上 下
92 / 179

第92話 記者会見

しおりを挟む
 トカゲの楽園の10階層。
 出てきたのは銀色に輝くトカゲ。
 なんだか懐かしい。

【メタルリザードな】
【強いん?】
【Bランクだな。群れで来るとAランク、Sランクに跳ねあがる】


「こいつら食えるのか?」

【聞く所がそこ】
【もはや食材にしか思ってない】
【皮を剥げば食える。皮の方が値段的には高いけどな】

「サンクス」

【アンチいないな】
【ノアフォロの記者会見の方を見ていると思われる】
【今日なのか。おっさんは眼中にないみたいだな】
【会見を見てろよ。ノアフォロの真実を暴いてやる】
【お前は記者じゃないだろ。質問できないだろう】
【分かってやれよ。自分がヒーローになった気になっているんだよ】

 キャメルクラッチ、ボキっとな。

 おお、仲間を殺されて怒ったのか群れで来やがる。
 弥衣やえ達のボウガンは刺さらない。
 浸透撃に切り換えたらしい。

 メタルリザードの頭に軽く手を添えただけなのに、メタルリザードが血を吐いた。
 酸じゃ素材が取れないからな。
 シロガネの牙はメタルリザードにも通るようだ。
 首筋に食らいついて仕留めていく。

 よし、俺も。

 キャメルクラッチ、ボキっとな。

【浸透撃強い】
【表面が硬い奴にとっては天敵な攻撃だな】
【まだ、会見は始まらないのか】
【会見が気になるならテレビに噛り付いていると良い】

 キャメルクラッチ、ボキっとな。

【会見の中継が始まった】

 ここは急ぐべきだな。
 キャメルクラッチ、ボキっとな。
 キャメルクラッチ、ボキっとな。
 キャメルクラッチ、ボキっとな。
 キャメルクラッチ、ボキっとな。
 キャメルクラッチ、ボキっとな。

 ふぃーボス部屋に到着した。
 ちょっと一休みする間に、会見の様子をスマホで見る。

「ただいまより、ノアフォロによる記者会見を開かせて頂きます。ではノアフォロ代表から一言」
「ノアフォロが悪質な宗教団体であるかのような報道がされてますが、そんなことはありません」

 フラッシュが焚かれた。

「では説明に移らせてもらいます。ノアフォロは宗教団体ではありません。その証拠に年会費の類はいっさい頂いておりません。たしかに運営費は寄付で賄ってますが、その額は年間200万円にも満たないです。会則としては癌患者なら誰でも受け入れます。死ぬその日まで諦めない。これが会則です」

「では質問に移ります。そこのあなたどうぞ」
「教祖である埼京氏を神として崇めているのに、宗教ではないのですか?」
「神の定義が違います。野球が上手い人を野球の神様と呼びますよね。あれと同じで偉業を行ったという意味で神です。埼京氏は若返りましたし」

「そこのあなたどうぞ」
「ダンジョンの仕事は危険を伴うと聞いてます。それをするのはなぜですか?」
「埼京氏が力を身に着けたのはダンジョンでのモンスター討伐によるものです。我々もそれを模倣してます。それに、思ったほどダンジョンの仕事は危険ではありません。埼京氏のダンジョンのモンスター討伐はマニュアル化されていますので」

「そこのあなたどうぞ」
「ノアフォロになぜ加入したのですか?」
「死を待つ身としては希望が欲しいのです。希望をそこに見出したからです。モンスター討伐による健康法は間違ってないと断言できます」

 一息置いて代表が再び話し始める。

「それにですね。これは会のメンバーの話なんですが、親戚からこの病院が良いと勧められる。その病院を調べると死亡率が高い。たしかに重病患者がたくさんおられる病院なので死亡率が上がるのは仕方ない。ですが、死亡率を突きつけられると、病院と治療法ぐらい勝手にさせてくれと言いたくなります。僅かでも希望があれば、すがりたいのは人として当然ではないでしょうか」

 遺産目当ての親戚など絶交だとの声がノアフォロから上がる。

「次の方、あなたどうぞ」
「あくまでも自主意思での入会とのことで間違いないのですか? 退会は受け付けてますか?」
「自主意思で間違いありません。退会は自由です。現に病気が良くなって退会した方は複数名おられます」

「あなたどうぞ」
「誘拐ではないのですか?」
「誘拐ではありません。モンスター討伐の仕事が気に入って居ついているだけです」

「では、あなたどうぞ」
「帰って来てほしいという親戚や家族について一言お願いします」
「患者本人の意思を尊重してほしいそれだけです」

「あなたどうぞ」
「死後、全財産を寄付する遺言を書いた方がおられますが、それについては」
「ノアフォロに寄付したわけではありません。寄付先は大学病院や医療機関が多いですね」

「では、そろそろノアフォロの記者会見を終わらせます。時間を置いて、DV被害者の会の記者会見を行いますので、残りたい方は今しばらくご辛抱下さい」

【おい、記者。負け会見じゃねぇか】
【もっと突っ込んで聞けよ】
【テレビでノアフォロを擁護している】
【テレビ局に苦情の電話入れようぜ】
【くそっ、何でだよ。色々と世話してやっただろう。何で全財産を寄付する】
【こんな所に書き込んでも変わらないのにな】
【元凶のおっさんがのうのうとしていると腹が立つんだろ】

 さあ、ボス戦だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

配信の片隅で無双していた謎の大剣豪、最終奥義レベルを連発する美少女だと話題に

菊池 快晴
ファンタジー
配信の片隅で無双していた謎の大剣豪が美少女で、うっかり最凶剣術を披露しすぎたところ、どうやらヤバすぎると話題に 謎の大剣豪こと宮本椿姫は、叔父の死をきっかけに岡山の集落から都内に引っ越しをしてきた。 宮本流を世間に広める為、己の研鑽の為にダンジョンで籠っていると、いつのまにか掲示板で話題となる。 「配信の片隅で無双している大剣豪がいるんだが」 宮本椿姫は相棒と共に配信を始め、徐々に知名度があがり、その剣技を世に知らしめていく。 これは、謎の大剣豪こと宮本椿姫が、ダンジョンを通じて世界に衝撃を与えていく――ちょっと百合の雰囲気もあるお話です。

処理中です...