

 警察に念入りに調書を取られた。
 俺は犯人じゃない。

「さらわれそうになっちゃった」

 家に帰ると弥衣やえ綺羅々きららが来ててそんなことを言った。

「怪我は?」
「ないない。これでも冒険者よ」
「そうそう。愛剣が無くてもヤクザの10人ぐらい」

 ヤクザが10人か。
 ちょっと大事だな。
 今日、俺が事務所を潰したのと関係があるのかな。

「犯人はどうした」
「警察に突き出したわよ」

「何か犯人の背後とか分かった?」
「犯人の一人が巨人を守る会の封筒にお金を入れてたわね」

 ここでもその封筒が出て来るのか。
 今日の事務所潰しと関係ありとみた。
 こんな推理は誰だってできる。

「私達、明日から、パラサイトウルフの討伐を手伝うことにしたから」
「うん、討伐しないと体が鈍って」

「悪評が立つぞ」
「ファントムがパラサイトウルフの危険性を告知して少し風向きが変わったのよ」
「これは賭けね。こっちの正義が証明されるかどうかの。もう勝利確定ね」

 カメラのスイッチを入れて配信を開始する。

「明日から、パラサイトウルフの討伐に弥衣やえ綺羅々きららが加わることになった」

【討伐を中止するという考えはないのか】
【ラブリードッグはあんなに可愛いのに】
【そうです。彼らは友達です】

「俺は今日、人命救助に火事の現場に踏み込んだんだが。そこはどうやら犯罪組織らしかった。そこで巨人を守る会の封筒を多数見つけたんだが」

【封筒は会の名前が変わったので大量に廃棄しました。リサイクルショップに売ったと思います】
【おっさんは、変な理屈を持ち出したな】
【都合が悪くなると話を変える】

「設立資金の件もあるから、疑うのは当然だろう」

【ゲスの勘繰りだ】
【まさにそうだな】
【ラブリードッグをダンジョンで確保して、家に連れ帰ろうぜ】
【いいね。あそこのダンジョンなら危険はない】

「俺はな。パラサイトウルフの何が嫌いかというとあいつらは媚を売ってる。俺もクズだから分かるけど、クズなんだよ。だから気に入らない」

【そんな理由で討伐しているのか】
【ファントムとは月とスッポンだな】
【犬や猫だって媚を売ってる】

「いいや、違う。犬や猫は家族への愛情だ」

【違いが分からん】
【そんな理不尽な理由でですか】
【おっさんは狂ってるからな】
【そんな奴が金を持っているのか。世の中糞だな】
【フレンドリーモンスターを守る会に入って、世界を変えましょう】

「くくくっ、俺は止まらんよ。止めたければ法律を変えろ」

【あと少しです。署名の力で事態はかわるはず。みなさん頑張りましょう】

 いろいろと盛り上がってきたな。
 この調子だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件

シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。 旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...