貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太

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第139話 ヒールハートビートサンダー

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 巨人のダンジョンに向かう途中にスタンピード。
 ファントムの出番だぜ。

 俺はカメラを弥衣やえに渡すと仮面を被って着替えた。

【おっさん、スタンピードが起こるとカメラをヤエちゃんに渡すな】
【自分の行動を見せたくないらしい】
【今も姿を消している】
【ファントムがやって来たぞ】

「お嬢様方、避難するのだ」

「チアフルの平治には連絡してくれたの? 連絡がないのだけど」
「確かに連絡した」

 やべぇ、綺羅々きららになんて言おう。
 彼は忙しい、駄目だ。
 メールぐらい送れる。
 綺羅々きららのSNSは調べればすぐに判る。

 怪我をして療養中。
 こういう嘘は良くない。

 遠い所に行ってしまったのだよ。
 うん、死んだみたいだ。
 追及されるに違いない。

「実は彼は、パーティメンバーの一重と婚約した。浮かれているのだ。許せ」
「そんな感じだったものね。ちょっと悔しいわ。私のことなんて眼中にないと言われているようで」
「諦めろ」
「あなたは恋人いるの?」

 何で俺。
 あー、恋人はいないは弥衣やえが怒る。

「恋人はいる。おお、スタンピードによる被害者の声が聞こえる。さらばだ」

 うん、色々と不味い。
 一度ファントムのバックボーンをちゃんと作らないとな。
 そんなことを思いながらバールでモンスターを叩きまくる。

【おっさん逃げたか】
【ヤエちゃんが持っているカメラには映ってないな】
【ファントム恰好良かった。恋人がいるんだな】
【いるだろ。マッチョはもてる】
【俺も体を鍛えよう】

 弥衣やえ達も順調にモンスターを討伐してる。
 俺の配信映像で確認した。

 綺羅々きららは俺の一人二役に気づいていないのか。
 チアフルの平治を入れれば三役だ。

 おっと、炎を纏った巨人がいた。
 ファイヤージャイアントか。
 握られた冒険者が一瞬で灰になる。

 俺はファイヤージャイアントを連打した。
 アダマンバールを瞬時に溶かすほどの温度ではないらしい。
 ファイヤージャイアントは死に纏った炎が消える。

 歓声が上がった。
 俺は片手を上げて応えた。
 そしてまた走り出す。

 次も巨人か。
 こっちは吹雪を纏ってる。
 フロストジャイアントだな。
 フロストジャイアントの周りは凍り付いてる。
 斬りかかった冒険者の剣が凍り付き。
 腕が凍り、体全体が凍り、砕け散った。

 熱くなれ連打だ。
 バールを俺は素振りした。
 バールの速度は上がっていき、バールは炎をまき散らし熱を帯びた。
 もちろん火魔法で温めている。
 素振りは演出だ。

「バーンストライク!」

 俺の灼熱のバールがフロストジャイアントを打ち据え、フロストジャイアントは爆発した。

 歓声が上がる。
 俺は全力で次の場所に向かった。
 次は、蔦を全身から生やしている巨人だった。
 アイビージャイアントだな。
 蔦に絡めとられた人達が苦しそうにもがいてる。

「バールソウ」

 バールで蔦を斬りまくった。
 そしてアイビージャイアントを連打。
 難なく仕留めた。

 歓声が上がる。
 蔦で締められた人たちの何人かは呼吸がないようだ。
 心臓マッサージをしてる。

 よし、ちょっと本気を出そうか。

「離れていたまえ」

 心臓マッサージしてる人達が離れる。

「電撃プラス回復魔法。ヒールサンダー」

 何人かは息を吹き返した。
 息を吹き返さない人達に俺は手を合わせた。

「そんな。あなたに見棄てられたら」

 うん、回復魔法と電撃、あと組み合わせるとしてたら毒だな。
 心臓の動きを早くする毒魔法がある。
 モチの話では暗殺に使われるらしい。
 病死を装えるからだ。
 何となく必要かなと思って覚えておいた。

「電撃プラス回復魔法プラス毒魔法。ヒールハートビートサンダー」

 全員が息を吹き返した。
 救急隊員が敬礼。
 俺も敬礼を返す。

「ありがとうございました。主人が助かりました」
「お父さんを助けてくれてありがとう」

 出たとこ任せだったんだがな。
 もし、責任を追及されたら、ファントムを消すつもりだった。
 俺が卑怯な手で葬るという筋書きだ。
 だが、ファントムの死骸は残らない。
 それでうやむやになる予定だった。
 ならないか。
 ならないような気がする。

 まあ、責任を追及されたら金の力でなんとかしよう。
 その方が俺らしいな。

 今回の大物は巨人が多かった。
 あのダンジョンの討伐を急がないといけないようだ。
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